本編で示した通り、コンデンサに印加される電圧が変化すると、容量値も変化する。ここでは、容量値の計測方法や計測時の注意点を紹介しておく。
■計測方法
DC電圧を印加した際の容量値を測定するには、計測対象のコンデンサ(CDUT)と1.5kΩの抵抗(公差±1%)を直列に接続する(図A)。この回路によりローパスフィルタが形成されるので、ゲインが3dB低下するカットオフ周波数f3dBを計測することによって、DC電圧印加時の容量CDUTがCDUT=1/(2π Rf3dB )として求めることができる。カットオフ周波数f3dBを計測するための信号としては、例えば100mVrmsのAC信号をDC電圧に重畳したものを用いることになる。
図Bは、上述した条件で測定した結果の例である。この例は、印加DC電圧を0〜定格電圧の範囲で1Vごとに増加した場合におけるf3dBの計測結果を示している。これらのf3dBの計測結果から求めたCDUTの値を表Aに示す。
AC電圧の印加によるコンデンサの容量変化は、図Aの回路モデルからDC電源を省くことで計測が可能である(図C)。
■計測時の注意点
計測時の注意点を以下に挙げる。まず、直列抵抗Rを信号源出力インピーダンスに対し十分高くする必要がある。信号源としてAP社製信号発生器を使用する場合には、信号源の出力インピーダンスは40Ωである。
次に、f3dBを100Hz近辺になるようにすると印加DC電圧の影響が最も顕著に現れるので試験が容易になる。−3dB周波数を20Hzにするのは、AP社製オーディオアナライザの計測範囲が10Hz以上なので適切ではない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.