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800Gネットワーク実現へ、驚異の進化を遂げるプラガブル光トランシーバー動向革新的技術がもたらすパラダイムシフト

データ需要の急速な増加に合わせ、高速通信技術の採用が加速。同時に、帯域幅に対する需要が高まり、ネットワーク事業者はネットワークインフラの急速な拡張と変革を推進していますが、より迅速かつ効率的な拡張をするのに苦労しています。本稿では、変革の重要な鍵である次世代のプラガブルコヒーレント光トランシーバーについて、その可能性や必要となるテストアプローチなどを解説します。

» 2021年10月06日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]

 世界中で、消費者や企業の間でデータ需要が高まる中、高速通信技術の採用は加速し続けています。帯域幅に対する需要の高まりに伴い、ネットワーク事業者は、ネットワークインフラの急速な拡張と変革を推進し、より迅速かつ効率的に拡張するのに苦労しています。次世代のプラガブルコヒーレント光トランシーバーは、この変革の重要な要素です。

 データセンター内のラック間の数メートルから、海を横断する数千キロの距離まで、幅広いアプリケーションと距離にわたって必要な帯域幅を提供する機能は、光モジュールで実現されています。光トランシーバー技術は、10GbE以下で使用される単純な電気光学システムから、現在の400Gのプラガブルコヒーレント光トランシーバーに導入されている高度に統合されたシステムへと進化し続けています。現在、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの新しいアプリケーションが導入され、データセンターファブリックへの需要が高まっているため、800Gネットワークエコシステムへの投資の波が検証と統合用に現実の製品を提供し始めています。

 100Gおよび400Gアプリケーション用の新しいプラガブルなコヒーレントトランシーバーは、高速光ネットワークの設計および構築方法に革命をもたらすため、適切なコストスケーリングで必要に応じて帯域幅と到達距離をスケーリングできます。ただし、コヒーレントプラガブルトランシーバーの管理は非常に複雑です。これらの新しいテクノロジーは、高性能光ネットワークの開発、展開および保守のためのテストと測定に対する進化するアプローチを含む、ネットワーキングエコシステム全体での変更と調整を必要とするパラダイムシフトをもたらします。

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進化/革新の頂上へ

 最新の光トランシーバーは、工学の分野を超えた驚異の産物です。内部には、高速エレクトロニクスと最先端の統合フォトニクスがあり、厳しい熱性能要件実現するために設計された小さな機械パッケージに詰め込まれています。これは全て複雑なソフトウェアとファームウェアと結びついており、非常にタイトな一貫性と積極的な価格期待要求を受けながら大量に製造されています。

 あらゆる進化/革新のスピードはそのタイムラインの円弧として存在します。標準と実装合意(IA)は、トランシーバーの開発、デバッグ、検証、さらにシステム統合を通じて、フォトニクス、レーザーおよびICの初期の研究開発につながります。並行して、テストスタンドの設計と構築が、量産提供実現のために実施されます。この後、フィールド展開とサービス展開が行われます。

 現在(2021年中半)、100Gはほとんどのネットワーク事業者にとって真に大規模な展開レベルにあり、400Gは一部の大規模なデータセンターで大量に展開されているという過渡期にあります。しかし、現在、800Gはどの位置にあるでしょうか? そして、800Gのエコシステムが成熟するにつれて、どんなシナリオを期待できるでしょうか?

 過去数年にわたって、プラガブル光トランシーバーに革命と進化の両方が見られました。革新的なステップとしては、プラガブルコヒーレントトランシーバー、特にデジタルコヒーレントオプティクス(DCO)の出現と、ホスト電気インタフェースおよびクライアントオプティクス用のPAM-4シグナリングへの移行などが挙げられます。これは、フォームファクターの電力管理の進化の加速、シリアライザー/デシリアライザー(SerDes)アプリケーション用のデジタル信号処理(DSP)の出現および、トランシーバーの制御と管理に導入された複雑さを伴います。

