WEBENCH：これだけは知っておきたいアナログ用語

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WEBENCH

　「WEBENCH」は、テキサス・インスツルメンツ（TI）が提供するオンライン設計支援ツールのこと。もともとは、ナショナル セミコンダクター社によって開発され、1999年にサービスの提供が始まった。2011年にナショナル セミコンダクター社がTIに買収されたことを受けて、サービス提供主はTIへと移行した。現在、TIのウェブサイト「WEBENCH デザイン・センター」からサービスを利用できる。

現在では20を超えるツールが利用可能に

　1999年にサービスの提供が始まった当初は、電源回路設計に向けたツールのみを提供していた。しかしその後、利用できるツールは随時追加され、2014年12月の時点では21個まで増えている。

　例えば、電源回路設計向けツールでは、単一出力の電源回路設計に向けた「Power Designer」や、電源回路の編集ツール「Schematic Editor」、複数負荷の電源回路設計に向けた「Power Architect」、FPGA向け複数負荷の電源回路設計に向けた「FPGA Power Architect」、LEDライティング向け複数負荷の電源回路設計に向けた「LED Architect」などを用意している。アンプやフィルタ、クロックなどのアナログ回路設計に向けたツールとしては、アンプ回路設計に向けた「Amplifier Designer」や、アクティブ・フィルタ回路設計に向けた「Filter Designer」、クロック・ツリー設計に向けた「Clock Architect」、基準電圧源の選択ツールである「Voltage Reference Selector」、誘導型近接センサの設計に向けた「Inductive Sensing Designer」、センサ用アナログ・フロントエンド設計に向けた「Sensor AFE & Sensor Designer」などがある。

　ツールによって作業できる内容は異なるものの、アナログ回路の最適化や、要求性能にあった回路方式やICの選択、周辺部品の回路定数の決定、部品（BOM：bill of materials）リストの作成、実際の部品購入などを実行できる。いずれのツールも無償で利用可能で、ユーザー登録を実行するだけですぐに使える。

　TIが提供するWEBENCHオンライン設計支援ツールのメリットとしては、大きく4つのポイントが挙げられる。第1に、インストールは不要で、どこからでも利用できることだ。このため、あらかじめツールをインストールしたり、特定のPCでライセンス認証したりする必要はない。インターネット接続環境とWebブラウザがあれば、どこからでも利用できる。第2に、常にアップデートされた最新ツールを利用できることである。新しい機能の追加や修正が常時実行されており、いつでも最新の機能を使える。

　第3に、豊富な部品データベースから最適な部品を選べることである。アナログ回路設計に使用する受動部品や能動部品は、TIのアナログICだけでなく、120社を超える部品メーカの4万点以上の部品データベースの中から最適なものを選択できる。しかも、新しい部品が登場すれば、その都度、データベースに登録することが可能だ。第4に、設計、シミュレーションから部品発注、試作までをワンストップで実行できることだ。

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