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AI、セキュリティ……インテリジェント化が進む次世代IoT向けの全く新しいマイコン「PSOC Edge」が誕生!車載マイコンリーダーのインフィニオンが汎用マイコンでも躍進

インフィニオン テクノロジーズは、本格的なAI搭載を実現するIoT機器向けの新マイコン「PSOC Edge」を発表した。「PSOC Edge」は、特定顧客へのサンプル出荷を開始している。

» 2024年06月20日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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車載マイコンで世界首位を獲得したインフィニオン

 インフィニオン テクノロジーズは2024年4月、車載マイクロコントローラー(以下、マイコン)市場で、初めて世界シェア首位*1に立った。車載用途以外のマイコン、いわゆる「汎用(はんよう)マイコン」も含めたマイコン市場の世界シェアは第2位*2。インフィニオンは、汎用マイコンでも車載マイコン同様の躍進を目指して積極的な投資と製品開発を実施している。

*1)Gartner(2024年4月) / *2)Omdia(2023年11月)

 そして2024年春、インフィニオンは汎用マイコン市場での積極的な姿勢を象徴する新たな汎用マイコン製品ブランド「PSOC」を発表した。

豊富な汎用マイコン基盤を融合し誕生した「PSOC」

 インフィニオンの汎用マイコンといえば、産業機器をはじめとしたモーター/パワー制御向けマイコン「XMC」や2020年に経営統合したサイプレス セミコンダクタが開発して民生機器や産業機器などに幅広く使われているArmコアマイコン「PSoC」を思い浮かべる読者が多いだろう。コストパフォーマンスの高い「PSoC 4000ファミリー」や、デュアルコア構成で高い性能を誇るIoT向けマイコン「PSoC 6ファミリー」などが広く使用されている。他にも、2010年に富士通セミコンダクター(当時)が開発した産業機器/家電向けマイコン「FM」などもサイプレスの経営統合に伴ってインフィニオンの汎用マイコン製品群に加わっている。

 インフィニオンが持つマイコンに関する多様な技術/ノウハウを融合させて一つのマイコンとして昇華させたのが「PSOC」だ。

インフィニオン テクノロジーズ ジャパン C3事業本部マーケティング部センサー&コントロールシステムズ 部長 浦川辰也氏

 インフィニオン テクノロジーズ ジャパンの浦川辰也氏は「PSOCという名称は、従来のPSoCにおける小文字の"o"が大文字の"O"になっているという点で変化しているが、これには従来の“Programmable SoC (System on Chip)”の頭文字をとった”PSoC”の流れを汲みつつ、新しいブランドとして刷新していくという意味合いが込められている」とする。

 インフィニオンは今後、XMCやPSoC、FMといったマイコン製品の販売、サポートを継続しながら、自動車向け以外の汎用マイコンの新製品として、「PSOC Control」「PSOC Connect」「PSOC Edge」の製品ファミリーを展開していく予定だ。

 その中のPSOC Edgeは、今後一層進むと見込まれるIoT機器のインテリジェント化を支える、PSOCを代表するファミリーだ。

インフィニオンの汎用マイコンラインアップ。PSOC Edgeは、独自の静電容量センシング技術「CAPSENSE」などの特徴を持つPSoC 4000ファミリーや高性能マイコンPSoC 6ファミリーに続くIoT/民生機器向けマイコン。次世代のIoTを見据えた性能、機能を備える[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

PSOC Edgeのターゲットは「IoT」

 PSOC EdgeがターゲットにするのはIoT(モノのインターネット)市場だ。インフィニオンは事業戦略としてパワーシステムとともにIoTでの世界的リーダーを掲げており、IoT機器に必要な半導体製品、技術のラインアップを拡充してきた。MEMSマイクやミリ波レーダーなどのセンサー製品、「AIROC」ブランドで展開するWi-FiやBluetoothの最新規格に対応する無線通信IC、パスポートやクレジットカード向けなどで多数の実績があるセキュアICなど、IoT機器に必要なデバイスがそろっている。PSOC EdgeはIoT機器向け製品群の中核を担う製品であり、「IoTのワンストップテクノロジーパートナー」としての地位をより強固にする製品と位置付ける。

インフィニオンは、マイコンやセンサー、セキュリティ製品などさまざまなIoT市場に対応する製品、技術をそろえる[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

 浦川氏は「インターネットに接続されるIoT機器の数は、300億台(2022年)から430億台(2027年)に増えると予想されると同時にインテリジェント化が進む」と指摘する。

