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設計支援ツールでアナログ回路を簡単設計(2) 単一電源設計を強力にサポートするWEBENCH® Power Designer【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ

» 2014年08月25日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 電源はどのようなシステムにも必要な回路だが、その設計には単なるアナログ設計の知識だけでなく、電源トポロジーの種類、制御ICやパワーデバイスの選択、コイル・コンデンサの定数計算など、電源設計に固有の知識が要求される。さらに、システムの小型化や消費電力の低減、コストダウンなどの要求も日に日に厳しくなっている。

 そんな中で、電源の専門家でなくても、熟練した設計者と同様の観点で最適な電源設計を実現できる設計支援ツールとして、WEBENCH® Power Designerは多くの設計者に利用されてきた。

 WEBENCH® Power Designerは、単一出力の電源設計に用いられる。基本的な操作は(1)電源仕様の入力、(2)電源ICの選択、(3)詳細設計の検討の3ステップだ。具体的な設計例を見てみよう。

図1 3ステップで電源設計

ステップ1 「電源仕様の入力」

 WEBENCH® オンライン設計支援ツールのスタート画面で、基本的な電源仕様として最小入力電圧、最大入力電圧、出力電圧、負荷電流を入力する。

 ここでは、USBなどの5V系入力から3.3V/3A出力を得る電源の例を考えてみよう。

最小入力電圧 4.5V
最大入力電圧 6V
出力電圧 3.3V
負荷電流 3.0A

 「設計を開始」のボタンをクリックすれば、Visualizer画面が開く。

ステップ2 「電源ICの選択」

 Visualizerは、ステップ1で入力した仕様に適合する電源ICの候補一覧を表示してくれるツールだ。このとき、単に電源IC自体のスペックを比較するのではなく、各電源ICを用いて標準的な設計を行った場合のサイズ、効率、部品コストが自動的に算出され、バブル・チャートを用いて直感的に比較できるのが大きな特長だ。

図2 Visualizer画面

 バブル・チャートはサイズを縦軸、効率を横軸、部品コストをバブル径にとった三次元チャートだ。ここで第1候補となっている電源ICは、この3つのパラメータのバランスが最も良いもの、すなわちチャートの右下で、かつバブル径が小さいものであることが分かる。ただし、サイズ重視、効率重視、コスト重視など評価ポイントを変えれば、他にも適切な候補を選択できることが分かる。

 さらに、電源IC一覧表には回路図や部品イメージなどのグラフィカルな情報も表示されており、最適な電源ICを容易に選択できる。

 一覧表の中から電源ICを選択して、「設計を開く」ボタンをクリックすれば、WEBENCH® Power Designerのメイン画面が開く。

ステップ3 「詳細設計の検討」

 WEBENCH® Power Designerでは、選択したICを使用した標準的な回路設計の特性図、回路図、動作値、部品表が一覧表示されている。それぞれの図、表をクリックすれば、個別に拡大して表示される。また、上部に表示されたメニューボタンで機能を選択できる。必要があれば、Visualizerに戻ってやり直すことも簡単にできる。

図3  WEBENCH® Power Designerのメイン画面

 例えば、回路図を拡大してみよう。

 この回路図はインタラクティブな回路図で、各部品をクリックすれば特性などの情報を表示できるだけでなく、別の部品をデータベースから選択して置き換えたり、任意の特性の部品を編集したりすることもできる。回路図で部品の置き換えや編集を行うと、特性図、動作値、部品表などの情報も自動で再計算され、他の図、表に反映される。

 さらに、最近追加された機能、WEBENCH® Schematic Editorにより、単に部品の置き換えだけでなく、回路図そのものを編集することも可能になっている。

 回路の動作を検証するために、WEBENCH® Power Designerは電気的シミュレーションと熱特性シミュレーションの機能も備えている。このシミュレーション機能を活用すれば、実際に回路を試作する前に回路の詳細な動作を適切に検証できる。

図4  WEBENCH® Power Designerの回路図画面

 インタラクティブな部品情報の表示と部品の置き換えは、部品表画面からもできる。

 WEBENCH® オンライン設計支援ツールは、TIの豊富なアナログICに加えて、120社以上のメーカーが提供する4万点以上の部品をサポートし、常に最新の状態にアップデートされている。経験が少ない設計者でも、専門家と同じように最適化したアナログ回路を簡単に設計できる。

 さらに、WEBENCH® Power Designerの大きな特長として、設計において重視するポイント「サイズ、効率、部品コスト」を選んでさらに高度な最適化を可能にする5段階の最適化ダイヤルがある。標準的な設計では満足できないとき、最適化ダイヤルをサイズ重視、効率重視の方向に回すだけで、専門家と同じような最適化を容易に実行できる。

 WEBENCH® Power Designerによる設計結果は、TIのサーバに作られたマイページに保存されるとともに、PDFでの出力、基板レイアウトのCADプラットフォームへのエクスポート、他の設計者との共有などの活用ができる。

 次回は、電気的シミュレーション、熱特性シミュレーション、最適化ダイヤルの活用について紹介しよう。

※ WEBENCHはTexas Instrumentsの登録商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日

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