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DisplayPort vs. HDMI2つのディスプレイI/F規格、勝者はいずれに(1/2 ページ)

ディスプレイ用のインターフェース規格であるDisplayPort。これに対応したICが、パソコン、液晶モニター、グラフィックスカードなどの機器に搭載されるようになってきた。しかし、DisplayPort対応ICの生産量が増えて価格が低下し、民生電子機器における類似の規格であるHDMIの脅威となるまでには、少なくとも5年はかかるだろう。

» 2009年03月01日 00時00分 公開
[Ann R Thryft,EDN]

期待を集めたDisplayPort

 2006年にDisplayPortを発表したVESA(Video Electronics Standards Association)は、2008年にDisplayPort 1.1a規格を承認した。同規格に対応するICは、パソコン、液晶モニター、ケーブルアセンブリ、一部のマザーボード、グラフィックスカードに搭載され始めている。当初、パソコンメーカーは、コンピューティング分野における問題を解消し、パソコンや液晶モニター、民生電子機器(以下、CE機器)において、機器間を接続する外部アナログVGA(Video Graphics Array)インターフェースを置き換えるものとしてDisplayPortを開発していた。また、DisplayPortは、主にCE機器に使われる外部DVI(Digital Visual Interface)コネクタの置き換えもターゲットとしている。さらには、パソコン/CE機器におけるボードからディスプレイへのLVDS(Low Voltage Differential Signaling:低電圧差動伝送)内部リンクをも置き換える可能性がある。

 DisplayPortの支持者らは、このディスプレイ向けデジタルインターフェース規格を以下のように評価している。

  • コネクタの面積が減らせる
  • 乱雑なケーブルを排除できる
  • 消費電力とコストを削減できる
  • 一部の回路を不要とする
  • 家庭内ネットワークに接続する各種機器のインターフェースを統一することができる
  • ロイヤルティを支払わなくてよい
  • スケーラブルで拡張可能である

 DisplayPortは、このような特徴を備えるオープンなインターフェース規格であるというのが彼らの主張だ。しかし、こうした大きな期待を集めて誕生したDisplayPortだが、その普及に関しては、やや懐疑的にとらえている向きもある。その大きな理由は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)の存在である。

主導権を握ったHDMI

図1 DisplayPort対応機器の出荷台数(提供:In-Stat社) 図1 DisplayPort対応機器の出荷台数(提供:In-Stat社) 

 この数年間、VESAはDisplayPortの規格を策定するとともに、同規格に対応したICやシステムの稼働に向けた各種作業や認定活動などを行ってきた。その間に、ICメーカーは、DisplayPortよりも歴史が古く、外部向けのみに対応したインターフェース規格であるHDMIに準拠したICの量産出荷を開始した。

 HDMIは、DVIの既存のラスタースキャン方式CRTディスプレイアーキテクチャをベースとし、DVIに代わるものとして設計された。5000〜1万米ドルという年間使用料と、デバイス当たり4セントというロイヤルティを要するのにもかかわらず、HDMIポートは現在、ゲーム機や、DVDプレーヤ、Blu-rayプレーヤ、セットトップボックス、デジタルビデオを搭載するデジタルテレビなど、数億台ものCE機器に採用されている。おそらく、DisplayPortの支持者にとってそれよりも重要なのは、HDMIが、HDTV(高品位テレビ)への接続を可能にするために、グラフィックスカードやパソコン、モニターにも搭載され始めたという事実である。

 米In-Stat社の主席アナリストであるBrian O'Rourke氏によると、「2008年の間に出荷されたDisplayPort対応製品の数は多くない。しかし、2012年には出荷数は6億ユニット以上に増加する」という。その多くは、パソコンおよびパソコン周辺機器となる(図1)。O'Rourke氏は、以下のように述べている。

 「しばらくは、DisplayPortがCE機器の市場シェアを大きく獲得することはないと考えている。今後5年間、DisplayPortはパソコンやパソコン周辺機器に多く採用されるようになり、CE機器ではHDMIが大部分を占めるだろう。HDMIは、大手CE機器メーカーの支持を得ており、そうしたメーカーは保守的に構える傾向があるからだ。一方、パソコン市場におけるDisplayPortの強みは、DVIコントローラとVGAチップの両方を排除することができるという点にある」。

 2007年には、DVI機能がデスクトップ型パソコンの13%、デスクトップ型パソコンのモニターの28%、ノート型パソコンの液晶モニターの約16%、そしてすべてのアフターマーケットのグラフィックスカードに搭載されていた。

 米iSuppli社でディスプレイ電子機器部門シニアアナリストを務めるRandy Lawson氏は、「HDMIがこれほど急速に普及している理由の1つは、パソコンのディスプレイやテレビのモニターにおけるポート密度が増加していることだ」と述べる。実際、2つのポートを持つ多機能のパソコンモニターはますます普及しており、古いDVIポートに代わってHDMIポートが採用されるようになってきている。Lawson氏は、「パソコンモニターをビデオ用のディスプレイとして使用する人が多い地域(特に米国外)では、一部のパソコン向けフラットパネルモニターのメーカーが、強くHDMIを支持している。この分野がHDMIとDisplayPortの競争が激化すると予想される市場の1つだ」と述べる。実際、iSuppli社は「2010年にはDisplayPortがデスクトップ型/ノート型パソコンの大部分に搭載されるようになる。しかし、2010年まではパソコンモニターにおけるHDMIの搭載率はDisplayPortのそれよりも高いままだろう」と予測している。第1世代のDisplayPortチップの初期コストが高いことも、このような状況が生じると予測される理由の1つである。

 HDMI対応機器の市場は、高品位カムコーダやビデオゲーム機など、ほかのCE機器がHDビデオをサポートするようになるに連れ、さらに拡大するだろう。

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