 IoT機器はセンシングした情報をインターネット経由でクラウドサーバにアップロードし、クラウドサーバで処理された情報を再びネットワークを介して受け取り動作する。しかし、IoT機器が増えたり、IoT機器が扱うデータ量が増えたりすると、インターネットを行き交うデータ量は膨大になりネットワークをひっ迫する。電力効率が悪く、処理に時間も要すほか、インターネットを多くデータが行き交えばセキュリティ面でのリスクも増大する。そこで、ネットワークを行き交うデータ量を削減するため、IoT機器は自らより多くのデータを処理する「インテリジェント化」に向かうとみられている。そして、IoT機器のインテリジェント化を実現する手段として期待を集めているのが、エッジAI(人工知能)だ。

 「IoT機器のAI(人工知能)搭載は急速に拡大する見込みだ。ある調査会社によると、AI搭載IoT機器の出荷量は約10億台(2023年)から約41億台(2028年)に増加すると予測されている。爆発的に増えるIoT機器におけるAIを実現するマイコンとして特にエッジAIに強いPSOC Edgeを開発し、PSOCの第1弾製品としてリリースした」(浦川氏)

IoT機器のAI搭載を加速させる「PSOC Edge」

 特定顧客向けサンプル出荷を開始したPSOC Edgeは、次の6つの特徴を持つ。迅速なエッジAI実装を可能にするソリューションなど、これからのIoT機器やコネクテッドデバイスでの要求事項に応える特徴が並ぶ。

  1. 高性能、低消費電力の両立
  2. 豊富なメモリ、ペリフェラル
  3. 高いレベルのセキュリティ機能
  4. 充実した開発環境
  5. 機械学習をトータルサポート
  6. グラフィックス機能対応

1.高性能、低消費電力の両立

 搭載するCPUコアは、エッジ端末へのAI実装を可能にするベクトル拡張技術「Arm Helium テクノロジ」をサポートする「Arm Cortex-M55」と、電力効率を重視した「Arm Cortex-M33」を各1個搭載するマルチコア構成になっている。

インフィニオン テクノロジーズ ジャパン C3事業本部マーケティング部センサー&コントロールシステムズ マネージャー 高橋啓介氏

 製造プロセスはマイコンとしては最先端の製造プロセスで、消費電力を抑えつつCortex-M55コアで最大動作周波数400MHzというマイクロプロセッサ(MPU)並みの高速動作を実現している(Cortex-M33の最大動作周波数は200MHz)。そのような微細製造プロセスを使用する場合、微細プロセスでの製造技術が構築されていないフラッシュメモリを同一チップ上に混載できず、フラッシュメモリは別チップで構成するマイコンが多い。PSOC Edgeは、フラッシュメモリではなく次世代不揮発性メモリであるRRAM(抵抗変化型RAM。ReRAMとも呼ばれる)を採用してワンチップを実現している。インフィニオン テクノロジーズ ジャパンの高橋啓介氏は「RRAMは、消費電力が(NOR型)フラッシュメモリよりも少ないといった特徴が知られている。高性能と低消費電力を実現する微細プロセスと低消費電力のRRAMの採用により、MPUクラスの高い性能とマイコンらしい低消費電力を両立させた」とする。

 PSOC Edgeには、低消費電力重視型の「PSOC Edge E81」、低消費電力での機械学習処理を実現する「PSOC Edge E83」、E83にグラフィックス処理機能を加えた「PSOC Edge E84」の3つのシリーズがある。全シリーズとも、Arm Helium DSPやインフィニオン独自の機械学習処理用ニューラルネットワークアクセラレーター「超低消費電力NNLite」を搭載する。PSOC Edge E83、E84は推論処理に特化したNPUコア「Arm Ethos-U55」も搭載し、高いAI処理性能を実現する。

PSOC Edge E81(左)とPSOC Edge E83の主な特徴とブロック図[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

2.豊富なメモリ、ペリフェラル

 RRAMの最大容量は512Kバイト。SRAMはCortex-M55コアと同M33コアの共通メモリを最大5Mバイト、主に同M33コアで使用するメモリ1Mバイト、合計で最大6Mバイト搭載する。メモリインタフェースはeXpanded SPI(xSPI/Hyperbus)やSDホストコントローラーなどを備えている。「大容量のメモリが必要な場合も、速度を犠牲にすることなく外付けメモリで対応できる。インフィニオンは高速インタフェースを持つNORフラッシュメモリやSRAMといったメモリメーカーでもあり、ワンストップソリューションを提供できる」(高橋氏)

 ペリフェラルは、12ビット分解能A-Dコンバーター/D-Aコンバーターをはじめとしたアナログペリフェラルや10/100 Ethernet、CAN FDといったインタフェースを搭載する。

