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ドローン市場の課題を克服する技術ソリューション専門知識不要の24GHzレーダーシステム

UAV(無人航空機)、いわゆるドローンのメーカーが自社のソリューションによって差別化を実現し、市場でより大きな成功を収めるために役立つ事柄を取り上げます。その根幹を成すのは、RF/マイクロ波の分野における技術的なイノベーションです。イノベーションにより、ドローン市場の課題の1つである「規制の障壁」を緩和することにつながるでしょう。

» 2019年04月01日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 ここ10年間で、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicles、UAS:Unmanned Aircraft Systems)の市場は大きく成長しました。一般的にはドローンとして知られるこの種の機器は、産業、民生、政府関連といった種類を問わず、幅広い分野で普及し、多大な関心を集めるようになりました。かつては防衛用途に特化して開発が進められていた時期もありますが、現在では400社にも上る世界中の企業がUAVに関する技術開発に携わっています。そして、一般用途向けUAVの新たな時代を切り開くことにつながるような事例が次々と生み出されています。人間がさほど関与する必要がなく、ミッションクリティカルでビジネスクリティカルなタスクを実行できる飛行物体があれば、よりスマートなオートメーションの分野や生産性の向上が求められる分野において、画期的な成果が得られる可能性があります。

 一方で、UAVについては、米連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)などの機関によって、新たな規制が設けられているという状況があります。そうした動きは肯定的な意図を伴うものには違いないのですが、UAVの利用に対して制約が加わることも確かです。また、より競争が激しくなることから、市場の基盤がまだ構築されていない段階でコモディティ化が進むという状況も生じます。本稿では、UAVのメーカーが自社のソリューションによって差別化を実現し、市場でより大きな成功を収めるために役立つ事柄を取り上げます。その根幹を成すのは、RF/マイクロ波の分野における技術的なイノベーションです。そうしたイノベーションが根拠となって、規制の障壁を緩和することにつながるはずです。

はじめに

 UAV(ドローン)の普及が進んでいるのは、自然な流れだと言えます。その背景には、産業用ロボット、自動運転車、新しい駆動力技術、電力効率の高いシステムなどが登場したことがあります。危険すぎたり、時間がかかったりと、人間にとって難易度の高い作業を実行するようにプログラムできる無人飛行物体は、技術領域において飛躍的な進化を遂げた存在だと言えます。そのようなUAVを活用することにより、自動化が進んだ生産性の高い世界を実現できるはずです。

 UAVのコンセプト自体は、それほど目新しいものではありません。有人の航空機が一般的に利用されるようになったころから、すでにさまざまな形状、形態で利用されていました。ただ、UAVの利用範囲は、材料科学、駆動力、電力/バッテリ、センサー、ソフトウェア技術の能力の限界により、ごく一部の業界や用途に限定されていました。従来、UAVの用途としては、人間が作業するには危険すぎる環境で、諜報(ちょうほう)、偵察、監視活動などに使用するということが想定されていました。ただ、そうした用途に向けた開発にかかるコストを許容できるのは、大規模な軍事組織に限られていました。現在でも、UAVという言葉を聞いて、軍事活動を取り上げたニュース映像を思い浮かべる人は少なくないでしょう。

 その一方で、必要最小限の機能だけを備える低コストのUAVも登場しています。それらは、娯楽を目的としたマニアやファンの間で安定した人気を得ています。言い換えると、実用的な製品として広く普及している状態にはありません。しかし、部品やソフトウェアに関する技術の進化に伴って、そうした状況に変化が訪れつつあります。

市場の成長、業種、応用分野

 UAVの市場は2022年までに約210億米ドル(約2.2兆円)の規模にまで成長すると予想されています。現在、その市場の大部分(約82%)は軍事用途向けが占めています。一般市場向けのUAVは、対前年比で19%の成長率を示し、2021年には売上高が約25億米ドル(約2600億円)に届く見込みです。

 民生向け、産業向けのUAVには、広範な用途が想定されます。例えば、農業の分野では、肥料や農薬の散布を的確に行うために利用することが考えられます。それ以外にも、地盤や環境の監視、橋梁やダムといったインフラの監視、公共安全に向けた監視、貨物の輸送、国境の警備、石油/ガスのパイプラインの監視など、実に多様な応用分野を対象として開発が進められています。ビジネス上の課題を解決するために、UAVを利用する製品やサービスが、数十社もの企業から毎月のように発表されています。つまり、一般市場向けのUAVは、無限の用途が想定できるほどの潜在的な能力を備えているということです。

