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プログレッシブとインターレース

» 2011年08月23日 00時00分 公開
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プログレッシブとインターレース

 プログレッシブとインターレースは、いずれも映像の走査(スキャン)方式のこと。テレビ放送信号の伝送時や、液晶やCRT(ブラウン管)などのディスプレイ表示時などに適用される技術である。プログレッシブ方式は順次走査方式やノンインターレース方式、インターレース方式は飛び越し走査方式と呼ばれることもある。

地デジはインターレース

図1 図1 プログレッシブ方式とインターレース方式
(a)は、インターレース方式。走査線を1本おきにスキャンする。(b)はプログレッシブ方式。走査線を上から順番にスキャンする。

 それでは2つの走査方式をテレビ放送信号の伝送時で説明しよう。インターレース方式とは、画面を構成する走査線を1本おきにスキャンして伝送する方式である(図1(a))。従って、1回の伝送で画面の半分の情報しか伝送できない。そこで、次のスキャン時には、前回は飛ばした走査線をスキャンする。こうして2回のスキャンで一枚の画面全体の情報を伝送する。つまり、1つの「フレーム」を2枚の「フィールド」に分割して伝送するわけだ。地上デジタル放送では、1秒間に30枚のフレームを伝送している(30フレーム/秒)。従って、フィールドは1秒間に60枚を伝送していることになる(60フィールド/秒)。

 一方のプログレッシブ方式とは、画面を構成する走査線を上から順番にスキャンして伝送する方式である(図1(b))。つまり、フィールドという概念はない。日本国内のテレビ放送では、かつてBSデジタル放送の初期段階に採用されていたことがあるが、現在では採用されていない。ただし、テレビ放送ではないが、ブルーレイ/DVDレコーダーや家庭用ゲーム機の中には、映像出力においてプログレッシブ方式に対応している機種がある。その際のフレーム速度は30フレーム/秒である。

液晶テレビはプログレッシブ表示

 それでは、ディスプレイは、どちらの方式に対応しているのだろうか。最近は、家電量販店で見かけることはほぼなくなったが、CRTを採用したテレビでは、インターレース方式を使って画面を表示していた。CRTは、電子銃を使って画面をスキャンすることで映像を表示する。もともと、画面全体の映像を同時に表示することはできない。テレビ放送もインターレース対応なので、整合性が比較的高かったわけだ。

 ところが、液晶パネルはその原理上、画面全体の映像を同時に表示することができる。このため、液晶テレビの多くはプログレッシブ方式に対応している。しかし、テレビ放送はインターレース方式である。そこで液晶テレビ内部に搭載した画像処理回路で2枚のフィールド情報を統合して1枚のフレームを作り、表示することでプログレッシブ方式を実現している。こうして、ちらつきの少ない映像表示を実現している。なお、パソコン用の液晶モニターもプログレッシブ方式を採用している。

テレビ局などのデータ伝送はSDI

 テレビ局などで使われる業務用映像機器では、インターレース方式とプログレッシブ方式といった走査方式のほか、さまざまな画素数に対応できるインターフェース規格「SDI(Serial Digital Interface)」を採用している。最も高い伝送速度に対応する「3G-SDI」規格では、画素数が1920×1080で、フレーム速度が60フレーム/秒のプログレッシブ映像(1080/60p)を1本の同軸ケーブルで伝送できる。最大データ伝送速度は2.97Gビット/秒である。

図2 図2 SDI規格に対応するチップセット
米ナショナル セミコンダクター社が製品化するSDI規格対応のチップセット。

 米ナショナル セミコンダクター社では、この3G-SDI規格に対応したデータ伝送用チップセットを用意している(図2)。5つのチップからなる。具体的には、アダプティブ・ケーブル・イコライザ「LMH0394SQ」、リクロッカ「LMH0346MH」、ケーブル・ドライバ「LMH0303SQ」、シリアライザ「LMH0340SQ」、デシリアライザ「LMH0341SQ」の5つである。このチップセットを使えば、3G-SDI信号を最大で200m伝送することが可能だ。


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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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