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ARM vs. Intel:プロセッサアーキテクチャの覇権はどちらの手に?(前編)技術革新を生み出す果てなき闘争(1/3 ページ)

現在、ARMとIntelによる、電子機器に用いられるアプリケーションプロセッサのアーキテクチャの覇権を賭けた争いが激化している。ARM陣営が、Intelのx86アーキテクチャが圧倒的シェアを占めるサーバー機器/PC市場への参入を果たそうとしている一方で、Intelをはじめとするx86陣営も、ARMの縄張りとも言える携帯電話機/タブレット端末市場への攻勢を強めている。前編では、ARMアーキテクチャを推進するARMと、x86アーキテクチャを中核とした製品開発を続けてきたIntel、それぞれの取り組みについてまとめる。また、ARMのライセンシー企業であるNVIDIAが開発した「Tegra 2」について紹介する。

» 2011年09月27日 20時53分 公開
[Brian Dipert,EDN]

過熱する主導権争い

 ARMと同社プロセッサIP(Intellectual Property)のライセンシー企業(ライセンスを受けている企業)から成るARM陣営と、Intelをはじめとするx86アーキテクチャを展開するx86陣営による電子機器市場の主導権を巡る争いが過熱している。

 戦端が開かれたのは今から3年前、Intelが第1世代の「Atom」プロセッサを発表した2008年にさかのぼる。同社はこのとき、低価格のデスクトップPCやノートPCだけでなく、ARMが支配し続けていた携帯機器の市場にも狙いを定めていることを明らかにした。

 これに対してARMは2010年9月、IntelとAMD(Advanced Micro Devices)が長年君臨し続けてきたサーバー市場をも対象とするプロセッサコア「Cortex-A15」を発表した。さらに、「CES(Consumer Electronics Show) 2011」(2011年1月)ではMicrosoftが驚くべき発表を行った。Intelとの「Wintel」同盟に終止符を打ち、次期バージョンのWindows OSである「Windows 8」について、ARMとx86両方のアーキテクチャに対応できるようにすると表明したのだ。

「Cortex-A」で“武装”

 現在、x86アーキテクチャが優位を占める半導体エコシステムの中でARMの製品が成功する可能性について議論するには、ARMのビジネスモデルと現在投入している製品について理解する必要がある。

 まず、財政面から見ると、IP開発企業であるARM社は、ライセンシー企業の業績に大きく依存している。ライセンスは、一般ライセンスとアーキテクチャ(命令セット)ライセンスの2つに分かれる。一般ライセンスを所有する企業は、設計済みのプロセッサコアなどのIPを自社のSoC(System on Chip)に組み込むことになる。この場合、製品開発は容易だが、他社製品との差別化には限界が出てくる。一方、アーキテクチャライセンスを所有する企業は、設計の自由度が高いものの、それに関連するICの設計上の問題も増える。アーキテクチャライセンス企業は、その名前が示すように、ARM命令セットの完全後方互換性を保たなければならない。しかし、それ以外にも、独自の命令セットの開発や、基本回路の変更や拡張を行うことができる。現在、アーキテクチャライセンスを所有している企業としては、Intel、Marvell Technology Group、Microsoft、NVIDIA、Qualcommなどが挙げられるが、その数は少ない。

 次に、x86アーキテクチャとの対決におけるARMの主力製品である、アプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-Aシリーズ」のラインアップを見てみよう。

 最初の製品が、2005年10月に発表された「Cortex-A8」である。Cortex-A8は、2命令を同時に発行するデュアルイシューによるスーパースカラー構造を特徴とする。パイプラインの段数を、既存製品である「ARM11」の8段から13段に増やすことにより、IPC(Instruction Per Clock:1クロック当たりの命令数)の効率を犠牲にしながらも、処理性能は2.0DMIPS(Dhrystone MIPS)/MHzまで高められている。また、ARM11ではオプションだったFPU(Floating Point Unit:浮動小数点演算ユニット)の性能をさらに高めた他、64ビットのSIMD(Single Instruction/Multiple Data)命令セット「NEON」を備えている。

 2007年10月発表の「Cortex-A9」は、処理性能を2.5DMIPS/MHzにまで高めた。1コア当たりのパイプラインの段数を8段に減らしたものの、複数命令を同時に発行するスーパースカラー構造とアウトオブオーダー動作を採用することで、IPCの平均値を向上させることに成功している。また、Cortex-A8よりも微細な製造プロセスに対応することにより、最大動作周波数の向上や消費電力の低減を実現している。さらに、Cortex-A9以降に発表されたCortex-Aシリーズの製品は、4コアまでのマルチコアに対応するようになった。

 その後、2009年11月には、「ARM9」やARM11を用いている顧客向けに、低消費電力性能を特徴とする「Cortex-A5」を発表している。ただし、現在までにCortex-A5を採用している企業名は明らかになっていない。2010年9月にCortex-A15を発表した後も、ARMは新たなCortex-Aシリーズの製品開発を進めている(関連記事)。

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