UAV業界における課題

 上述したように、さまざまな用途に向けてさまざまな企業(Amazon.com、Alphabet傘下のGoogleなど)がUAVの開発を進めています。UAVは広く人気を集めているわけですが、その市場の成長を制限する課題に直面していることも事実です。

厳しい規制、制約

 FAAは、公共の空域におけるUAVの使用を制限する厳しい規則を設けました。2015年に制定された規則では、重量が55ポンド(約25kg)未満のUAVについては、操縦者が視認できる範囲で昼間に飛行することだけが許されています。言い換えると、完全に自律的な飛行は認められていません。このようなFAAの規則は、安全性とセキュリティを確保することを目的として定められたものです。政府としては、精度と信頼性に優れるセンサーを備えていない多くのUAVは、非常にリスクの高いものだと判断せざるを得ません。そのため、オープンな公共スペースでの飛行を許可するわけにはいかないということです。大規模な農場のオープンなスペースなど、一部の例外は認められていますが、大多数のケースについては、安全性とセキュリティ上の理由に基づき、FAAはより保守的な立場をとっています。センサーの技術には限界があり、その信頼性は実証されていないと判断しているということです。

競争の脅威、コモディティ化の進行

 規制による障壁に加え、UAVの市場では、競争が激化することによって価格に対する圧力が生じているという課題もあります。UAVの成長の可能性と魅力的な特質に引き寄せられ、世界中で400社以上の企業がすでにUAVに関連する何らかの開発に着手しています。そうした企業の多くは、自社のUAVによってもたらされるサービスについて強調するのではなく、自社のハードウェアの差別化に力を注いでいます。

RF/マイクロ波に関する専門技術

 民生用、産業用UAVの普及を促進するには、安全かつ信頼性の高い自律的な飛行を実現できるように、ナビゲーション用のセンサーを利用する必要があります。車載機器や産業用機器の市場では、そうしたワイヤレス・センサーにおいてRFやマイクロ波の技術が使用されています。しかし、現在UAVを開発している民間企業のほとんどは新興企業です。そうした企業のほとんどは、RFやマイクロ波を利用する設計については限られた専門技術しか有していません。RFについてある程度の専門技術を有する産業用機器メーカーであっても、目まぐるしく変化するUAV市場向けのレーダーセンサー用ソリューションを迅速に評価、設計、製造するのは至難の業です。

 RFの専門技術を有している企業は限られていること、また、即座に利用できるレーダー向けソリューションが存在しないことは、業界に悪循環をもたらす原因となっています。UAVの市場では、完全な自律飛行を実現可能で、なおかつ信頼性の高いセンサーを生み出す能力が欠けています。そのことが、UAVの自律飛行を制限する政府当局の規制を緩和できない理由の1つになっています。

レーダーソリューションとその汎用性

 実績のあるセンサー技術を利用すれば、UAVの安全なナビゲーションを可能にするRF、マイクロ波、ミリ波の技術を取り入れることができます。そうすれば、UAVのメーカーが、飛行に関する規制を緩和するよう政府に働きかけることが可能になるとアナログ・デバイセズは考えています。その1つの例が24GHzに対応するレーダーを利用することです。この帯域は、ISM(Industry Science Medical)帯として世界的に認められています。そのため、24GHz帯のレーダー技術は、安全なナビゲーションを実現するための最も基本的で汎用的なソリューションになる可能性があります。

 24GHz帯のレーダーは、自動衝突回避システムや電波高度計などに必要な機能を実現するために、規制を受けることなく世界中のどこででも使用できます。このレーダー帯域は、複数の異なる物体の検出や追跡、UAVの飛行高度の測定などにも使用できます。これらは、UAVを安全に飛行させる上で必要となる最も基本的な機能です。

 ここで1つ指摘しておきたいことがあります。それは、77GHzに対応するレーダーであれば、24GHzのISM帯レーダーの代わりに使用できるというのは誤りだということです。現在の規制に基づき、77GHz帯は自動車に専用の帯域となっています。つまり、UAVには使用できません。技術的に言えば、77GHz帯のレーダーはより高い分解能を達成するための広い帯域幅を備えています。ただ、現在は規制上、UAVには使用できないのです。

