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IGBTこれだけは知っておきたいアナログ用語

» 2014年10月06日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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IGBT

 IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)とは、入力部がMOS構造で、出力部がバイポーラ構造のSi(シリコン)製パワー・トランジスタ(パワー半導体)のこと。日本語では、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタと呼ぶ。

 一般に、低耐圧を得意とするSi製パワーMOSFETは、耐圧を高めるとオン抵抗が高くなってしまう。高耐圧を得意とするSi製バイポーラ・トランジスタはスイッチング速度が遅い。この2つの問題を解決すべく誕生したのがIGBTである。両者の構造を取り入れることで、低い飽和電圧(パワーMOSFETのオン抵抗に相当)と、比較的速いスイッチング特性を両立した。耐圧の対応範囲は、約400〜約3000Vである。400V以下はSi製パワーMOSFETが、3000V以上はSiバイポーラ・トランジスタなどが使われている。

50kHz超のスイッチングが可能に

 IGBTが最初に製品化されたのは、1980年代前半のことである。現行のIGBTが採用するノンパンチ・スルー型(オフ時に空乏層がコレクタに接触しないタイプ)の製品化が始まったのも1988年とかなり前のことだ。

 それから約25年間。素子構造を徐々に改良しながら、飽和電圧の低減とスイッチング特性の改善を少しずつ進めてきた。現在では、飽和電圧は1.5V程度に下がっており、スイッチング特性は50kHzを超える周波数にも対応できるようになっている。しかも、バイポーラ・デバイスであるため、同耐圧のSi製パワーMOSFETに比べると、価格がかなり低いというメリットもある。

 ただし、スイッチング特性が改善されたとはいえ、Si製パワーMOSFETに比べるとかなり見劣りする。これがIGBTの弱点である。Si製パワーMOSFETを使えば、100kHzを超える周波数での動作が可能である。スイッチング周波数が高ければ、電源回路全体の外形寸法を小さく、重量を軽くできるようになる。従って、電源回路の小型化や軽量化が求められる用途では、IGBTの採用は難しい場合もある。

 さらに最近になって、IGBTの得意とする耐圧領域に、SiCパワー半導体やGaNパワー半導体が投入され始めた。これらの次世代パワー半導体は、オン抵抗が低いと同時に、高いスイッチング周波数を実現できることが特長だ。IGBTが不得意なスイッチング周波数の問題を解決できる。しかし、次世代パワー半導体はいずれも製品化が始まったばかりで、本格的な普及にはまだ時間がかかると見られている。

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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日

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