 PSOC Edgeシリーズは、機械学習関連ペリフェラルとしてCPU/NPUコアなどを使用せずにウェイクワードやキーワードなどの音声認識を実現するHMIペリフェラル「Wake Word Detection」を搭載する。「Wake Word Detectionにより、消費電力が大きいCPU/NPUコアを動作させずに処理できる。待機状態の時間が長いIoT端末に有効なペリフェラルだ」(高橋氏)従来、音声認識を搭載した機器は常に電源オンの状態である必要があるが、PSOC Edgeを使用した音声認識はその必要はなく、超低消費電力かつエッジでの音声認識を可能にする。またPSOC Edgeは、Wake Word Detectionに加えキーワードスポッティングを含む音声およびオーディオ通信をサポートし、HMI、スマートホーム、ウェアラブル、ロボティクス、その他のスマートコネクテッドIoT製品など、さまざまな民生用および産業用アプリケーション向けに構築されたタイミングペリフェラルを含んでいる。

3.高いレベルのセキュリティ機能

 IoT機器は、言うまでもなくネットワークに接続される。すなわち、ハッキングなどの脅威にさらされる機会がネットワーク非接続の機器よりも格段に増える。IoT機器の普及に伴い、IoT機器をターゲットにした攻撃は増えるだけでなく高度化しつつある。IoT機器はこれまで以上にハイレベルなセキュリティを備える必要がある。

 PSOC Edgeは、Armの組み込みセキュリティに関するフレームワーク「Platform Security Architecture(PSA)認証プログラム」の最高認証レベル「PSAレベル4」の認証要件を満たしている。「現時点で、最高レベルのセキュリティを備えたIoT機器向けのArmマイコン」(高橋氏)としている。

4.充実した開発環境

 PSOC Edgeファミリーは、インフィニオンのマイコン/無線通信IC製品共通の統合開発環境「ModusToolboxソフトウェアプラットフォーム」(以下、ModusToolbox)に対応している。ModusToolboxは、コンパイラ、エディタ、デバッガなどの開発ツールだけでなく、ミドルウェア、デバイスドライバ、サンプルコードといった豊富なソフトウェアライブラリが用意されている。従来のPSoCファミリーやXMCといったマイコンだけでなく、無線通信IC「AIROC」、USB-PDコントローラーなどのIoT向けデバイス共通の統合開発環境として広く浸透してきた。そのため開発者コミュニティーも充実しており、PSOC Edgeファミリーでもこれらのリソースを活用して効率的にIoT機器を開発でき、市場への投入時間を短縮できる。

PSOC Edgeの開発環境例。「ModusToolboxソフトウェアプラットフォーム」の他、無線通信ICなども搭載した開発評価用ボードなども用意されている[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

5.機械学習をトータルサポート

 PSOC EdgeはNPUやニューラルネットワークアクセラレーター、機械学習関連ペリフェラルを備えておりAI搭載IoT機器に最適だが、AI搭載アプリケーションの開発には高度な知識やノウハウが必要だ。しかし、インフィニオンは開発者や設計者が容易にAI開発をできるエコシステムを構築している。代表的なツールが、IoT機器に組み込むためのAIモデル開発ワークフローをサポートするツールチェーン「Imagimob Studio」だ。Imagimob Studioは、2013年創業の新興企業Imagimobが開発したツールだ。インフィニオンは2023年5月にImagimobを買収し、Imagimob Studioを強化してきた。「Imagimob Studioには、教師データを取り込んで学習し、推論モデルを構築するワークフローが用意されており、マイコンに実装するためのAIソリューションを容易に開発できる。また、すでに独自のデータセットを持っている場合でも、データを取り込むことが可能。Imagimob StudioはModusToolboxと連携できるように最適化されており、AI搭載IoT機器の開発を一気通貫で行える。こうした点もPSOC Edgeの大きな特徴だ」(高橋氏)

Imagimob StudioおよびModusToolboxソフトウェアプラットフォームを使用したAI搭載アプリケーション開発の流れ[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

6.グラフィックス機能対応

 PSOC Edge E84は、1024×768画素に対応するグラフィックス処理用GPUコアを搭載する。「IoT機器でも高解像度のディスプレイにリッチなグラフィックスを表示するケースが増えてきた」とし、ウェアラブル端末や家電、スマートホーム端末、産業機器などの用途を想定している。

PSOC Edge E84の主な特徴とブロック図[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

 浦川氏は、「これまでMPUレベルでしか実現できなかったAIを、低消費電力のマイコンで手軽に実現できる」とする。PSOC Edgeの登場によってIoT機器へのエッジAIの搭載がさらに加速しそうだ。

インフィニオン テクノロジーズ ジャパン 浦川氏(左)と高橋氏

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提供:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年7月19日

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