入力換算雑音(Input Referred Noise)とは、オペアンプや計装(インスツルメンテーション)アンプなどの特性を表すパラメータの1つ。アンプの内部で発生した雑音をすべて入力で発生したと換算して算出する。アンプには、利得が存在するからだ。入力で発生したと換算しなければ、利得が大きければ雑音も大きく、利得が小さければ雑音も小さくなり、アンプ自体の雑音特性を公平に評価できなくなってしまう。従って、出力雑音を利得で割ることで入力換算雑音を求めて評価する。
ただし、多くのオペアンプや計装アンプでは、出力雑音をスペクトラム解析し、それを利得で割ることで周波数ごとの入力換算雑音を公表している。これを入力換算雑音密度と呼ぶ。
入力換算雑音には、電圧性と電流性が存在する。例えば、入力換算雑音電圧の単位は「μVrms」や「nVrms」など。入力換算雑音電圧密度の単位は、「nV/√Hz」や、「μV/√Hz」などを使う。
入力換算雑音密度(入力換算雑音も同様)には、周波数依存性があるので注意してほしい。一般に、入力換算雑音密度は、周波数が低ければ低いほど大きく、周波数が高ければ高いほど小さくなる。しかも、周波数が低い領域では、急激に入力換算雑音密度が大きくなる。従って、データシートなどに「入力換算雑音密度が低い」と書かれていた場合は、その値がいくつの周波数における数字なのかを確認した方がよい。通常は、10Hzや1kHz、10kHzにおける入力換算雑音密度が記載されている。
オペアンプICでは、どの程度の値であれば、入力換算雑音電圧密度が低いと言えるのであろうか。非常に低い製品では、1kHzにおいて1nV/√Hzを下回るものもあるが、アナログ半導体業界では、数十nV/√Hz以下であれば「低雑音品(ロー・ノイズ品)」とうたっているケースが多いようだ。
例えば、テキサス・インスツルメンツ(TI)では、低雑音のオペアンプICとして、入力換算電圧雑音が1.1nV/√Hzの「OPA211」を製品化している。周波数が1kHzにおける値である。利得帯域幅積(GB積)が80MHzと広く、入力オフセット電圧が50μV(最大値)と小さいことも特長である。主な用途としては、産業機器や計測機器などを想定している。
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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日
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