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「中型パネル市場に革新をもたらす」、日本発の技術がディスプレイデバイスを一変する日本が開発の中心地に

ディスプレイの駆動や高精細化に欠かせないディスプレイデバイスIC(DDIC)。ディスプレイとともに技術の進化が続いている分野だ。実は今、ノートPCなどに使われる中型パネルの分野を一変させるDDIC技術が登場している。しかもそれを手掛けているのは、ある日本企業だ。OmniVision Group同企業を買収し、中型パネル市場でイノベーションを仕掛けようとしている。

» 2022年08月25日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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ディスプレイデバイスIC注目の新技術

 スマートフォンやPC、TVから自動車、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)用端末まで、ディスプレイは今や日常生活に欠かせない部品となっている。仕事でもプライベートでも、私たちはいつも何かしらのディスプレイを操作したり、見たりしている。

 富士キメラ総研が2022年7月に発表した予測によれば、2027年のディスプレイ世界市場は、大型AMOLED(アクティブマトリックス式有機ELディスプレイ)が8063億円、中小型AMOLEDが3兆9701億円。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でPCなどの需要が拡大した2021年に比べると、2027年にかけて成長はやや鈍化するものの、QD-OLED(量子ドットOLED)やマイクロLEDなど新しいディスプレイ技術へと移行が進み、安定かつ堅調な市場になっている。

 だが、進化しているのはディスプレイそのものだけではない。ディスプレイの駆動や高精細化、保護に欠かせないディスプレイデバイスIC(DDIC)でも継続的な技術開発が続いている。実は今、このDDIC技術で大きなイノベーションが起きようとしているのだ。このイノベーションをけん引し、DDIC市場にこれまで以上に攻勢をかけようとしているのがOmniVision Groupだ。そして、そのカギを握っているのが日本のベンチャー企業なのである。

OmniVision Groupが日本のベンチャーを買収

 OmniVision GroupがDDIC市場に参入したのは2020年のことだ。DDICに加え、タッチコントローラーICとDDICを統合したTDDI(Touch Display Driver Integration)も手掛けていて、2021年には7300万個のTDDIを出荷した。同社のDDIC/TDDIの売上高は前年比で2.6倍と大きな成長を遂げている。

 そのOmniVision Groupが2022年8月1日、セレブレクス(CerebrEX)の買収を発表した。大阪に本社を構えるセレブレクスは2012年6月に設立された企業で、ディスプレイコントローラー用半導体と内部ブロックIP(Intellectual Property)の設計、開発、製造、販売を手掛けるファブレス半導体ベンチャーだ。独創的な技術が注目され、産業革新機構や電子部品商社などが出資している。

 セレブレクスの主力製品は、TED(TCON-Embedded Driver)と呼ばれるディスプレイドライバICである。OmniVision Group Touch & Display Solutions(以下、OTD)事業部のシニアディレクター兼プロダクトマネジメントを務めるHarley Yin氏は、「TEDは、特に9〜15インチクラスの中型パネルにおいて革新的な技術であり、われわれはTEDによって同市場でのプレゼンスを高められるだろう」と期待を込める。

成熟した市場にもイノベーションを起こせるTED技術

 現在、中型パネルを使用するノートPCなどのディスプレイドライバは、ロジックレベルの画像信号を送信するTCON(タイミングコントローラLSI)と、その信号を受信してパネルに表示させるDDICで構成されるのが一般的だ。より具体的には、TCONやレベルシフタを搭載したPCBと、LCD(液晶ディスプレイ)パネル側に配置された2〜4個のソースドライバなど複数のディスクリートで構成されている。セレブレクスが開発したTEDは、このTCONとソースドライバ、レベルシフタを1チップに統合したものだ。

 1チップ化することで、ディスクリートで構成する場合に比べ、ディスプレイドライバの小型化や低コスト化、低消費電力化を実現できる。

 「基板からTCONとレベルシフタがなくなるので、従来よりも約40%小型化でき、ノートPCのLCD接続部分(基板+TED)の長さは、従来よりも10mm程度短くなる。PCBの幅も小さくなるのでヒンジ内に収めることができ、PCメーカーにとっては、ヒンジ部分の設計がより柔軟かつ容易になる。これは、ダメージを受けやすいヒンジ部分の強化にもつながる」(Yin氏)。設計もシンプルになり、部品点数が減るので調達がよりしやすくなり、昨今問題となっているサプライチェーンの点から見ても有利になる。

TED技術の利点。TCONとDDICを1チップ化することで、PCBは大幅に小型化され、ヒンジ部分に収まる 出所:OmniVision Group

 従来、TCONとソースドライバ間のインタフェースには、各パネルメーカーの独自プロトコルが多く使われてきた。これらのインタフェースは消費電力が高いことが多い。TEDでは、そもそもTCONとソースドライバが1チップ化されているので、独自プロトコルのインタフェースを使用する必要がなくなり、消費電力も削減できる。また、TCONとDDICを1チップ化したことにより、入力パターン(表示パターン)に応じて瞬時にDDICの設定を最適化できることも、低消費電力化につながる。これに加え、セレブレクスが開発したTEDには、専用回路によって自動で静止画を検出し、フレームレートを下げる機能が搭載されていて、これも低消費電力化に貢献する。

