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モーターの原理を理解しよう――電気自動車もラジコンも仕組みは同じ!めざせ高効率! モーター駆動入門講座(1)(1/3 ページ)

モーターの高効率化を実現するためには、モーター構造や、構造体の材料、駆動方式、駆動デバイスなど多くの要素を考慮する必要がある。これから数回にわたって、モーターをより高効率に駆動させるための基本的知識を紹介していく。1回目は、モーターがなぜ回るのか、そしてモーターをどうやって回せば高効率駆動できるのかに論点を当てる。

» 2015年04月28日 15時00分 公開

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 世界電力消費量は19兆KWh。その電力の40%以上を消費しているのは、モーターである――。

 昨今の世界的なエネルギー問題の中、欧米先進国をはじめとした各国では、モーターの高効率化がエネルギー問題を解決する上で、非常に重要で効果的な施策と位置付けられている。日本においても経済産業省が、省エネ製品の普及を目的とした「トップランナー制度」の対象商品に、自動車と家電に加えて、2015年度より産業用モーターの適用を決めている。

 モーターは、産業機器用途のみならず、家庭においてもエアコンや冷蔵庫をはじめ、多くの電化製品に使用される。車載モーターでも、EV・HEVに限らず、アイドリングストップ車でも従来のミラーやウィンドウの駆動以外に、ファン、ウォータポンプ、オイルポンプ、パワーステアリングなど、非常に多くの部分でエンジン動力からモーター駆動に置き換わり、モーターを使用した小型化、高効率化の要求はますます強くなっている。

 モーターの高効率化を実現するためには、モーター構造や、構造体の材料、駆動方式、駆動デバイスなど多くの要素を考慮する必要がある。本稿では、モーターがなぜ回るのか、そしてモーターをどうやって回せば高効率駆動できるのかに論点を当てる。電磁気学の基礎を理解し回転しようとする力、つまりトルクを最大かつ効率的に発生させるにはどうすればよいかを説明する。


モーターが回る基本原理、磁界から磁力を作る

 それでは、どのようにしてモーターが回っているか磁界と磁力から順に説明しよう。

 図1に示すように、回転軸を持つ永久磁石の周りで磁石を回すと、発生する磁力によってN極とS極が引き合い、回転軸を持つ永久磁石が回る。

図1 永久磁石を使ったモーターの基本回転原理
図2 電流と磁力線(磁界)の関係

 逆に、周りの磁石をどのように回すかというと、永久磁石そのものを回すのでなく、磁界(磁力)を回転させて回転磁界を作る。いつでも磁界を備えている永久磁石以外で磁界を作る方法として、導線に電流を流すとその周りに磁力線(磁界)を発生させる方法がある(図2)。

 その導線をループ(コイル)状に巻いていくと、それぞれの磁力線が合成され大きな磁力線が束(高い磁束密度)となり、N極とS極を発生させることができる(図3)。コイルの中に鉄心をいれると磁力線が通りやすくなり、さらに磁束密度が増すため、強い磁力が発生させることができる。

図3 導線をコイル状に巻き、N極とS極を発生

 当然、コイルにより大きな電流を流したり、コイルを多く巻いたりしても同様により強い磁力を発生させることができる。

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