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組み込み市場のあらゆる無線への要望に応える STのワイヤレス・マイコン・ポートフォリオBluetoothから、LPWA、セルラーIoT、UWBまで

組み込み機器市場では、BluetoothやZigBee、LPWA、セルラー、UWBなどさまざまな無線技術を応用したコネクティビティの積極的な応用が進んできている。そうした中で、Armコアを搭載した汎用マイコン「STM32ファミリ」を展開するSTマイクロエレクトロニクスは、組み込み市場で利用されるあらゆる無線技術をサポートする製品ポートフォリオの構築を積極的に進めている。

» 2021年03月31日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 組み込み機器市場のあらゆる無線ニーズに応えられる製品ポートフォリオを提供する。

 STマイクロエレクトロニクスは近年、組み込み機器市場におけるワイヤレス通信機能の搭載拡大の流れを受けて、組み込み機器市場が求めるさまざまなワイヤレス通信を実現するためのマイコン製品/ソリューションのラインアップ強化を進めている。BluetoothやZigBeeなど短距離無線からWi-Fi、セルラーなどの高速大容量無線まで、さまざまな通信規格/通信技術に対応するSTマイクロエレクトロニクスの組み込み機器市場向け無線ソリューションを紹介していこう。

汎用性が高いマイコン「STM32ファミリ」+「無線」

 STマイクロエレクトロニクスは2007年から、Arm Cortex-Mコアを搭載したマイコン「STM32ファミリ」を幅広い組み込み機器市場に向けて展開。あらゆる組み込み機器市場のニーズに対応できる“汎用性の高さ”をコンセプトに製品ラインアップを拡充し、既に累計60億個以上の出荷実績を数えるなど、STM32ファミリで汎用マイコン市場をリードしてきた。

2007年以来、Armマイコン市場をリードしてきた「STM32ファミリ」

 STマイクロエレクトロニクス株式会社 マイクロコントローラ製品部 部長の石川義章氏は「これからもSTM32は充実したエコシステムが整うArmマイコンとして、互換性を保ちながら、新たな市場ニーズに応えられる幅広い選択肢を提供していく」とする。製品ラインアップ強化方針としては、「組み込みAI向け新製品の強化」「セキュリティ機能の強化」と並んで、「ワイヤレス製品ラインアップ拡大」を掲げる。

STM32ファミリの今後の強化方針
マイクロコントローラ製品部 部長 石川義章氏

 「IoT(モノのインターネット)化が急速に進む中、あらゆる機器はコネクティビティを備えるようになり、無線機能の搭載が当たり前になってきた。ただ、無線と一口に言っても、多種多様で、新しい無線規格も次々に登場してきている。STM32ファミリとして組み込み市場の多様なニーズに対応するためには、あらゆる無線に対応した製品/ソリューションを用意する必要がある」と石川氏はワイヤレス製品ラインアップを拡大する理由を説明する。

 こうした方針の下でSTマイクロエレクトロニクスではこれまでも、さまざまな無線を組み込むための製品/ソリューションをそろえてきた。Bluetooth Low Energy(以下、BLE)やZigBee、Threadといった低消費電力を特長にする短距離無線や、低データレートながら広範囲をカバーするLoRaやsigfoxなどLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークに対しては、STM32にRF回路を一体化したSoC製品を中心に展開。一方、WiーFiや、LTE CatーM1(以下、LTEーM)やNBーIoTなどセルラーIoTと呼ばれる大容量無線領域では、RFデバイスメーカーと連携し、STM32とRFチップを組み合わせたチップセットソリューションを開発、提供してきた。

BluetoothやZigBee、Threadといった低消費電力短距離無線や、低データレートながら広範囲をカバーするLoRaやsigfoxなどLPWAネットワーク向けには、ローエンドマイコンにRF IC機能を混載した1チップソリューションを提供。WiーFiや、LTE CatーM1(以下、LTEーM)やNBーIoTなどセルラーIoTと呼ばれる大容量無線領域では、マイコンとRF ICによるチップセット構成を提案。チップセット構成であれば豊富な選択肢がそろうSTM32ファミリから最適なマイコンを選べる

 「特定の規格や特定の領域に偏らず、さまざまな無線技術に対応してきた。RFとマイコンを一体化したSoC製品だけでなく、マイコンとRFチップによるチップセット製品にも注力し、どちらのニーズにも応えられるラインアップをそろえてきた」(石川氏)

フレキシビリティ優れるチップセットソリューション

 昨今は、さまざまなマイコンメーカーから無線部(RF回路)を内蔵したSoC型製品が発売されているが「SoC型製品が全て優れているというわけではない」(石川氏)という。

