電源シーケンスとは、複数の電源レールを備えるFPGAやASIC、マイコン、DSPといったデジタルLSIにおいて、その電源レールを投入/遮断する際の順番のこと。基本的には、高い電圧の電源レールから低い電圧の電源レールへと順番にオンに切り替えて行かなければならない。そして、最後に主電源をオンする。これを実現するために、電源を投入するタイミングや、最終的な電源電圧に到達するタイミング、電圧の変化率などを制御する必要がある。
電源を投入する順番やタイミングを間違えるとラッチアップが発生したり、過大な突入電流が発生したりする。最悪のケースでは、デジタルLSIが破壊されてしまうこともある。従って、十分な注意が必要だ。
FPGAでは数年前まで、半導体ベンダーが指定した電源シーケンスを順守することが、電源回路設計時の大きな課題だった。しかし、最近のFPGAは、ソフトウェアを使って電源シーケンスを制御する仕組みを導入している。このため、FPGAユーザーは、電源シーケンスの難題から解放されつつある。ただし、FPGAの各電源レールにおいて、電源投入時の電圧変化を単調増加(モノトニック)させるという制約条件は過去も現在も順守しなければならない。
最新FPGAの設計では電源シーケンスの難題から解放されたものの、ASICやマイコン、DSPなどでは電源シーケンスをきっちりと守らなければならないチップが決して少なくない。スイッチング・レギュレータICにダイオードや受動部品などを組み合わせることで、電源シーケンス回路を構成することも可能だ。ただし、この方法では設計に手間が掛かる上に、動作テストにも多くの時間やコストを費やすことになる。
そこで、専用の電源シーケンスICを採用するのが、安全かつ低コストな対処方法だと言えるだろう。現在、さまざまなアナログ半導体ベンダーが電源シーケンスICを製品化している。例えば、米National Semiconductor社では、電源シーケンスIC「LM3880/LM3881」を販売中である。外付けした3つのスイッチング・レギュレータIC、もしくはLDOレギュレータICの電源投入と電源遮断を制御できる。あらかじめ電源を投入する順番とそのタイミングを設定しておけば、LM3880/LM3881のイネーブル端子に信号を入力するだけで、電源シーケンスを実現可能だ。LM3880は、電源を投入する順番やタイミングを工場出荷時に設定する品種であり、LM3881は外付け抵抗で設定できる品種である。
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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
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