抽象的な言語やモデルで記述できるソフトウェア設計やロジック回路設計では、効率良く設計を行うためのさまざまなツールがそろっており、ツールなしでの設計は考えられない。一方、アナログ回路設計では、回路方式や各種部品の選択肢が複雑、膨大になるため、SPICEなどの回路シミュレータを除けば標準的なツールも少なく、経験に頼った手作業での設計も多くなっている。
そんな中で、テキサス・インスツルメンツ(TI)のWEBENCH® オンライン設計支援ツールは、実用的なアナログ設計に役立つツールとして定評がある。DC/DCコンバータを中心とする電源設計をはじめ、LEDライティング、PLL/タイミング回路、アクティブ・フィルタ、センサ回路など、ジャンルに応じて豊富なツールが用意されており、新しいツールの追加や機能拡張も頻繁に行われている。アナログ回路設計の経験が少ない設計者でも、最適化したアナログ回路を簡単に設計することが可能だ(図1、2)。
最近、機能や対応製品の分野がますます充実している。まず、機能の面では、「WEBENCH Schematic Editor」の導入により、設計した回路を編集できる機能が追加された。さらに、新ツールとして、アクティブ・フィルタの設計に向けた「WEBENCH Active Filter Designer」、クロック・ツリーの設計に向けた「WEBENCH Clock Architect」などが追加され、対応する製品が増えた(表1)。
Processor Power Architect | プロセッサ用複数負荷電源回路 |
---|---|
FPGA Power Architect | FPGA用複数負荷電源回路 |
Power Architect | 複数負荷電源回路 |
LED Architect | LEDライティング用複数負荷電源回路 |
System Power Architect | システム用複数負荷電源回路 |
PMU Power Architect | PMU複数負荷電源回路 |
WEBENCH Export | 設計データのエクスポート・ツール |
Schematic Editor | 設計回路の編集ツール |
Power Designer | 単一出力電源回路 |
Power Designer Parts Listing | WEBENCH Power Designer対応製品一覧 |
LED Designer | LEDライティング用単一出力電源回路 |
Inductive Sensing Designer | 誘導型近接センサ回路 |
Sensor Designer | センサ回路 |
Active Filter Designer | アクティブ・フィルタ回路 |
Filter Designer | フィルタ回路 |
Amplifier Designer | アンプ回路 |
EasyPLL | PLL回路 |
Clock Architect | クロック・ツリー設計 |
ますますツールが充実し、対応製品も大幅に増加している。 |
WEBENCH Designerを運用するサーバ・インフラも改善している。この結果、シミュレーション機能を利用した際の処理時間を最大で50%高速化した。
このシリーズでは、ますます進化を遂げるWEBENCHオンライン設計支援ツールの概要と使用手順について紹介する。
WEBENCHオンライン設計支援ツールの大きな特長は、TIのWebサイトから無償で利用できるオンラインツールだという点だ。オンラインということから、次に述べるようなさまざまな利点が得ることができる。
(1) インストール不要でどこからでも使える
あらかじめツールをインストールしたり、特定のPCでライセンス認証したりする必要はない。インターネット接続環境とWebブラウザ(およびAdobe® Flash®)があれば、どこからでも利用できる。設計結果はTIのサーバ上に用意される個人ページ(My Designs)に蓄積され、いつでも呼び出して参照、編集することが可能で、他の設計者との情報共有も容易にできる。
(2) 常にアップデートされた最新のツールを使える
WEBENCHオンライン設計支援ツールは、常に新しい機能の追加や修正のためのアップデートが行われており、いつでも最新の機能を利用できる。ユーザーにとっては、アップデートのたびにインストールやアクティベートを行う手間が不要で、面倒なライセンス管理やバージョン管理も不要だ。
(3) 豊富な部品データベースから最適の部品を選択
主にLSIだけで構成されるロジック回路とは異なり、アナログ回路ではL、C、Rなど多数の受動部品や、ダイオード、トランジスタなどの能動部品をICと組み合わせて使用する。これらの部品の特性によって、アナログ回路全体の性能や基板占有面積、部品コストが大きく変わる。WEBENCHオンライン設計支援ツールでは、TIのアナログICだけでなく、120社の部品メーカの4万点以上の部品をデータベース化し、設計者が必要とする最適な部品を選択できる。この部品データベースも常時アップデートされており、いつでも最新の部品を選択可能だ。
(4) 設計、シミュレーションから部品発注、試作までワンストップ
WEBENCHオンライン設計支援ツールは、アナログ回路設計で必要な仕様入力、定数計算、部品選択、最適化からシミュレーションによる設計検証まで、誰にでも分かりやすくシームレスに実行できる。さらに、設計結果のリポート出力、使用する部品の発注、基板CAD用設計データのダウンロードなど、試作や少量生産に必要な作業もすべてワンストップで行うことが可能だ。
WEBENCHオンライン設計支援ツールの利用方法や最新情報は、TIのWebサイトにあるWEBENCH デザイン・センターでトータルにサポートされている。日本語のヘルプや動画(日本語字幕付き)も豊富に用意されており、初めてでも安心して利用できる(図3)。
※ WEBENCHはTexas Instrumentsの登録商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日
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第24回 割り込みっていろいろあるのですか?どんな種類があるか教えてください。
今回は、外部割り込み、内部割り込み、ソフトウェア割り込みについて詳しく解説しています
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