前回のコラムで発表したインターポーザボード「SE SPIDER-01」(以下、SE SP-01)。今回は、このSE SP-01を使って、システムを検討、評価しようというエンジニアの皆さんのお役に立つ、アプリケーションノートに載っていない「裏情報」を紹介します。
こんにちは。インターポーザボード SE SPIDER-01(以下、SE SP-01)の開発を担当した、ルネサスのグッさん(ペンネーム)です。
さて、ソリューションコラム第8回目の本コラムではインターポーザボード(SE SP-01)を使いたいと考えている方や、既に先行モニターに当選されSE SP-01をお持ちで、“さあ、これを使って新しいシステムを検討しよう!”、“評価してみよう!”という方々のお役に立つ情報を、ご紹介したいと思います。
(1)SE SP-01の仕様を読む
(2)“つながりやすさ”を実現するために
(3)評価を開始するまでの手順
の3部構成です。
今回のコラム中で紹介していますが、実はこのインターポーザボード(SE SP-01)は、物理的には多数の両社製評価ボードと接続できる設計なんです。「SE SP-01 に対応している両社の基板一覧をすぐに見たい!」という方はこちら。
Solution-EdgeのSE SP-01概要ページで、アナログ・デバイセズのコンバータ製品などの評価ボードと、ルネサス エレクトロニクスのマイコン評価ボード(RSK RL78/G13,RSK+ RX63N)とを“簡単に接続できますよ!”と説明されていますが、どんなコネクタがあってどう接続するのか詳しいところがあまり記載されていません。
以下に、簡単な特徴をまとめました。
・RSK+ RX63N
・RSK RL78G13
・AD7980 ・AD7982
・AD7693 ・AD7685
SE SP-01のレイアウトには、接続される評価ボードの各種機能を邪魔しないようにさまざまな配慮がされています。例えばRSK/RSK+上でエミュレータE1をつないだままSE SP-01を接続してアナログ・デバイセズの評価ボードを接続するといったことが可能です! SE SP-01に実装されているコネクタ名ごとに役割を紹介します。
a)CN1(JA1用)/CN2(JA2用) コネクタ
b) CN11
c) CN12
d) CN10
e) CN3〜CN9、CN13
a) JP1
b) JP2〜JP23
となります。
“今回、対象外のボードって何ですか?”と言われそうですが、そこは回路図をご覧いただき、察していただければ……。SE SP-01をどのように使うかはユーザー次第! ということで!
さて、使い勝手を特徴に挙げるということは、使いにくさを解消していることを説明しないといけませんね。
「SE SP-01って基板と基板の間を中継してるだけやん。AとBを線でつないだだけでしょ?」と思われがちです。ですが、ひとつの会社の評価ボード同士の接続ならいざ知らず、他社同士の、ボード構成もデバイスの種類も違ういろいろなボードをさまざまな組み合わせで網羅することは想像以上の難作業でした。ルネサスとアナログ・デバイセズ、さらに各々の製品ごとに事業部が異なり、評価ボードの設計思想も少しずつ違う(そしてそれは回路図の書式にもにじみ出る)そのような評価ボードたちを最大限網羅して、かつ、使いやすく設計しました!
本来、ユーザーがマイコンと専用IC(SE SP-01ではアナログ・デバイセズ製コンバータ製品群)を組み合わせて使用する場合、マイコン搭載されているインタフェースと専用ICのインタフェースを照らし合わせて、どのように制御するか検討する必要があります。そのため、SE SP-01でも、そのような想定される製品同士の組み合わせを、最初から全て網羅できるように検討しておく必要がありました。そこで、想定される製品に搭載されているインタフェースと接続コネクタを一覧できる表を作成し、ルネサスのマイコンとアナログ・デバイセズの製品との接続可能な最大公約数で、SD SP-01の設計を最適化するという途方に暮れがちな作業を行いました! その結晶は下記リンクから一部入手可能です!
【SE SP-01対応表】ダウンロード(Excel形式)
しかも、接続する条件はインタフェースだけではありません。ルネサスの評価ボードRSKには、大きな液晶パネルやデバッガ(エミュレータ)も接続されるので、液晶パネル表示を邪魔せず、デバッガの接続も可能にするといった考慮もする必要があります。ユーザーの使用方法のさまざまなパターンを考慮した結果、コネクタの配置位置と基板寸法が決まりました。また、SE SP-01のJA1,JA2の接続コネクタは基板の表、裏のいずれにも切り替えられるよう、出荷時にはコネクタを実装せず添付することで柔軟性を高めています。
このRSK基板対応表は、ルネサスマイコンとアナログ・デバイセズのICとの組み合わせで、システムを検討される方にとって、デバイス間の接続手段を決めるためにもお役に立つ資料です。ぜひご参考ください!
SE SP-01基板を入手したら、早速使ってみましょう!
評価環境は簡単に立ち上げることができます。
まず、SE SP-01の箱を開けると、RSK/RSK+のJA1、JA2コネクタに接続するためのデュアルインラインコネクタが未実装の状態で同梱されています。このコネクタが未実装で同梱されているのは、SE SP-01の接続される位置がRSKか、RSK+か、によって、コネクタのはんだ付け方向が上下で変わるためです。
従って、使用するマイコンを決定(RX63NまたはRL78/G13)した時点で、そのRSK/RSK+コネクタの配置によってコネクタの設置方向が決まりますので、SE SP-01に付属のコネクタを必要な方向にはんだ付けしてください。
このようにRSKを使う場合はRSKの下側(裏側)、RSK+を使う場合はRSK+の上側(表側)にSE SP-01を接続するようにコネクタを実装します。
SE SP-01がRSKやRSK+、RX/RLマイコンの制限なくさまざまな評価ボードに対応できるのは、ジャンパーピン(通信経路)に秘密があります。
SE SP-01のジャンパーピンを切り替えることで、あらゆるRSK/RSK+に対応できるように設計されています※)。
詳しい設定方法は、アプリケーションノートにてご案内していますので、アプリケーションノートを参照してください。
※) RSK/RSK+上のジャンパーピンの変更だけでなく、0Ω抵抗の設定を変える必要がある場合もあります。
SE SP-01の初期設定が終わったら、いよいよ接続です!
ルネサスRSK/RSK+のアプリケーションヘッダJA1をSE SP-01のCN1へ、JA2をSE SP-01のCN2へ接続します。アナログ・デバイセズの評価ボードは、SE SP-01を評価ボードのSDPコネクタに接続し、ネジでしっかり固定します。
Solution-Edgeで、サンプルとして公開されているプロジェクトファイル一式をダウンロードし、CubeSuite+でファイルを開いてプログラムをロードさせるだけで、このように簡単に動きましたよ!
プロジェクトファイルはCubeSuite+上で作成しています。プロジェクトファイルの中には、自動的に設定されるI/Oの定義や、入出力制御を行うインタフェース関数も含まれています。ですので、例えばサンプルコードを参考にしながら、パラメータなどを少し修正してさらに評価する、あるいは、プロジェクトファイルに含まれる関数を取り出して、他のプロジェクトに流用するといった使い方ができます。プロジェクトファイルごとダウンロードできますので、すぐプログラム開発できます。是非、活用してください!
今後も、対象評価ボードを順次増やし、アプリケーションノートも追加していきますので、引き続きSolution-Edgeにご注目ください!
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提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社 / アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月31日
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アナログ・デバイセズ製の各種デバイスと、ルネサスエレクトロニクス製マイコンボードを簡単につなぐことができるようになるインターポーザボード「SE SP-01」。実際どれくらい簡単なのでしょうか。早速、SE SP-01を使ってシステムを組んでみましょう。