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フライバック方式これだけは知っておきたいアナログ用語

» 2012年06月11日 00時00分 公開
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フライバック方式

 フライバック(flyback)方式とは、絶縁型DC-DCコンバータ、もしくはスイッチング電源(AC-DCコンバータ)を実現する回路トポロジーの一つ。適用用途は幅広く、民生用電子機器や産業用電子機器、通信機器、コンピュータなどに使われている。

 絶縁型DC-DCコンバータには、さまざまな回路トポロジーがある。その中で、最も単純なものとして挙げられるのが、フライバック方式とフォワード(forward)方式である。図1にそれぞれの方式の回路図を示す。いずれも、スイッチング素子(パワーMOSFETなど)は一つしか使わない。いわゆる一石方式である。回路の構成は非常によく似ているが、動作方法は大きく異なる。電源回路の1次側から2次側に電力を送る方式がまったく逆なのだ。

photophoto 図1 フライバック方式とフォワード方式
(a)はフライバック方式、(b)はフォワード方式の回路構成である。両者はよく似ているが、絶縁トランスの1次側と2次側の巻線の向き(コイル脇に記した黒点の位置)や、2次側回路の構成に違いがある。

 まずは、フライバック方式から説明しよう。この回路トポロジーでは、スイッチング素子のオン期間中に絶縁トランスに電力を蓄える。そして、スイッチング素子がオフに切り替わると、絶縁トランスの逆起電力を利用して、蓄えられていた電力を一気に出力するという方式である。一方のフォワード方式は、スイッチング素子のオン期間中に、絶縁トランスを介して、電力を1次側から2次側に送る方式である。

 この二つの方式は、出力電力の大きさで使い分けるのが一般的である。フライバック方式は、出力電力が大きな用途に不向きである。1〜200W程度といった小電力〜中電力が守備範囲となる。さらに、部品点数が少ないため、低コスト化にも有利だ。フォワード方式は、小電力〜大電力と幅広い用途に使えるという特長がある。しかも、低電圧/大電流の用途に適用しても、比較的高い変換効率が得られるため、パソコンや産業機器などの電子機器で主に採用されている。ただし、出力電力が数百Wを超えるような、出力電力がかなり大きな用途には向かない。

 なお、こうした大電力用途については、適した回路トポロジーが存在する。具体的には、ハーフブリッジ(half-bridge)方式やフルブリッジ(full-bridge)方式などである。

LEDドライバでも採用

 フライバック方式の適用分野の一つに、LED照明器具に向けたドライバ(駆動)回路がある。交流(AC)入力をダイオード・ブリッジで整流した後、複数のLED素子で構成したLEDストリングに電力を供給する役割を果たす。

 フライバック方式を採用したLEDドライバICの例としては、米テキサス・インスツルメンツ(TI)社の「LM3447」がある。このICの特長は、LEDドライバで一般的な定電流駆動方式ではなく、定電力駆動方式を採用していることだ。LED素子の発熱による順方向電圧(VF)の低下を原因とする、光出力(光束)の減少に対処できる。具体的には、順方向電圧が低下した場合に、供給電力を増やすことでLED素子の光出力を一定に保つわけだ。用途は、A19型やE26/27型、PAR30/38型といった、出力が5〜30W程度のLED電球である。


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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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