 メーカーは、自社のソリューションが自律飛行を可能にするだけの技術的な能力を備えていることを実証するべきです。それにより、規制当局が業界における運用方法を定義してくれるのをただ待つのではなく、既存の規制に対して影響を及ぼすことが可能になります。

 その目的を達成するために、UAVのメーカーがとるべきステップは次の3つです。

  • レーダーとそのさまざまなモードの基本を理解する
  • 完全なレーダーソリューションに必要なRFシグナルチェーンの構成要素について理解する
  • 迅速に市場に投入できるように、ハードウェアの設定とソフトウェアアルゴリズムのすべてに対応済みのレーダーソリューションを採用する

 以下では、上記の各ステップの概要を示します。その上で、衝突回避や電波高度計に24GHz帯のレーダーを使用したいUAVメーカーを支援するソリューションを紹介します。

レーダーとそのさまざまなモードの基本を理解する

 レーダーセンサーは、死角検知システムや先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)など、物体の検出、測定、追跡を目的として自動車の市場や産業機器の市場で一般的に使用されています。光学/視覚センサーや超音波センサーと比較すると、レーダーセンサーを使えば、塵、煙、雪、霧に覆われている環境や暗い環境でも、はるかに長い距離と広い視野で物体を正確に検出、測定することができます。

RFやマイクロ波に対応する一般的なレーダーは、何を検出、追跡するのかに応じてさまざまなモードで使用することができます。

FMCWレーダーモード

周波数変調連続波(Frequency Modulated Continuous Wave)モードでは、静止している対象物までの距離を測定することができます。FMCWランプまたはチャープと呼ばれる周波数信号を変調し、反射波の応答を測定することで、対象とする物体までの距離、速度、角度を求められます。

 図1に、レーダー送信用のFMCWランプまたはチャープの生成と、レーダーセンサーの設計情報を定義するために用いられるレーダー関連の一連の式を示します。

図1 図1:FMCWレーダーの概要 (クリックで拡大)
  • レンジの分解能:トランスミッタのキャリアの掃引帯域幅に依存。トランスミッタの掃引帯域幅が広いほど、レーダーセンサーのレンジ速度は高くなります。
  • 速度の分解能:ドウェル時間とキャリアの周波数に依存します。キャリアの周波数が高いほど、あるいはドウェル時間が長いほど、速度の分解能は高くなります。
  • 角度の分解能:キャリア周波数が高いほど、角度の分解能は高くなります。

 1点の測定に対応するレーザーに基づいた検出や、2次元画像だけを取得するカメラに基づく検出と比較すると、FMCWレーダーは、測定の対象物から反射してくる情報を連続的かつ本質的に平均化するという特徴があります。それにより、センサーから最小で数センチ、最大で数百メートル離れた1つまたは複数の目標物の速度、角度、距離を測定します。その結果として、幅広い3次元の視野を得ることができます。

レンジ−ドップラーモード

 レンジ−ドップラーモードを利用すれば、対象物のレンジと速度を解析することができます。同モードでは、2次元フーリエ変換の結果を評価することにより、複数の送信ランプまたはチャープを同時に処理することが可能です。そのことから、最も強力な動作モードの1つだと言えます。処理済みのレンジ−ドップラーデータを地図上に表示することで、センサーから同じ距離にあり速度が異なる物体を区別することができます。これは、異なる方向に高速で移動する複数の物体を区別したい場合に有用です。例えば、車両が逆方向に走行していたり、別の車両を追い越そうとしていたりする場合など、複雑な交通の状況について解析を行いたいケースが用途として想定できます。

デジタルビームフォーミングモード

 デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beamforming)モードでは、対象物までの距離と角度を取得できます。4つの受信チャンネルからの受信信号を使用して、対象物の角度を推定します。対象物の空間分布はXY平面上に表示されます。DBFモードにおいて、システムはFMCWモードと同じように設定されますが、IFにダウンコンバートされた信号の処理が異なります。レンジを計算した後、4つの受信チャンネル間の位相差を評価することによって対象物の角度情報が計算されます。DBFモードでは、受信チャンネル間の望ましくない確定的な位相のばらつきを除去するために、レーダーのフロントエンドシステムに対するキャリブレーションが必要になります。アナログ・デバイセズのレーダーデモンストレーションシステム(後述する「Demorad」)には、工場から出荷した時のキャリブレーションデータが付属しています。これは、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)の利用時に読み込まれます。そして、センサーで測定したデータを評価する前に、サンプリングされたIF信号の補正が行われます。

