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8GHzの広帯域と12ビットの高分解能、5Gポイントのロングメモリを同時に実現するテレダイン・レクロイのローノイズ・オシロスコープWavePro HDIoT時代に求められる高分解能オシロスコープ

12ビットという高分解能と、最大8GHzの周波数帯域、20GS/sという高速サンプリングを同時実現するオシロスコープ「WavePro HDシリーズ」が登場した。新次元のオシロスコープと呼べるWavePro HDシリーズが真価を発揮する応用方法を紹介していこう。

» 2018年07月18日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 あらゆる分野でIoTが叫ばれている今日、より低消費電力でより高速、高性能を求める声を背景に、多くの組み込み機器にCPUをはじめとした携帯機器の技術が導入されています。さらなる低消費電力の実現に向けて鍵になる技術は多くあります。例えば、CPUの電源電圧を低電圧化しながら、インタフェースや多様なセンサなどさまざまな部品に対して個別に最適な電圧を供給する複雑な電源供給ネットワーク技術や高解像度の映像などの大量のデータを瞬時に処理するための高速信号処理技術があります。他にも、高機能を限られたスペースに収める高いレベルの集積化やコンパクトな空間に高速信号が飛び回る環境下で安定な動作を保証するノイズ管理技術などが挙げられます。こうした技術を用いる機器開発においては、多様な信号に対応する柔軟性はもちろんのこと、高速で小振幅信号を高い精度で計測できるオシロスコープが望まれてきました。

エンジニアの期待する高分解能オシロスコープ

 こうした時代の要望を背景に、各計測器メーカーは、高精度に微小信号を測定できるオシロスコープとして、10ビットや12ビット、あるいは16ビットの高分解能をうたった製品を販売しています。こうした高分解能オシロスコープのカタログには、最高分解能と最高帯域、最高サンプリング速度、最大メモリ長などの仕様が列記されています。そしてエンジニアは、カタログの全ての仕様が同時に実現できるものと期待します。しかし、多くのオシロスコープは、最高分解能を実現するモードにおいて、帯域やサンプリング速度が制限を受けるという不都合が生じてしまうことが少なくありません(図1)。

図1:「WavePro HD」(緑)と従来機種「HDO9000」(赤)の性能比較したレーダー・チャート
分解能を向上することにより、帯域やサンプリング速度が制限を受ける。

 高分解能オシロスコープのパイオニアであるテレダイン・レクロイが2011年に業界に先駆けて発表した最初の12ビットオシロスコープ「WaveRunner HROシリーズ」は、こうした分解能と帯域/サンプリング速度のトレードオフの関係はありませんでした。WaveRunner HROシリーズは、設定条件によらず常時12ビットの高分解能を提供する独自の高分解能テクノロジを採用し分解能と帯域/サンプリング速度を両立しました。

図2:8GHz帯域、12ビット分解能の「WavePro 804HD」

 そしてこのほど、WaveRunner HROシリーズの上位機種となるオシロスコープ「WavePro HDシリーズ」(図2)が発表されました。WavePro HDシリーズは、さらに進化した高分解能テクノロジを実現する新たな独自チップ・セット(図3)を搭載し、最高8GHzの周波数帯域と20GS/sの高速サンプリング速度を実現しながら、常時12ビットの高分解能を提供することができます。全ての仕様を妥協することなく同時に実現できるというエンジニアの期待に応える新次元の製品と言えます。

図3:「WavePro HD」用に開発されたチップセット

AD変換器だけではない高分解能の鍵

 実用的な高分解能オシロスコープは、単に高分解能のAD変換器を搭載すれば実現できるわけではありません。従来の信号経路に高分解能のAD変換器を搭載するだけでは、8ビットなど低分解能のAD変換器では目立たなかったノイズが顕在化するだけです。また、移動平均やローパス・フィルタといったデジタル信号処理によってノイズを低減する手法では、前述のようなトレードオフ関係が発生し、高分解能を得るには、周波数帯域やサンプリング速度を犠牲にしなければなりません。

 テレダイン・レクロイでは、高速で高分解能のAD変換器に加えて、広帯域でローノイズのフロントエンド・アンプも開発し、かつ実装面でもノイズの混入を抑える設計を行っています。高分解能の鍵は、こうした3つの重要な構成要素をまとめた統合技術であり、WavePro HDではシステム全体のノイズ・レベルを低減することにより、8GHzの最高帯域においても7.0ビットの有効ビット数(ENOB)を実現しています。また、直流ゲイン精度もフルスケールの±0.5%と圧倒的な精度を保証します。図4は、同じステップ信号を従来の8ビット・オシロスコープと12ビットのWavePro HDとで捕捉した波形データを比較したものです。帯域に差がないので、波形全体の形は同じですが、各々の拡大波形を見ると8ビット・オシロスコープでは、AD変換器の量子化レベルが見えてしまっているのに対して、12ビットのWavePro HDでは波形の詳細が確認できます。周波数帯域を維持したまま、12ビット分解能を達成できるWavePro HDの真価の一端を確認いただけると思います。