 次の表は、プラガブル光トランシーバーの開発における主要な手順の概要で、それらが進化のカテゴリーに分類されるのか、革命のカテゴリーに分類されるかを示しています。

イベント 進化か革命か? 影響
プラガブルコヒーレント光トランシーバー 革命 トランシーバー内の完全なコヒーレントリンクシステムにより、データセンター相互接続(DCI)およびメトロネットワークに新しいアプリケーション分野が開かれますが、複雑な信号処理、高性能で高度に統合されたコヒーレント光トランシーバーが必要です
PAM-4シグナリング 革命 PM-4シグナリングは、リンクがビットレベルで「常にエラー」になっていることを意味します。FECが必要であり、さらに、イコライゼーションの課題を管理するために、より複雑なDSP SerDesが必要となります。エラーフィンガープリントは、基本的なエラーカウントとFECマージンに取って代わります
増加する熱課題 進化 冷却のニーズへの対処、負荷がかかった状態でトランシーバーを確実に冷却して電力を供給できるホスト
トランシーバー管理の複雑さ 進化 単純なメモリマッピングによる制御から、複数のパラメータが必要な複雑でステートフルなリアルタイム管理に移行します。コヒーレントトランシーバーにより、さらに複雑さが増します。DSP、SerDes、フォトニック管理でトランシーバーファームウェアが果たす主な役割
DSPベースのSerDes 革命 DSPがアナログSerDesに取って代わったことにより、動作とファームウェアがさらに複雑になり、中断からの回復にはより長い時間を必要とします
出所:VIAVIソリューションズ

800Gの転換期

 新しいプラガブル光トランシーバーは、通常2×400GbEまたは8×100GbEとして合計800Gの帯域幅を提供できます。この高密度ブレークアウトモードは、400Gクラスのトランシーバーに対し2倍の改善となり、最新の25TBクラスのスイッチシリコン用の帯域幅密度とSerDes速度のマッチングを大幅に改善します。さらなる改善は、消費電力とコストの節約によってもたらされる可能性があります。現在、800GbE規格がイーサネットテクノロジーコンソーシアムにより策定されています。また、IEEE802.3標準では現在400GbEが最高帯域になっていますが、400GbEを超えるテクノロジーを検討するための研究グループが設立されました。

 IEEEのイーサネット800Gレート標準がなくても、800Gクラスのトランシーバーは、確立された400GbEおよび100GbEレートに対して提供できる密度が向上できるため、魅力的な価値を持っています。初期の調査では、200Gの電気信号は非常に要求が厳しく、より強力な前方誤り訂正(FEC)を必要とする可能性があることが示されているため、800Gクラスに使用される100Gの電気信号の寿命は長くなる可能性が高いと思われます。

VIAVIソリューションズの光ネットワークテスター「ONT-800」 出所:VIAVIソリューションズ

 トランシーバー内で使用されるデジタル信号処理の複雑さ(複雑なファームウェア、トランシーバーの管理と制御およびPAM-4 SerDesが組み合わされる)により、トランシーバー開発、デバッグおよび検証の各フェーズで、組織化されたアプローチによるテストの必要性が高まっています。光学、電気、トランシーバーの制御ドメインは全て、密接に絡み合っており、テストアプローチでは、800Gクラスのトランシーバーの検証とデバッグに必要なミリ秒レベルの調整を行いながら、共通のテスト環境で各ドメインをまとめる必要があります。

 トランシーバーSerDesとフォトニックインタフェースはDSPとファームウェアに密接に結びついているため、100G以下で使用されるアプローチ、つまり光学、電気およびI2C制御を分離されたプロセスとして個別にテストするアプローチは、800Gでは完全に不十分です。これは、安定した環境を必要とするテストの実行中にトランシーバーに電力を供給して冷却する必要があることから、さらに複雑になります。

800Gがもたらすパラダイムシフト

 データの指数関数的増加は、データセンターやAIシステムから5G(第5世代移動通信)のファイバーxHaulトランスポートに至るまで、ネットワークテクノロジーの急速なデジタルトランスフォーメーションを推進しています。プラガブルなコヒーレントオプティクスにより、前世代の長距離光通信は実現できなかった伝送モデルが可能になります。現在、メトロ、リージョナルおよび長距離ネットワークアプリケーションをサポートできるようになりました。

ONT-800向けの400G QSFP-DDテストモジュール「800G FLEX」 出所:VIAVIソリューションズ

 しかし、高速トランシーバーエコシステムが800G以上に向かって加速するにつれて、新しいテクノロジーは、ネットワーキングのエコシステム全体で変更と調整を必要とするパラダイムシフトをもたらします。この移行がテストと測定にまで及ぶため、コンポーネントメーカーは、次世代の光ファイバーネットワークインフラの開発、検証、製造およびデバッグに対して、進化する組織化されたアプローチを採用する必要があります。

【著:ポール・ブルックス(Paul Brooks)博士/VIAVIソリューションズ ラボ&プロダクション事業部 戦略ディレクター】

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提供:Viaviソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2021年11月5日

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