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センサから始まるシグナルパス(3) 設計を大幅に簡略化する新デバイス【ビデオ講座】アナログ設計の新潮流を基礎から学ぶ

» 2011年03月15日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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【ビデオ講座】センサから始まるシグナルパス(3) 設計を大幅に簡略化する新デバイス (クリックで動画再生)


 さまざまな物理量や化学量を検出するセンサ。このセンサの出力を、マイコンなどでデジタル処理するには、アナログ信号をデジタル信号に変換する必要がある。一見、簡単そうに見えるが、実はそうではない。センサから出力されるアナログ信号を的確に処理してデジタル信号に変換する「シグナル・パス」を慎重に設計する必要があるからだ。

 センサから始まるシグナル・パスを構成する回路要素は大きく分けて3つある。オペアンプとフィルタ、A-Dコンバータの3つだ。それぞれの回路要素を選択したり、設計したりする際には、さまざまな特性に配慮する必要がある。例えば、オペアンプでは、入力オフセット電圧や入力バイアス電流など。フィルタでは、カットオフ周波数。A-Dコンバータでは、分解能や変換速度、積分非直線性誤差、微分非直線性誤差などである。こうした特性に配慮しながら、それぞれの回路要素を選択、設計するにはアナログ技術に関する十分な知識と経験が欠かせない。かなり難易度が高い作業だといえる。

 こうした問題を解決するため、米ナショナル セミコンダクター社ではオンライン設計支援ツール「WEBENCH Sensor Designer」を用意している。使用するセンサを選択するだけで、自動的にシグナル・パスの設計が完了するというツールである。これを使えば、シグナル・パスの設計がかなり簡単になるものの、特性のチューニングや設計後の評価などの作業は残ってしまう。

回路要素をすべて集積し、コンフィギュラブルに

 そこで米ナショナル セミコンダクター社は、シグナル・パスの設計のさらなる簡略化を目指した新デバイスとソフトウエアを開発した。

 まずは新デバイスについて説明しよう。新デバイスとは、同社が2011年2月に発表した2つのセンサ・アナログ・フロントエンド製品である。センサAFEと呼ぶ。型番は、1つが「LMP90100」、もう1つが「LMP91000」である。

図1 図1 センサAFEが備える3つの特長

 この2つのチップには大きく分けて3つの特長がある(図1)。1つめは、製品、つまりチップと製品評価システムの両方を提供する点である。製品評価システムとは、ソフトウエアのことでブラウザを使って、インターネット経由で利用できるオンライン設計支援ツールである。さらに、パソコンにダウンロードして、インターネットに接続していない環境でも利用できる。これらを利用することで、センサを搭載する電子機器の開発時間を短縮することが可能になる。

 2つめは、センサからマイコンまでのシグナル・パスを構成する回路要素をすべて集積した点にある。従って、部品点数が削減できるため、小型化と信頼性の向上を達成できる。

 3つめの特長は、チップに搭載したさまざまな機能の設定がコンフィギュラブルな点である。つまり、開発者の希望に合わせて設定を何度でも変更できるわけだ。設定には、前述のソフトウエアを用いる。この機能を使えば、最終製品をモデル展開する場合や、最終製品の仕様が変更された場合などでも、チップの設定を変更するだけで開発が完了する。チップ自体を変更したり、シグナル・パスの攻勢自体を設計し直したりする必要はない。

24ビットA-Dコンバータを集積

 それでは、LMP90100とLMP91000という二つのチップについて詳細を説明しよう。

図2 図2 24ビットA-D集積したLMP90100の特長

 LMP90100の最大の特長は、分解能が24ビットと高いΔΣ(デルタ・シグマ)型A-Dコンバータを集積していることである(図2)。さらに、マルチチャネル入力が可能である。このほか、以下に挙げる4つの特長を備えている。第1に、「コンティニュアス・バックグラウンド・キャリブレーション」と呼ぶ機能を搭載したことだ。この機能を使えば、ゲイン(利得)・エラーと、オフセット電圧の温度ドリフトを除去することができる。非常に高精度なシステム構成が可能になるわけだ。

 第2に、接続したセンサの故障診断機能を用意していることである。ナショナル セミコンダクター ジャパンでシグナル・パス関連製品のマーケティングを担当する原田佳樹氏は、「24ビットA-Dコンバータとセンサの故障診断機能を搭載したチップの製品化は、業界で初めて」という。第3に、50Hzや60Hzの商用電源雑音を除去する機能を備えている点。第4に、さまざまな機能がコンフィギュラブルな点である。

 LMP90100に接続できるセンサとしては、熱電対やRTD(測温抵抗体)、サーミスタ、アナログ出力の温度センサ、圧力センサ、ロードセル(負荷セル)などを想定している。さらに、チップの入力段にマルチプレクサを集積しているため、これらのセンサを複数個接続し(マルチチャネル)、それぞれのセンサの出力を時分割で取り込んで処理することが可能である。

図3 図3 さまざまなガスに対応可能なLMP91000の特長

 LMP91000は、化学センサやガス・センサに向けたチップである(図3)。特長はいくつかある。最大の特長は、複数の種類のガス・センサに対応している点にある。例えば、一酸化炭素や塩化水素、水素、シアン化水素、酸化窒素、二酸化窒素、酸素などである。このため、LMP91000を在庫として確保しておくだけで、さまざまなガスに対応したシグナル・パスを構築できるようになる。「在庫の管理が大幅に簡便化できるようになる」(原田氏)という。

 2番目の特長としては感度を調整できること。3番目としては、外形寸法が小さいことが挙げられる。さまざまな機能が1チップに集積されているからだ。外付け部品はほとんどいらない。ただし、LMP90100とは異なり、A-Dコンバータは集積していない。「A-Dコンバータは集積せずに、アプリケーションによって最適なものを選びたいとするユーザーの声が多かった」(同氏)からだという。このほかにも、温度センサを内蔵していることや、消費電流が10μAと小さいこと、高い耐EMI(Electro-Magnetic Interference)特性を備えていること、システム全体の信頼性を高めやすいこと、前述のソフトウエアを使うことで迅速な設計と評価が可能になることが特長として挙げられる。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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