USB3.0とは、パソコンやデジタル家電、携帯型電子機器などに向けたシリアル・インターフェイス技術の最新規格。現在、広く普及しているUSB2.0の上位規格である。
規格が策定されたのは2008年11月だ。米インテル社や米マイクロソフト社、米テキサス・インスツルメンツ(TI)社、米ヒューレット・パッカード(HP)社、オランダのNXPセミコンダクターズ、NECの6社から成る業界団体「SuperSpeed USB 3.0 Promoter Group」が仕様をまとめた。対応するLSIは2009年前半に、対応する周辺機器(ハードディスク装置)などは2009年後半に製品化が始まっている。2010年にはパソコンへの搭載も始まっており、2012年内には本格的に普及する見込みである。
USB3.0の最大の特長は、データ伝送速度が5Gビット/秒(スーパースピード)と極めて高いことだ(表1)。USB2.0は480Mビット/秒(ハイスピード)だったため、一気に約10倍に高速化されたことになる。
5Gビット/秒と高いデータ伝送速度が必要となった背景には、映像データや画像データ、音声データなどの肥大化がある。例えば、ブルーレイディスクに格納された1本の映画(27Gバイト)を転送する場合、USB2.0では約13.9分もかかる。これでは、一般ユーザーに大きなストレスを与えてしまう。そこで「一般ユーザーがストレスを感じることなく、転送作業の完了を待つことができる時間は約90秒」との調査結果を元にはじき出したのが5Gビット/秒というデータ転送速度である。5Gビット/秒であれば、27Gバイトのデータを約70秒で転送できる。
USB2.0との違いは、データ伝送速度だけではない。例えば、通信モードが異なる。USB2.0では、送信と受信を同時に実行できない半二重方式を採用していたが、USB3.0では送信と受信を同時に実行できる全二重方式に対応した。通信プロトコルも見直した。USB2.0では、接続された周辺装置すべてに対して、ホストが定期的にポーリング(問い合わせ)をかける仕組みを採用していた。やり取りが必要ない周辺装置に対してもポーリングする必要があるため非効率だった。そこでUSB3.0では、ユニキャスト方式を採用した。この方式は、アドレスを指定して、特定の周辺機器と1対1でやり取りするという仕組みだ。ポーリングをかける必要がないため、伝送効率を大幅に高められる。
このほかの特筆すべき違いは、USBケーブル経由で供給できる電力量である。いわゆるバス・パワーの供給能力である。USB2.0では、最大で500mAの供給が可能だったが、USB3.0では900mAに高めた。USB3.0ケーブルを介して携帯型電子機器に充電する場合の時間を大幅に短縮できる。
このように、USB3.0とUSB2.0の間には大きな違いがあるものの、両者の間には下位互換性が確保されている。具体的には、USB3.0のコネクタとケーブルを使って、USB2.0の信号を送ることができる。USB2.0用の4本の信号ラインに、USB3.0用の5本の信号ラインを追加するかたちで実現した。
コネクタは、外形形状を同じに保ちながら、信号電極を4個から9個に増やした。例えば、最も頻繁に使われるスタンダードA型コネクタでは、USB2.0に向けた四つの信号ラインを上側奥に、USB3.0に向けた五つの信号電極を配置した(図1)。携帯電話機などに使われるマイクロB型コネクタについては、USB2.0に向けた四つの信号ラインの横に、USB3.0に向けた五つの信号電極を並べて配置することで下位互換性を確保した(図2)。
現在市場では、さまざまなUSB3.0対応チップが製品化されている。例えば、SuperSpeed USB 3.0 Promoter Groupのメンバーであるテキサス・インスツルメンツ社では、トランシーバIC「TUSB1310A」や、USB3.0とシリアルATAのブリッジIC「TUSB9261」、ハブ・コントローラIC「TUSB8040」、USB3.0対応ホスト・コントローラIC「TUSB7320/TUSB7340」、リドライバIC「SN65LVPE502(CP)」などを販売中だ。
さらにハブ・コントローラICの新製品「TUSB8040」の新バージョンを市場に投入する予定である。4ポート・ハブである。すでに製品化しているTUSB8040よりも、相互接続性を高めた点が特長である。
テキサス・インスツルメンツのインターフェイス製品ラインナップ
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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
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