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14GHzに対応したPLLシンセサイザ、ミリ波帯を含む通信システムやFMCWレーダーに最適【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ

» 2014年07月18日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 サブミリ波帯からミリ波帯を使うアプリケーションが拡大しつつある。例えば、2020年の実用化を目指した40GHz帯を使う列車無線や船舶無線、60GHz帯を使う「WiGig」(IEEE 802.11ad)などの無線通信、60GHz帯などを使うモバイルバックホール、24GHz/26GHz帯または60GHz/77GHz帯または79GHz帯を使う自動車用レーダー・システムなど、数多くのアプリケーションが立ち上がろうとしている。

 こうしたシステムで基準となる信号を生成するのがGHzオーダーに対応した「周波数シンセサイザ」あるいは「PLLシンセサイザ」である。通信システムにおいては、局部発振器として、規格で決められた正確なキャリア周波数を生成し、かつ、チャネル・ホッピング制御に応じて周波数を高速に切り替えられることが求められる。

 また、FMCW(周波数変調連続波)方式などのレーダー・システムにおいては、周波数変調を適用した照射信号を生成する役割を担う。

業界トップレベルとなる最高14GHzの信号生成に対応

 こうした周波数シンセサイザ/PLLシンセサイザに対するニーズの高度化に応えて、TIが開発したのが、業界トップレベルとなる最高14GHzの信号生成が可能な、フラクショナルN PLL「LMX2492」および車載グレード品の「LMX2492-Q1」である(図1)。

図1 最大14GHzに対応したTIのフラクショナルN PLL「LMX2492」
業界最高クラスの最大14GHzの生成に対応した他、正規化位相ノイズ−227dBc/Hz、最高位相検出周波数は200MHz、変調の設定機能など、優れた性能と機能が特長である。

 対応周波数範囲は500MHzから最高14GHzと高い。14GHzまで生成できるのはワンチップ型PLLとしてはLMX2492が世界初である。なお、LMX2492はVCOが外付けタイプであり、アプリケーション周波数に応じてVCOと組み合わせて使用する。

 また、周波数変調を最大8項目まで設定できる自由度の高さが特長で、FMCW方式の車載レーダーなどにも活用できる。FSK変調およびPSK変調も可能だ。

 その他の主な仕様を簡単に紹介すると、正規化位相ノイズは業界トップクラスの−227dBc/Hz、入力クロック周波数範囲は10MHzから1.2GHz(シングルエンド入力時は最高600MHz)、位相検出周波数(PDF)は最高200MHz、チャージポンプ回路を含めた消費電力は動作条件によって異なるが代表値で最大74mA、パッケージは24ピンのWQFNで4.0mm×4.0mmサイズとなっている。

 内部ブロック図と周辺回路は図2の通りだ。16ビットのR分周回路、4/5プリスケーラ内蔵の18ビットN分周回路、および24ビットのΔΣ変調回路を内蔵しており、生成できる周波数の分解能も高い。

図2 LMX2492の内部ブロック図と外部回路例
外付けVCOとの組み合わせにより周波数シンセサイザを構成できる。16ビットのR分周回路、4/5プリスケーラ内蔵の18ビットN分周回路、および24ビットのΔΣ変調回路を内蔵。チャージポンプ回路の電源電圧は3.15Vから5.25Vと使いやすい範囲に設定されている。

最大8項目のランプ設定で複雑な変調波形を構成可能

 LMX2492の特長のひとつが自由度の高い変調機能だ。車載レーダーに使われるFMCWのようなアプリケーションでは三角波状やノコギリ波状の周波数変調が求められる。例えば、9.4GHzからスタートし、100μsの間に9.8GHzまでリニアに周波数を上げ、100μs経過したら9.4GHzに戻って以上の動作を繰り返す、といった変調である。

 一般的な周波数シンセサイザあるいはPLLでは三角波またはノコギリ波といった変調モードを設けてこうした機能を実現しているが、より複雑な変調には対応できなかった。

 LMX2492では、変調開始周波数、変調終了周波数、変調時間長さの諸項目を最大8組まで設定して変調シーケンスを構成することができる。そのため、三角波やノコギリ波による単純な変調だけではなく、例えば台形状の変調や、傾きが途中で変わる複雑なノコギリ状の変調なども容易に生成可能だ。

 また、TIから無償で提供される「CodeLoader」というWindowsベースのソフトウェアを使えば、開始周波数、終了周波数、時間の長さ、次のシーケンス番号などの各パラメータをグラフィカルに設定できる(図3)。実際に8項目の設定すべてを使って生成した複雑な変調波形の例を図4に示す。

 例えばレーダー分野で、検出精度を高めた新たなアルゴリズムが将来的に開発される可能性もあり、そうした研究開発やアプリケーションにおいても自由度の高いLMX2492の変調機能は有用だ。

図3 クロックデバイス設定ツール「CodeLoader」の設定画面
開始周波数(VCO Start Frequency、図示せず)の他、終了周波数(Desired End Frequency)、長さ(Duration)、シーケンス番号(Next Ramp)などを8組まで設定して複雑な変調波形をグラフィカルに操作できる。
図4 8組のランプ設定で生成した変調波形の例
図3の設定内容で生成した変調波形の例を示す。縦軸は周波数で、開始周波数の9.6GHz(測定値は1/2の4.80GHz)と終了周波数の9.7GHz(測定値は1/2の4.85GHz)との間を往復する複雑な変調を外部VCOに与えることができる。

周波数シンセサイザ/PLL製品を幅広くラインアップ

 LMX2492はミリ波帯を含む自動車用レーダー・システム(ADAS)、宇宙分野や航空分野向けのレーダー機器、モバイル・バックホール・システム、通信システムなどに最適なPLLである。例えばバックホール・トランシーバにLMX2492を搭載すると、位相検出器や分周回路などがワンチップに統合され、部品点数の削減や実装面積の小型化が図れる(図5)。

図5 マイクロ波のバックホール・トランシーバに応用した例
位相検出器、分周回路、ΔΣ変調回路などがLMX2492に統合されるため、実装の小型化や部品点数の削減が図れる。

 また、こうした高周波を対象とした測定器や、通信やレーダーのアルゴリズムを検証する研究や試作開発にも最適だ。

さらに、業界初のクロック/タイミング設計支援ツールであるWEBENCH Clock ArchitectはLMX2492に対応している。このツールは広範なデバイス・データベースから、システム・クロック・ツリー・ソリューションの推奨とシミュレーションが行え、PLLのループ・フィルタの設計の他、位相ノイズやジッタのシミュレーション機能も持っており、特定のアプリケーション向けにソリューションの最適化が可能だ。

 TIのPLLおよび周波数シンセサイザ・ファミリのポートフォリオを図6に示した。高度化するニーズに応えられるよう、最上位に位置づけられる今回のLMX2492の他に、VCO内蔵型で4.00GHzまで生成可能な「LMX2541」などの周波数シンセサイザと、最高7.5GHzに対応したフラクショナルN PLL「LMX2487E」などのPLLを取りそろえている。

図6 TIの周波数シンセサイザおよびPLLの製品ポートフォリオ
32MHz(LMX2541)から14GHz(LMX2492)まで、幅広い周波数範囲に対応した高性能な製品をラインアップする。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日

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