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D-Aコンバータこれだけは知っておきたいアナログ用語

» 2012年08月06日 00時00分 公開
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D-Aコンバータ

 D-AコンバータICとは、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して出力するアナログ・チップのこと。

 デジタル化の進展に伴い、活躍の機会が飛躍的に増えている。現在、ほとんどの電子機器がマイコンやDSP、FPGAといったデジタル・チップを搭載しているが、人間や自然とのインターフェイスはアナログ量だからだ。このため、デジタル処理を施した信号をアナログ量に変換しなければならない。例えば、音、映像、画像、モーション、電波、光などのアナログ量である。この変換に使われるチップがD-AコンバータICなのである。オーディオ・ビジュアル(AV)機器、有線通信機器、無線通信機器、モーター駆動機器などでは欠かせないチップだ。

分解能とサンプリング速度はトレードオフ関係

 D-AコンバータICにとって重要な特性は、分解能とサンプリング速度(変換速度)である。分解能は高ければ高いほど、より正確で、より滑らかなアナログ信号が得られる。一方、サンプリング速度は高ければ高いほど、周波数の高いアナログ信号を生成できる。一般に、分解能とサンプリング周波数はトレードオフの関係にあり、サンプリング速度が高いチップは、分解能が低く、分解能が高いチップはサンプリング速度が低い傾向にある。このため、アナログ半導体メーカーは、高い分解能と高いサンプリング速度を両立させる技術の開発に取り組んでいる。

 D-AコンバータICを選択する際に気を付けるべき特性はまだある。例えば、微分非直線性誤差がある。データシートなどに記載されているDNLがそれだ。DNLとは、Differential Non-Linearityの頭文字を取った言葉である。この特性は、入力信号と出力信号の理想的な関係(直線関係)から、実際はどの程度ずれているかを示すものである。単位はLSB(Least Significant Bit)であり、この特性がゼロに近ければ近いほど誤差の少ない高精度なD-AコンバータICだと言える。

 このほか、気を付けるべき特性としては、積分非直線性誤差(INL:Integral Non-Linearity)、ダイナミック・レンジ、全高調波歪み(THD:Total Harmonic Distortion)、SN比などがある。

主流は抵抗ラダー方式

 D-AコンバータICには、回路方式が複数ある。例えば、抵抗ラダー型、抵抗ストリング型、容量アレイ型、ΔΣ(デルタ・シグマ)型、電流源スイッチ型(電流ソース型)などがある。いずれも長所と短所があり、用途によって使い分ける必要がある。

 これらの中で主流なのは抵抗ラダー型である。分解能は8〜12ビット、サンプリング速度は1Mサンプル/秒程度が得られる。高速用途には向かない。しかし、構成が簡単で、回路規模が小さいため、サーボ制御やモーター制御などのさまざまな用途で使われている。なお、容量アレイ型は、抵抗ラダー型の抵抗をコンデンサに置き換えたものだ。

 高速動作に向くのは、電流源スイッチ(電流ソース)型である。重み付けした電流源(電流ソース)を並べ、入力されたデジタル値に応じてスイッチを駆動することでアナログ値に変換する。分解能は8〜16ビット、サンプリング速度は1Gサンプル/秒程度が得られる。ただし、回路規模や消費電力が大きくなる。映像信号処理機器や通信機器などで使われている。

 高い分解能が必要な用途には、ΔΣ型が向く。ΔΣ変調を利用したタイプで、18〜24ビットと高い分解能が得られる。ただし、サンプリング速度は低い。高くても数10Mサンプル/秒である。オーディオ・ビジュアル機器などで採用されている。

1.5Gサンプル/秒のD-AコンバータIC

 テキサス・インスツルメンツ(TI)社は、さまざまなD-AコンバータICを製品化している(図1)。その中で、最も高速なのは、サンプリング速度が1.5Gサンプル/秒の「DAC34SH84」である。電流源スイッチ(電流ソース)型を採用しており、分解能は16ビットである。サンプリング速度は極めて高いが、十分に高い分解能を確保している。

 電源電圧は+1.8V単一で動作する。消費電力は、1.5Gサンプル/秒動作時でも1.8Wと比較的低い。携帯電話の基地局などに向ける。

photo 図1 TI社の高速D-AコンバータICの品ぞろえ

テキサス・インスツルメンツのDAコンバータ製品ラインナップ


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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