電子工作好きの皆さんにはおなじみの小型電子工作ボード(ガジェット)「GR-SAKURA」。このGR-SAKURAにセンサーを接続していろいろな装置作りにチャレンジしている方も多いと思います。そして、いろいろ工作しているうちに「もっと高精度なセンサーを使いたい」という欲求が生まれているかと思います。でも、高精度センサーをGR-SAKURAを接続するには、結構な技術力が要求されます。そこで、今回、Solution-Edgeオリジナルのインターポーザボード「SE SP-01」を使って、GR-SAKURに高精度センサーを手軽に取り付ける手順とプログラムをご紹介します。ぜひ、皆さんもSE SP-01でGR-SAKURAを究極まで進化させてください。
「SE SP-01」は、ルネサスエレクトロニクス製マイコン評価ボード(Renesas Starter Kit:以下、RSK)とアナログ・デバイセズ製の評価ボードや実用回路集(以下CFTL)を中心に、さまざまな組み合わせが簡単に接続することができます。
しかし、SE SP-01の汎用性はこれだけにとどまりません。今回はピンク色の基板が目をひくGR-SAKURAとCFTLボードCN0189を使った角度センサーデモを紹介します。
GR-SAKURAのGRはGadget Renesas、「がじぇっとるねさす」が提供する小型のリファレンスボードです。RX63Nマイコンが搭載されています。GR-SAKURAの基板サイズや、外部拡張端子はArduino UNO(アルドゥイーノ・ウーノ)互換で設計されており、Arduinoの各種シールドが流用可能な構成になっています。また、開発環境はWebアプリを使ったクラウド・コンパイル環境(Renesas Web Compiler)を実現しており、極めて低コストでマイコン開発を始めることができるようになっています。
GR-SAKURAについて詳しくはこちら(がじぇっとるねさす紹介ページ)を参照してください。
実用回路集Circuits from the Lab®はアナログ・デバイセズのコンテンツです。従来のデバイス単体の評価ボードや、ドキュメントだけのアプリケーションノートではなく、さまざまなアプリケーションにそのまま適用していただけるよう、デバイスを組み合わせて基板を制作し、評価を実施し、そのレポートとともに回路図や評価ソフト、基板製作のためのデータを無償公開しているものです。基板も販売しています。
今回のデモで用いたCFTLボードCN0189は、回転や傾きの検出/計測アプリケーション向きのコンテンツです。高精度・低消費電力の2軸加速度センサーADXL203と、加速度センサーのアナログ出力を受けるためのアナログ回路段と、そのアナログ信号をAD変換し、SPI通信でマイコンに送るためのA/Dコンバータを搭載しています。
CN0189について詳しくはこちら(CN0189紹介ページ)を参照してください。
今回の角度センサーデモは、GR-SAKURAに出ているArduino UNO互換の拡張コネクタを利用して角度センサーのデモシステムを組み上げます。
今回の角度センサーデモの組み立てには、次のものを準備します。
まず、SE SP-01にGR-SAKURAを接続するために、SE SP-01に付属されているピンヘッダをCN3〜CN6にハンダ付けします。
また、LCDモジュール用に、5穴ピンソケットをSE SP-01のユニバーサルエリア(写真の位置)にハンダ付けします。
左下の写真は、SE SP-01のユニバーサルエリアを裏面から見たところです。右下の図のような配線でハンダ付けします。左側のGNDと3V3は、ピンヘッダを立てておくとハンダ付けしやすいです。
LCDモジュールとピッチ変換基板をハンダ付けして、さらにピンヘッダもハンダ付けします。「PU」のシルク箇所はハンダで盛ることで、つなげます。
GR-SAKURAは、ピンソケットをCN7、CN8、CN14、CN15へ基板の裏側からハンダ付けします。
ここまでできたら、後は組み立てです。
GR-SAKURAとLCDモジュールを差し込み、CN0189をCN11(120Pinコネクタ)へ取り付けると組み立て完了です。
なお、LCDへ3.3Vを供給するためにSE SP-01のJP1端子、2-5ピンをショートさせるようジャンパをセットしてください。GR-SAKURAから電源がLCDに供給されるようになります。
組み立てが完了したら、角度センサーデモプログラムをダウンロードします。
今回のデモでは、GR-SAKURAにE1コネクタを付けてCubeSuite+上からダウンロードする方式を採用しました。
GR-SAKURAにE1をつなげて、CubeSuite+上で角度センサーデモのプロジェクトを開きます。
プロジェクトを開いたら、「F6」キーを押下でビルド&ダウンロードが行われます。
※ダウンロードによってGR-SAKURA内のUSBストレージ領域が使えなくなりますので、GR-SAKURA用のクラウド開発環境Renesas Web Compilerを使用されている方は注意してください。
プログラムを実行して、LCDに文字が現れたら成功です。
ファームウェアは、起動時に、0点補正が自動的を開始します。プログラムが動き始めた時点のセンサーの位置(角度)を0°として、360°表示するように補正する処理を行っています。そのため、この0点補正中は、角度センサーデモを動かさないようにしましょう。
補正完了後は、いよいよ角度センサーデモが動き始めます。素早く円盤を回しても、それに追随して角度表示がなされ、なかなかリアルタイム性も良好です。