 従来のフルHD(FHD)パネルに搭載されているソースドライバ出力は一般的に6ビットだが、セレブレクスのTEDは、ソースドライバ出力が8ビット解像度に対応するため、FHDパネルの画質を向上できる。

 ゲーミングなどの用途に向けて、動的なフレームレート変更に追従できるAdaptive Sync機能や、専用の内蔵カラーエンジン回路により、表示内容によって動的に液晶バックライトの明るさを制御するCABC(Contents Adaptive Backlight Control)機能を備える。専用回路の搭載により、LCDパネルのほとんどのカラーフィルター構成に柔軟に対応できることも利点である。

 Yin氏は、「現在、ノートPCの95%以上は、ディスプレイドライバがディスクリートで構成されている。だが大手PCメーカーもTEDに大きな関心を寄せていて、2023年以降はTEDの採用が加速するとみている」と語る。

 そうなれば、OTDにとって、既に成熟したノートPC向けDDIC市場の中で、新たなビジネス機会を開拓できることになるわけだ。「TEDには、特に中型パネルで既存のディスクリートソリューションを、全て置き換えるポテンシャルがある」とYin氏は強調する。

 特に、TEDのターゲットである中型パネルは、大型パネルに比べて収益性が高く、OmniVision Groupが注力する市場でもある。「われわれは、ノートPCやタブレット端末などの10インチクラスの中型パネル市場に、積極的に参入しようとしている。当社が強みを持つノートPC向けCMOSイメージセンサー(CIS)と同じ販売チャネルを活用してTEDを提供できるので、その点も有利だ」とYin氏は語る。ノートPC向けCISで高いシェアを持つOmniVision Groupにとって、トータルソリューション(CIS、アナログIC、DDIC)として、TEDも併せて提供できる意味は大きい。

 第1世代製品のTEDは、2018年から既に出荷を開始しており、市場での認知度が高まりつつある。現在は第2世代製品を開発中で、2023年にはサンプル出荷を開始し、2024年からは本格量産を開始する予定である。「われわれは、ノートPC市場におけるTEDでトップポジションを築いており、第2世代製品で大手ノートPCメーカーの主要モデルに搭載される見込みだ」(Yin氏)

 TED技術を手掛ける企業は他にもあるが、「セレブレクスの技術は、少なくとも1年以上は先行している」とYin氏は述べる。

新ディスプレイデバイス技術の開発は、日本が中心地に

 セレブレクスを買収したこともあり、OmniVision Groupにとって、日本はDDCI/TDDIの開発の中心地の一つになっている。既にセンシングソリューションのR&Dセンターがある横浜および京都の拠点を拡張し、ディスプレイデバイス関連の開発拠点とする。DDIC/TDDIの他、ディスプレイデバイスのデジタル/アナログ設計、エマージングディスプレイ向けのIP開発、チップ設計や評価業務などに携わる約30人の設計エンジニアを採用する計画だ。さらに、セレブレクスのオフィスがある大阪も開発拠点に加わる。買収に伴い、セレブレクスのエンジニア全員がOTDに合流し、TEDの開発や事業に継続して携わる。これらの拠点は、OTDの海外設計拠点と協力して開発を行っていく予定だ。

OmniVision Groupの日本国内のR&Dセンター。これに、セレブレクスのオフィスがある大阪が拠点として加わる 出所:OmniVision Group

 この他にも、OmniVision Group日本支社では、新卒採用も強化すべく、日本の大学とも密にコミュニケーションを取っている。

 Yin氏は「当面は、ノートPC向けに今回のTED技術を拡大させ、将来的にはタッチを含めた新しい応用用途にも適用していく戦略だ。そのどちらにおいても、日本のR&Dセンターが中心的な役割を担う」と語り、日本に対する期待感を強調した。

世界的な経済低迷でも続く成長

 日本では、なかなか「成長市場」とは捉えられないディスプレイ分野だが、世界市場では大きく成長が続いている分野であり、OmniVision Groupは継続して投資を行っている。しかも、ただ投資しているわけではない。日本でのR&Dセンターの拡張やセレブレクスの買収からも見て取れるように、かなり“積極的に”投資しているのだ。Yin氏は「セレブレクスの買収などは、われわれがディスプレイ技術に期待し、積極的に投資し続けていることを理解していただける一例ではないか。われわれは今後も、TED、TDDI、DDICの設計エンジニアを積極的に採用していく」と語り、日本への継続的な投資を強調した。

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提供:オムニビジョングループ/ウィル・セミコンダクター・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年9月9日

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