図4:「WavePro HD」と従来型8ビット・オシロスコープの波形比較

長時間捕捉を実現する5Gポイント超ロングメモリ

 高速信号を捉えようとすると、帯域が広いだけでなく高いサンプリング速度が必要となることはナイキストの定理からも明らかです。8GHz帯域を持つWavePro HDは、最高20GS/sのサンプリング速度を実現しています。高度な機器の複雑な動作の解析に長時間の信号捕捉が必要なケースが増えていますが、サンプリング速度と捕捉時間は反比例の関係にあるため、高いサンプリング速度を維持したまま(つまり広い帯域を確保したまま)長時間の信号を捕捉するためには、大容量のメモリが必要となります。WavePro HDには最大5Gポイントのメモリ・オプションが用意されており、20GS/sのサンプリング速度において(最高8GHzの帯域で)、250msもの長さの波形データを単発で捕捉できるので、特にデバッグ能力を強力にサポートします。

WavePro HDの能力が最大限に発揮される3つの代表的なアプリケーション

1. 高精度の電源ノイズ・アナライザ

 低電圧化しながら、高速化を行う際に顕在化する問題としてパワーインテグリティがあります。パワーインテグリティの問題は、同時スイッチングによるグランドバウンスを代表例とした電源ノイズ解析が重要ですが、これまではプリント基板レベルでの解析が主な課題として取り上げられてきました。しかしながら、多くの機能をIC内に取り込み集積度を高め、さらに高速化を図る現在の組み込み機器では、ICチップ内のパワーインテグリティの重要度が増しています。ICチップ内の現象は、ボードレベル(数百メガヘルツ程度)とは異なり、ギガヘルツを超える高速の現象で、対応する広い帯域と微小なノイズを正確に捉えるための高精細測定が求められます。WavePro HDならば、妥協することなくこれらの仕様を同時に実現できます。さらにテレダイン・レクロイの電源レール・プローブ「RP4030」を用いると4GHzの帯域で微小なPDNノイズを検出することができますので、WavePro HDとの組み合わせにより、高精度の電源ノイズ・アナライザとなります。

電源レール・プローブ RP4030

図5:電源レール・プローブ「RP4030」

 下記には、テレダイン・レクロイの電源レール・プローブ、RP4030(図5参照)の仕様を、電源ノイズの観測における各課題とともに列記します。

  1. 微小なノイズを高精細に計測できるローノイズかつ高感度
    • RP4030のノイズは、オシロスコープのノイズの約5%
  2. 電源レールの直流電圧をキャンセルできる広いオフセット・レンジ
    • RP4030のオフセット・レンジは±30V
  3. 電源レールに対して影響を与えない直流における高抵抗
    • RP4030の直流入力抵抗は、50kΩ
  4. 高速なノイズまで捉えることのできる広い帯域
    • RP4030の帯域は4GHz
図6:「10:1パッシブ・プローブ」と「電源レール・プローブ」の波形比較

 図6には電源ノイズを一般的な10:1パッシブ・プローブで測定したもの(黄色の波形)とRP4030で測定したもの(赤色の波形)を重ねて表示していますが、オシロスコープのノイズに妨げられることなく電源ノイズの詳細を確認できます。また、プリント基板に接続する際には、直接ハンダ付けするソルダー・イン、小型のMCXコネクタ、あるいは超小型のU.FLコネクタが用意されています。さらに、素早く複数の観測点の移動ができるブラウザ・リードも用意されています。しかも、WavePro HDと組み合わせると、4GHzの帯域を確保しながら12ビットの高分解能測定が4ch同時に可能になります。

2. 高速シリアル・データ解析

 前述したように、組み込み機器も大量のデータの高速処理が必要となり、高速インタフェースが必要となる場合が少なくありません。しかしながら、汎用機器であるパソコンのように、不特定多数の周辺機器との相互接続性を保証するためのコンプライアンス試験の必要性はそれほど高くなく、決められた構成のシステムの安定動作を保証するためにデバッグがより重要になります。図7では8ビット・オシロスコープと12ビットのWavePro HDとで得られたEyeパターンを比較しています。一見してWavePro HDで描いたEyeパターンの方が繊細で、機器のジッタもノイズも低いレベルであることを示しています。特に注目するべき点は、拡大表示において波形の分離の詳細が確認できることです。これは、プリント基板をはじめ伝送路の不完全性により生じた符号間干渉(ISI)によるもので、特殊な処理を行わずにISIに関する情報が得られるという点は、信号評価はもとより、デバッグする際に強力な武器となります。

図7:高速シリアル・データのEyeパターンの比較

3. EMC計測

 さまざまな環境下でも安定した動作を保証するためには、EMCに関する試験が重要ですが、特に静電気放電(ESD)イミュニティ試験のパルス波形の計測には広帯域で高精度なオシロスコープが必要です。図8には、WavePro HDで捕捉したノイズのほとんどないESDパルスの波形を示しています。8GHzの帯域と12ビットの分解能を持つWavePro HDはまさに理想的な機器となります。

図8:WaveProHDで捕捉したESDパルス波形

まとめ

 IoT時代に、高度化を続ける組み込み機器を開発する多くのエンジニアは、今まで問題解決に必要な計測性能の一部を妥協しなければなりませんでした。WavePro HDなら全ての性能が同時に得られるので、エンジニアの期待に応え、妥協することなく、いつでも高精度測定を行うことができる理想的なオシロスコープとなります。

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提供:テレダイン・レクロイ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月17日



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