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全高調波歪みこれだけは知っておきたいアナログ用語

» 2013年11月25日 00時00分 公開
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全高調波歪み

 全高調波歪み(全高調波歪み率)とは、信号に含まれる高調波成分すべての実効値の総和と、基本波成分の実効値の比を表した特性値のこと。単位はdB、もしくは%を使用する。英語ではTotal Harmonic Distortionと記述するため、その頭文字を取ったTHDという名称で呼ばれることも多い。

 全高調波歪みは、その値が小さければ小さいほど歪みが小さいことを意味し、大きければ大きいほど歪みが大きいことを示す。一般に、A/DコンバータやD/Aコンバータ、オーディオ・アンプ、オペアンプなどの性能を示す際に利用されている。

発生理由は非線形性にあり

 通常、データ・コンバータやアンプなどは、増幅機能が搭載されているため、入力と出力の関係が非線形となる。従って、入力が純粋な正弦波であっても、出力にはその高調波成分が含まれてしまうことになる。どの程度の次数の高調波が含まれるのか。それは、それぞれのICの非線形性の強さで異なる。そこで、全高調波歪みでは、2次〜n次までの高調波成分すべての実効値を求め、基本波成分の実効値と比較することで算出している。

 なお、全高調波歪みに近い特性値として、全高調波歪み+雑音(THD+N)が存在する。高調波成分の実効値のほかに、雑音(ノイズ)成分の実効値を加えてから、基本波成分の実効値と比較することで、その値を求めている。オーディオ・アンプなどでは頻繁に登場する特性値である。

図1 OPA847の高調波特性
図は、第2次高調波と第3次高調波の成分だけをグラフにプロットしている。

 それでは、実際に市販されているICの全高調波歪み(THD)の大きさを確認してみよう。具体的な例に取り上げるのは、テキサス・インスツルメンツ(TI)の電流帰還型オペアンプIC「OPA847」である。このオペアンプICは、帯域幅が広い上に雑音や歪みが小さいことが特長だ。帯域幅(GB積)は3.9GHz。入力換算雑音電圧密度はわずか0.85nV/√Hzである。全高調波歪み(THD)は1kHzにおいて−96dBcと低い値が得られている(図1)。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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