アナログ・デバイセズが提供する24GHz対応のマルチチャンネルレーダーのシグナルチェーン

 24GHzに対応するレーダーは、精度が高く、消費電力が少なく、小型であることから、民生、産業の用途で広く使用されています。そうした特徴は、ペイロードと消費電力の削減を図りたいほとんどの民生用、産業用UAVのメーカーの要件にも合致しています。

 図2は、アナログ・デバイセズが提供するマルチチャンネルレーダーのシグナルチェーンの全体像を示したものです。

図2 図2:24GHzに対応するマルチチャンネルレーダー・ソリューション。アナログ・デバイセズの製品で構成しています (クリックで拡大)
品番 説明 機能
ADF4159 13GHz、フラクショナルNに対応するFMCW向けランプ生成用のPLL ランプ生成器
ADF5901 ISM帯、2チャンネルに対応するFMCWトランスミッタ 送信用のMMIC
ADF5904 ISM帯、4チャンネルに対応するレシーバー 受信用のMMIC
ADAR7251 4チャンネル、16ビットに対応する連続時間型データ・アクイジション用のA/Dコンバータ AFE
ADSP-BF70x 512kBのL2 SRAMとDDR2/LPDDRインターフェースを備える低消費電力の組み込みDSPプロセッサ「Blackfin®シリーズ」 DSP

 アナログ・デバイセズは、ビットデータからアンテナまでを網羅する包括的なレーダーソリューションを提供しています。このソリューションは、技術者が即座にアプリケーション開発を始められるようにするためのものです。そのキットを採用すれば、RF、マイクロ波、ベースバンドに対応する複数のコンポーネントを個々に選択してからソフトウェアアルゴリズムのコードを作成するという一連の作業を行う必要がなくなります。プラグ&プレイ式のこのキットを使うことで、RFが専門ではない設計者でも、数分でレーダーシステムの設計を開始することができます。

24GHzに対応するマルチチャンネルレーダーシステムの性能

 レーダーセンサーを構築する場合、レシーバーの感度が1dBでも向上すれば、検出レンジにも良い影響が及びます。現在、市場に提供されているほとんどのソリューションは、コストの削減を最大の目的としています。その代償として、位相ノイズ性能やチャンネル数が抑えられています。その結果、レシーバー全体としてのS/N比が抑えられ、大きな物体が存在する条件下で小さな物体や対象物を検出する能力が制限されます。実際のレーダーアプリケーションの利用場面としては、多数の物体が行き来して雑然としている状況が想定されます。そして、システムの位相ノイズが累積的に増加し、レーダーのレシーバーの感度が低下する可能性があります。システムのノイズが大きいと、小さな対象物の一部または全体が隠れて物体を検出することができず、安全性の問題が生じてしまうかもしれません。例えば、建物の正面にあり、部分的に隠れた細い木の枝を検出することが困難になるといったことが生じてしまうのです。シングルチップを使ってシングルチャンネルにしか対応していない低コストのソリューションでは、そうした条件下で検出が行えるだけの性能を得ることはできません。

 24GHzに対応するアナログ・デバイセズのマルチチャンネルプラットフォームを使用することにより、UAVのメーカーは以下のようなメリットを得ることができます。

  • FMCWレーダーを使用して、最大で200m離れた場所にある物体のレンジと速度を約60cmの分解能で検出可能(特定用途向けにアンテナを設計することで、分解能は15cmまで改善できる)
  • アンテナ・アレイの設計に基づいて、方位角120度、高度角15度程度の視野を達成可能。デジタル・ビームで使用されているのと同じようにアンテナを組み合わせることで、レーダーにDBFを適用してさらに広い視野で角度の情報を計算することができる
  • 従来の低コストのシングルチャンネルレーダーソリューションと比較して、以下のような性能を達成可能
    • 2倍以上の感度
    • 最大1.5倍の検出レンジ
    • より少ない消費電力