さて、Solution-Edge会員の皆さんに角度センサーデモをできるだけ手軽に体感いただくために、デモで使用したファームウェアを公開致します(まだ、Solution-Edge会員でない方はこちらから無償で登録できます!)。JTAGエミュレータE1とCubeSuite+をご用意いただくことで、本デモで使用した開発環境と同じ環境を再現することができます。
なお、このファームウェアでは、RX63Nのペリフェラル・レジスタ周りの設定については、PDG(Peripheral Driver Generator)を使用しています。
PDGはルネサス製のマイコン内蔵I/Oドライバ作製支援ツール(ソースコード自動生成ツール)で、無償配布していますので、角度センサーデモファームウェアの内容を変更する場合は、PDGをご使用ください。詳しくは、こちらを参照してください。
今回ご紹介しました角度センサーデモはいかがでしたでしょうか。このデモは2013年の「組込み総合技術展 Embedded Technology 2013(ET2013)」で展示したものですが、展示期間中から、多数の方にご興味を持っていただいたことから、急きょSolution-Edge誌上で公開する運びとなりました。
今回のキーポイントとしては以下の通りです。
・RSK以外にも、Arduino互換コネクタを使って評価ボードをつなげることができる。
・ユニバーサルエリアには3.3Vが供給できるため、LCDなどの電源を必要とするデバイスを手軽に追加できる。
・CFTLボードとは120Pinコネクタにつなげるだけで、面倒な設定が一切無い。
ぜひとも今回のデモを参考に、さまざまなデバイスで挑戦してみてください。SE SP-01にはさまざまな可能性が秘められています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社 / アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月31日
津田建二の技術解説コラム【海外編】に知ってるつもりの外国事情(6)――IMECに見る研究開発のあり方を追加
津田建二の技術解説コラム【歴史編】に半導体の温故知新(6)――MOSトランジスタの次はTFET?を追加
津田建二の技術解説コラム【入門編】に半導体の基礎知識(6)――パワー半導体の広がりを追加
津田建二の技術解説コラム【海外編】に知ってるつもりの外国事情(5)――ネットワーキングを積極的に活用しようを追加
津田建二の技術解説コラム【歴史編】に半導体の温故知新(5)――ノーベル賞を受賞した半導体デバイスは実用的かを追加
津田建二の技術解説コラム【入門編】に半導体の基礎知識(5)――ワイヤレスに必要な半導体を追加
津田建二の技術解説コラム【海外編】に知ってるつもりの外国事情(4)――業界用語の常識を海外と比較するを追加
津田建二の技術解説コラム【歴史編】に半導体の温故知新(4)――IBM30億ドル投資の裏にCMOSの凄さありを追加
ソリューションライブラリ「デジタルフィルターとアナログフィルター(4):デジタル信号処理を徹底比較! フィルター特性と窓関数も解説」を追加
津田建二の技術解説コラム【入門編】に半導体の基礎知識(4)――IoTを定義しようを追加
Solution-Edge関連ニュースに信号の絶縁とAD変換が1つでできる便利な素子 AD7403を追加
ソリューションコラムにアナログ・デバイセズの実用回路集「Circuits from the Lab」の使い方を追加
2014年9月、ルネサス エレクトロニクスのイベント「DevCon Japan2014」にて、加賀デバイスブースにてソリューションエッジのインターポーザボード「SE SP-01」を使ったデータ・アクイジション・システムのデモが披露されました。今回は、このデモの詳細を加賀デバイスの開発担当者自らがご紹介します。
アナログ・デバイセズの実用回路集「Circuits from the Lab」を活用して、ルネサス エレクトロニクスのマイコン評価環境とつないで、お手軽、簡単データアクイジションシステムを構築してみましょう!
ソリューションコラムでは、これまでSE SP-01を使用したさまざまなバリエーションのデモをご紹介してきました。今回ご紹介するのは、アナログ・デバイセズの超低消費電力18ビット1Mサンプル/秒のA/DコンバータAD7982を、なんとGR-KURUMIを使用して制御&デバッグをします!
電子工作好きの皆さんにはおなじみの小型電子工作ボード(ガジェット)「GR-SAKURA」。このGR-SAKURAにセンサーを接続していろいろな装置作りにチャレンジしている方も多いと思います。そして、いろいろ工作しているうちに「もっと高精度なセンサーを使いたい」という欲求が生まれているかと思います。でも、高精度センサーをGR-SAKURAを接続するには、結構な技術力が要求されます。そこで、今回、Solution-Edgeオリジナルのインターポーザボード「SE SP-01」を使って、GR-SAKURに高精度センサーを手軽に取り付ける手順とプログラムをご紹介します。ぜひ、皆さんもSE SP-01でGR-SAKURAを究極まで進化させてください。
前回のソリューションコラムでは、SE SP-01を使って手軽にシステム構築ができる一例を紹介しました。今回は、前回に組み上げた評価環境を実際に動作させていく様子をご紹介します。SE SP-01の素晴らしさを、よりご理解頂けると思います。
アナログ・デバイセズ製の各種デバイスと、ルネサスエレクトロニクス製マイコンボードを簡単につなぐことができるようになるインターポーザボード「SE SP-01」。実際どれくらい簡単なのでしょうか。早速、SE SP-01を使ってシステムを組んでみましょう。