 RF一体のSoC型製品は、部品点数が少なく、低コスト、省スペースを実現できる一方で、フレキシビリティに劣る。無線部とプロトコルスタックの処理を行うマイコンを分離しておけば、アプリケーションソフトウェアを流用しつつ、無線部を取り換えることで異なる通信方式に柔軟に対応できるようになる。また、通信事業者(キャリア)や接続先のクラウドサービスごとに異なるさまざまな通信サービスや認証方式にも対応しやすい。「無線部をハードウェア化して内蔵してしまうよりも、あえてチップセットとして構成する方が、総合的にコストを抑えられるという場合も多い。特に、複雑な通信を行う高速大容量無線領域では、チップセット構成が有効だ」(石川氏)とする。

 そこでSTマイクロエレクトロニクスでは、セルラーなど高速大容量無線領域を中心に、さまざまなRF ICベンダーと協業し、STM32と各種RF ICを組み合わせた開発キットやモジュールを展開している。

コスト効率高いワンチップソリューションも充実

 その一方で、無線部とマイコンを一体化したSoC型のワンチップ製品の強化も継続する。石川氏は「ワンチップ製品はコストを低く抑えられる点が最大の利点。そのため、高いコスト効率が要求されるIoTエッジ端末向けを中心に、製品ラインアップを強化している」という。

 Bluetooth、ZigBee、Threadなどの各種低消費電力/短距離無線通信技術に対応するワンチップ製品としては「STM32WBシリーズ」を展開中。アプリケーション処理を行うArm Cortex-M4コアと別に通信プロトコル処理専用のArm Cortex-M0+コアを搭載したデュアルコア構成のワイヤレスマイコンで、129ピンBGA品から48ピンの小型パッケージ品まで幅広いパッケージ/メモリ容量品がそろう。

「STM32WBシリーズ」の製品ポートフォリオ

 100ピンWLCSPパッケージのSTM32WBとともにアンテナやフィルターなどを実装した7.3×11mmサイズの小型通信モジュールも製品化。複雑なアンテナ周りの設計を行わずに、すぐに無線機能を組み込める。

STM32WBベースの小型通信モジュール「STM32WB55」

 IoTエッジ端末で近年、採用が増えてきているLoRaやsigfoxなどLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク用のサブギガヘルツ帯RFをワンチップ化したマイコン「STM32WLシリーズ」も展開。STM32WLシリーズのRF部はLoRa、FSK、MSK、BPSKという各変調方式に対応する上、出力の異なる2種類のアンプを内蔵し、あらゆるLPWAネットワーク規格に対応できる点が特長になっている。このほど、Arm Cortex-M4コアとArm Cortex-M0+コアの2つのArmコアを搭載したSTM32WLシリーズ初のデュアルコア品「STM32WL55」も登場するなどラインアップも拡大している。

新たな無線をサポートするため積極投資も実施

 STマイクロエレクトロニクスでは、さらなる無線通信ポートフォリオの強化を目指した投資も実施している。2020年には、2つの事業買収を通じて、セルラーIoT無線および、UWB(超広帯域無線)の製品/技術ポートフォリオを強化した。

あらゆる無線をカバーしているSTのワイヤレス・マイコン

 セルラーIoT無線については、LTEーM、NB-IoTというIoT向け第4世代移動通信(4G)規格用の無線通信ICを手掛けるRiot Micro社のセルラーIoT無線事業部門を取得した。LTEーM、NB-IoTはともに、広範に整備されている4Gの商用網を活用して、高い安全性を持ったIoTネットワークサービスを短期間に構築できる無線として注目を集めている。Riot Micro社の同事業部門は、こうしたLTEーM、NB-IoTの通信を低消費電力で実現するRF設計技術を持つ。「STM32とRiot Micro社のセルラーIoT無線RFを組み合わせたチップセットソリューションの提供にとどまらず、Riot Micro社の技術を生かしたマイコンの製品展開も視野に入れている」(石川氏)

LTE Cat-M1(LTEーM)とNBーIoTの応用分野

 新たなIoTの無線として注目されるUWBでは、UWB向けRF ICを手掛けるBeSpoon社を買収した。UWBは、超広帯域を生かした高速/大容量通信に加えて、時間軸分解能が高い電波特性を活用した高精度の測距や測位も同時に行えるという特長を持つ。

 その測距/測位精度はセンチメートル級を誇り、さまざまな応用が検討されている。応用が期待される代表的なアプリケーションが、スマートキーで、UWBを使い鍵とドアの距離を検知し、鍵が近づけば自動的に解錠する“シームレス・アクセス・コントール機能”を実現できる。また、屋内でも高精度測位ができることから、物流タグなどとしての応用も期待されている。

UWBの応用イメージ

 石川氏は「すでにBeSpoon社のUWBチップと、Bluetoothなどに対応するワンチップワイヤレスマイコン『STM32WB55』を組み合わせたモジュールの提供を開始しており、UWBを使ったスマートキーなどの開発に着手できる環境が整っている。今後もUWBやセルラーIoT無線のように新しい無線技術への投資を継続し、あらゆる無線技術をカバーするポートフォリオをいち早く実現していく」としている。

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提供:STマイクロエレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2021年4月30日

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