RFが専門ではない技術者のために、レーダーのRF設計を簡素化

 RFが専門ではない技術者でもレーダーの設計が行えるようにするために、アナログ・デバイセズは、24GHzに対応する完全なレーダーアプリケーション開発キットを提供しています。これが先ほど少し触れたDemoradです。このキットには、完全なリファレンス設計として、必要なすべてのハードウェア(アンテナ回路を含む)とソフトウェアが含まれています。

 24GHz対応のレーダーシステムであるDemoradは、マイクロ波を利用するレーダー向けの全く新たな評価用プラットフォームです。すぐに使用できるサンプルソフトウェアと、数分で容易に起動可能なレーダーセンサーを備えています。Demoradを使えば、設計、開発中の製品の迅速なプロトタイピングが行えます。つまり、レーダーの調査やレーダーセンサー製品の開発に役立ちます。具体的には、目標や物体の存在、動き、角位置、速度、レンジなど、センサーからの情報をリアルタイムに得られるようになります。

 システムのハードウェアには、RFアンテナに加えて、RFからベースバンドまでのシグナルチェーン全体(DSPも含む)が含まれています。ハードウェアは、ノート型/デスクトップ型のPCに迅速に接続することができます。また、簡単に使用できるGUIとレーダー向けのアルゴリズムソフトウェアを備えています。

 このキットを使用することにより、わずか数分でPCに接続してソフトウェアを読み込み、2D/3Dのレーダーに対応するFFT(高速フーリエ変換)、一定誤警報率(CFAR:Constant False AlarmRate)、分類のアルゴリズムを有効化し、レーダー全体のプロトタイプを製作することができます。その結果、機能的なレーダーを備える新たなUAVを市場に迅速に投入することが可能になります。

 図3に、Demoradの写真をいくつか示しました。中央の写真を見ると、2チャンネルのトランスミッタ用アンテナと4チャンネルのレシーバーアンテナを内蔵していることが見てとれます。

図3 図3:「Demorad」の外観。24GHzに対応するレーダープラットフォームソリューションです (クリックで拡大)

 Demoradは、完全なGUIとレーダーの開発を支援するDSP用の関数ライブラリを備えています。

 Demoradのレーダーシステム用シグナルチェーンには、基本的なソフトウェアアルゴリズムが含まれています。そのため、設計者はコードを作成することなく作業を開始することができます。それらのソフトウェアアルゴリズムを利用することで、ホストPC上での操作によって、対象物を検出、分類するレーダーの機能を簡単に使い始めることが可能になります。

 既存のソフトウェアコードを編集することにより、特定のアプリケーションで対象物を検出して分類するための機能を実装することも可能です。RF設計に関する専門技術を有している企業であるかどうかにかかわらず、Demoradを導入すれば、設計における新たなレベルの柔軟性を手に入れることができます。その結果、UAVの安全なナビゲーションを実現するアプリケーションを迅速に開発することが可能になります。

まとめ

 UAVの市場は急速に成長しています。UAVは、数多くの新たな商用アプリケーションを実現できるだけの大きな可能性を秘めているからです。しかし、その可能性を現実のものにするには、UAVのメーカーがRF、マイクロ波、ミリ波に対応するセンサーを採用し、自社の製品が安全に自律飛行できることを実証する必要があります。そうした大きな動きを作ることにより、業界全体をその方向に導く必要があるのです。センサー技術を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ToF(Timeof-Flight)、超音波といった新たな技術も台頭しつつあります。UAVのメーカーは、自社製品で最新の技術を活用できるようにするために、そうした新しいソリューションに引き続き注視する必要があります。

 そうした技術を評価する際には、レーダーの性能と汎用性を主な基準とし、ハードウェアのコスト以外の要素についても考慮する必要があります。

著者紹介

Abhishek Kapoor

Abhishek Kapoor

 Abhishek Kapoor(abhishek.kapoor@analog.com)は、アナログ・デバイセズのRF/マイクロ波グループ(RFMG)に所属する市場開発マネージャです。広範な市場を対象として戦略を構築することと、新興市場でRFMGがビジネス・チャンスをつかむことが主な業務です。これまでに、RF/半導体の業界を対象としたエンジニアリング、製品管理、営業、マーケティング、ビジネス開発などを担当してきました。2007年にバージニア工科大学で電気工学の学士号、2013年にノースカロライナ大学チャペルヒル校で経営学の修士号を取得しています。


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提供:アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月30日














































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