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入力バイアス電流これだけは知っておきたいアナログ用語

» 2013年08月05日 00時00分 公開
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入力バイアス電流

 入力バイアス電流とは、オペアンプなどの入力端子に流れ込む微少な電流、もしくは入力端子から流出する微少な電流のこと。理想的にはゼロだが、実際には微少な量が流れてしまう。一般に、オペアンプではIbやIBIASという記号で表記される。

 この入力バイアス電流は、オペアンプの精度(誤差)を決める重要なパラメータである。通常、入力端子には抵抗が接続されており、ここに電流が流れると電圧降下が発生する。この電圧降下分がオペアンプによって、入力信号とともに増幅されると、出力信号のグラウンド・レベルが変動してしまうからだ。つまり、信号の精度が低下してしまう。

 具体的に説明しよう。仮に、入力バイアス電流が0.5μAと小さくても、抵抗が100kΩもあれば、50mVと大きいオフセット電圧成分が発生する(図1)。これがオペアンプで増幅されれば、出力信号のグラウンド・レベルはかなり大きく動いてしまう。従って、高い精度が求められる用途で使うオペアンプには、使用する抵抗の大きさにも依存するが、入力バイアス電流がnAオーダー、もしくはpAオーダーと極めて小さい品種を選ぶ必要がある。

図1 入力バイアス電流によってオペアンプの精度が低下する理由

 それでは、入力バイアス電流が小さいオペアンプICの実例を紹介しよう。例えば、テキサス・インスツルメンツ(TI)では、高精度オペアンプIC「LMP7721」を市場に投入している。このオペアンプICの入力バイアス電流は、+25℃における標準値が±3fA、最大値が±20fAと極めて低い。入力バイアス電流を除去する回路を導入することで達成した。しかも、オペアンプの精度にとって重要なもう一つのパラメータである入力オフセット電圧についても、±26μV(標準値)と低い値を実現している。

 このほかの基本的な特性としては、利得帯域幅(GB)積が17MHz、オープン・ループ利得が120dB、入力換算雑音電圧密度6.5nV/√Hz(1kHzにおける値)、全高調波歪み(THD)は0.0007%、スルー・レートが12.76V/μsである。電源電圧は+1.8〜5.5Vで動作する。パッケージは8ピンSOPである。高インピーダンス・センサやフォトダイオードなどの後段に置くアンプ回路向け。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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