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「2015年度にLED照明で売上高3500億円」――東芝が照明事業を強化

» 2009年11月01日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 東芝は2009年9月、都内でLED照明を中心とした新照明システム事業についての記者会見を行った(写真1)。同事業の2015年度の売上高として、この分野の2009年度売上高比で17.5倍となる3500億円を目指す。また、2015年度の時点で、同事業の海外売上高比率を30%以上まで高めるとともに、同事業に対して2015年度までに累計約1000億円の経営資源を投入することも明らかにした。

 東芝の副社長を務める室町正志氏は、「当社は、電子デバイス、デジタル機器、家電機器、社会インフラの4つを、注力する事業領域として挙げてきた。今回、これらに加えて、LED照明を中心とした新照明システム事業を新たな注力事業とし、活動を強化することとした」と語る。


写真1 東芝の室町正志氏(右)と東芝ライテックの恒川真一氏 写真1 東芝の室町正志氏(右)と東芝ライテックの恒川真一氏 

 東芝の新照明システム事業は、以下の3つの事業分野から構成される。

 1つ目が、東芝ライテックが販売する、LED電球をはじめとした一般照明器具やランプなどの一般照明事業である。2つ目は、ハリソン東芝ライティングなどが手掛けるLEDバックライトや車載照明器具などの産業用照明事業である。3つ目は、LED照明向けの材料/部品事業である。

 室町氏は、「これら3つの事業から成り立つ新照明システム事業で、2009年度の売上高として200億円程度を見込んでいる。今後は、東芝グループの技術力と世界規模のインフラを活用することで、2015年度の売上高を3500億円まで拡大させる。年率60〜70%の成長が必要になる厳しい目標だが、何とか達成したい」と意気込む。

LED素子の自社生産に注力

 2015年度までに同事業に投入する約1000億円の内訳は、500億円を研究開発投資に、残りの500億円を事業提携/買収などに必要な投融資に割り当てる方針である。東芝の新照明システム事業統括部で統括部長を務める熊丸邦明氏は、「現在、東芝のLED照明システムでは、LED素子のほとんどを外部調達している。500億円を投資することになる研究開発では、LED素子を自社生産するための取り組みに注力したい。解決すべき問題は多いが、可能な限り自社生産したいと考えている」と述べる。

写真2 「一般電球形8.7W」の高密度実装技術を採用した専用LEDモジュール 写真2 「一般電球形8.7W」の高密度実装技術を採用した専用LEDモジュール 

 記者会見では、東芝ライテック社長の恒川真一氏が、LED照明器具「E-CORE」の新製品を発表した。LED電球では、業界トップクラスの明るさと効率を達成した「一般電球形8.7W」を2009年10月に発売し、その価格は9135円。昼白色のモデルで、明るさ(全光束)は810lm(ルーメン)、効率は93lm/Wである。4万時間使用時のCO2排出量を、白熱電球と比べて84%、電球型蛍光灯と比べて27%削減できるという。恒川氏は、「この明るさと効率を実現するために、高密度実装の専用LEDモジュール(写真2)、小型化した電源回路、効率の良い放熱構造という3つの技術を採用した」と説明する。

 また、2009年10月からダウンライト器具など向けの薄型LEDユニットを、同年11月には調光器に対応するLED電球を発売する。2010年冬に、明るさが1700lmのLEDスポットライトを発売することも明らかにした。「2009年度上期までの時点で、東芝ライテックのLED製品の機種数は359機種となっている。しかし、2009年度下期に、これまでの機種数を上回る469機種の新商品を投入する計画である。これで累計828機種となり、ラインアップは大幅に拡充される」(恒川氏)という。

(朴 尚洙)

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