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静電容量センサーを用いたI/F、左右の座席からの操作を個別認識

» 2009年04月01日 00時00分 公開
[Automotive Electronics]

 三菱電機は2009年2月、兵庫県尼崎市にある同社先端技術総合研究所で開催した技術成果披露会において、車両向け情報機器のコンセプトカー「AVIOCAR-3」を公開した。同車には、静電容量センサーを使って、左右どちらの座席から操作が行われているかを識別できる操作インターフェース(I/F)「左右座席共有インターフェース」などを搭載している(写真1)。


写真1「AVIOCAR-3」の左右座席共有インターフェース 写真1 「AVIOCAR-3」の左右座席共有インターフェース 静電容量の検知を行うために、人間が触れる部分の素材を金属にするなどして導電性を持たせている。
写真2左右座席共有インターフェースのタッチパネルの見え方 写真2 左右座席共有インターフェースのタッチパネルの見え方 助手席(左)側から見える映像と、鏡に映っている運転席(右)側から見えるタッチパネルの映像は異なる。なお、運転席側から見える映像は、インストルメントパネルのメーター中央部にも表示されており、ダイヤルスイッチを使えば運転中でも安全に操作できる。

 この左右座席共有インターフェースは、タッチパネル、ダイヤルスイッチなどから構成されており、座席の間の部分に設置することが想定されている。ドライバーがカーナビゲーションシステムを操作している際に、助手席の同乗車が音楽などのエンターテインメント機能に関する操作を同時に行えるなど、左右どちらの座席にいる人間が操作しているのかを識別して、それぞれの操作に対応した映像表示と動作を行う。

 操作する人間の識別には、静電容量センサーを利用している。まず、各座席内に組み込んだセンサー電極と人体との間で発生する静電容量を検知することにより、乗員が着席したことを認識する。乗員がインターフェースに触れると、人体を通してインターフェースと座席内のセンサー電極が通電するので、左右どちらの乗員が操作しているのかを識別することができる。「通電させるために、インターフェースの入力部には導電性を持たせている。タッチパネルは静電容量で入力を検知するので問題ないが、ダイヤルスイッチなどには導電性を持つ塗料や金属系の素材を採用した」(三菱電機)という。

 また、タッチパネルは、左からと右からとでそれぞれ異なる映像が見られるようになっている(写真2)。これらの機能を組み合わせることで、左右の座席で同じタッチパネルを使いながら、それぞれの座席で行いたい操作を同時に行うことが可能になった。


2択インターフェースで安全運転

 運転中のドライバーが安全に操作できる新規のインターフェースも組み込んだ。

 一般的なタッチパネルインターフェースでは、画面表示の中からタッチする部分を選択するために画面を注視する必要がある。それに対し、新規インターフェースでは、画面上に大きく表示された2つのボタンからどちらかを選び、選択した内容を音声ガイダンスで確認してから、決定ボタンを押すことで操作を進めていく。この方法であれば、タッチパネル画面を注視することなく、ミスの少ない操作が行えるという。同じ操作はタッチパネルでも行えるが、ダイヤルスイッチを使えば、ダイヤルで二者択一で選択し、スイッチを押し込むことで決定するといったさらに容易な操作が可能になる。

 後部座席向けには、「分割領域可変型画面インターフェース」を開発した。左右の乗員が視聴するコンテンツに合わせて、横長の液晶ディスプレイの画面を分割する位置を自動的に決定するというものだ。例えば、左側の乗員が映像コンテンツを見ているときに、右側の乗員が音楽を聴こうとしている場合、右側の乗員には音楽を選択するために必要なだけの領域を提供し、残りの幅広い画面を左側の映像コンテンツ用に利用するといったことが行える。

 これを利用することにより、後部座席に複数の液晶ディスプレイを配置する場合よりもコストを低減できる。加えて、1つの大きなディスプレイを配置することで、映画などを大画面で視聴できるようになるという。

(朴 尚洙)

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