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光ネットワークで実現、5Gにおける超高精度時刻同期GPS/GNSSの弱さをカバー

5Gネットワークは時刻情報の途絶に対して弱い。正確な時刻情報が得られなくなると、システムが完全に停止してしまう可能性がある。ただ、新しいテクノロジを採用することで、通信事業者はこれらの脅威からネットワークを保護できる。

» 2021年01月06日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 移動体通信事業者は、携帯電話通信とネットワーク接続に変革をもたらすLTE-Advancedおよび5Gネットワークの展開に多額の投資を行っています。しかし、彼らは大きなリスクに直面しています。なぜなら、それらのネットワークを介して提供される高性能移動体通信サービスは無線機を同期させ、干渉を最小限に抑え、新しいアプリケーションを実現するために、全地球的航法衛星システム(GNSS)として広く知られるGPSなどの衛星システムから受け取る高精度時刻情報に極端に依存するからです。ジャミングやスプーフィングなどの障害あるいは異常イベントの発生によってGPS/GNSSが受信できなくなると、サービスが途絶してシステム性能に壊滅的な影響が及びます。

 送電網は特定の気象条件(高温、強風、乾燥)によって生じる森林火災(例:最近カリフォルニア州で起こった大規模な山火事)に対して極めて脆弱(ぜいじゃく)であるのと同様に、5Gネットワークは時刻情報の途絶に対して弱いです。正確な時刻情報が得られなくなると、システムが完全に停止してしまう可能性があります。新しいテクノロジを採用することで、通信事業者はこれらの脅威からネットワークを保護することができます。それらのテクノロジは既存のネットワーク展開に高精度時刻情報の長距離配信を可能にする新しいアーキテクチャを導入することで、コストの増加を最小限に抑えながら5Gの厳しい要件を満たす性能を提供します。

テクノロジの概要

 最新のLTE-Advancedおよび5G移動体ネットワークがもたらす大幅に拡張された能力と帯域幅を活用することで、コンシューマ向けから産業用を含む各種マーケットセグメントに新しいサービスを提供可能となります。スマートフォンへの高帯域幅動画配信、自律走行車、スマートシティ、スマートファクトリー向けIoTなどの新しいサービスは多数のセンサー、ベースステーション、各種デバイスの同期を必要とします。

 これを達成するには、非常に正確な時刻情報を長距離で配信する必要があります。これを実現しない限り、通信事業者はサービス途絶などのリスクを最小化して最大限の投資効果を得ることはできません。事業者はGPS/GNSSの障害に対処する必要もあります。同時に、光ネットワークとその他の既存インフラストラクチャを活用することで、ダークファイバ(予備の未使用光ファイバ)への新たな投資を避けることも必要です。

 時刻同期の精度に関して各種の厳しい基準が定義されています。例えばPRTC(Primary Reference Time Clock:時刻標準装置)の場合、許容時刻誤差はクラスA(PRTC-A)に対して100ナノ秒以下、クラスB(PRTC-B)に対して40ナノ秒以下、拡張PRTC(ePRTC)に対して30ナノ秒以下と規定されています。これらの要件を満たすには品質の高い時刻源が必要不可欠であり、その時刻情報を各種デバイス(ベースステーション、センサー、車両など)へ提供するために高性能な配信システムが必要です。

 GPS/GNSSを使ってこれらの要件を満たすには、エンドポイントの高密度化を前提とした展開コストの増加が問題となります。また、セルサイトに配置されたGNSS受信機にまつわる技術的脆弱性という問題もあります。GNSS受信機で使われるオシレーターの性能が低いために時刻同期保持(ホールドオーバー)期間が短い場合、原因はなんであれ、GNSS受信機が衛星を追跡できなると速やかにその無線機をサービスから切り離して干渉問題を防ぐ必要があります。以上の技術的および経済的な考慮により、事業者は多くのロケーションでGNSSへの依存を軽減または排除する方法を懸命に模索しています。

 事業者のその他の懸案項目には、ネットワークを使った時刻源からエンドポイントへの時刻配信、ネットワークノード、それらのネットワークノードがサポート可能な各種同期機能などがあります。通常、PTPグランドマスタは時刻同期チェーンの起点に置かれ、PRTC-A(許容誤差100ナノ秒)またはPRTC-B(許容誤差40ナノ秒)に準拠します。これにより、時刻同期チェーンの終端まで±1.5マイクロ秒以下の誤差で時刻を配信可能となります。時刻配信経路上のネットワークノードは、通常クラスA(50ナノ秒以下)またはクラスB(25ナノ秒以下)の誤差要件を満たすT-BC(Time Boundary Clock)能力を備えます。

 これらの要件と課題に対応するには、GNSSの途絶から移動体ネットワークを保護するとともに、国内の全エリアに正確な時刻を長距離配信可能な新しいタイプの時刻配信アーキテクチャが必要です。また、このアーキテクチャは5Gネットワークが要求するエンドツーエンドレイテンシ要件を満たす性能を備えていることが必要です。

各種の時刻配信アーキテクチャ

 高精度時刻配信アーキテクチャは、GPS/GNSSの脆弱性を効果的に緩和するとともに、5Gネットワークにおける各種課題に対応するために、以下の特長を備える必要があります。

  • 既存の光ネットワークを利用することでダークファイバによる無駄なコスト増を防ぐ
  • 専用Lambdaを使うことで伝送の最速化を図る
  • 最高精度のePRTC(30ナノ秒)要件を満たす冗長時刻源を最大限のレベルで保護するとともに、セシウム原子時計とGNSSの組み合わせを時刻源として使う
  • 2方向の時刻フロー(東と西)を持つことで時刻源からエンドポイントまでの間で問題が生じた場合に冗長経路の利用を可能にする
  • 現行規格によって定義される最高レベルの性能(T-BCクラスD:誤差5ナノ秒以下)を達成可能な高精度バウンダリクロック(HP BC)のチェーンを使う

 この種のマルチドメインアーキテクチャは冗長性を有し、ノードあたり5ナノ秒の高精度時刻を数百マイル離れたノードへ低コストで配信するために必要なサブマイクロ秒誤差レベルのエンドツーエンド時刻同期性能を提供します。

 この種のソリューションの1つとして、Microchip社はTimeProvider 4100を提供しています。このソリューションは、PRTC-AおよびPRTC-Bクラスの時刻配信能力を持つ時刻チェーンの起点においてePRTCとして設定できる他、光ネットワーク経路上でHP BCとして設定することもできます。この種の製品はアプリケーションに固有の要件に応じて設定することもでき、エンドツーエンドで高精度なナノ秒レベルの長距離時刻配信を達成可能です。

高精度時刻の確保

 次世代の高性能移動体通信サービスの成功は、通信事業者が現在のGPS/GNSS脆弱性をどこまで克服できるかにかかっています。無線機を同期させ、干渉を最小限に抑え、新しいアプリケーションを実現するために5Gネットワークが必要とする高精度のGPS/GNSS時刻配信は、ジャミングやスヌーフィングおよびその他のイベントによって中断される可能性があります。最新の高精度時刻配信アーキテクチャは、それらのリスクを最小限のコスト増加で軽減し、IoTベースアプリケーションからスマートフォンでの高帯域幅動画の受信まで、要求の厳しい5Gサービスをサポート可能な性能を提供します。

 詳細は以下でご覧になれます。

著:Eric Colard/マイクロチップ・テクノロジー Frequency & Time Systems Head of Emerging Products

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提供:マイクロチップ・テクノロジー・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2021年2月5日

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