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直線性の高いRF電力検出器Design Ideas 信号源とパルス処理(1/2 ページ)

高性能な無線送信器は、RF電力の正確なモニターが不可欠である。しかし、CDMAやTDMAといった変調方式の登場で、RF電力モニターに関する伝統的なアプローチは時代遅れになった。今回は、波形に依存せずに、高い線形性でRF電力を測定できる回路を紹介する。

» 2016年03月17日 11時30分 公開

 高性能な無線送信器は、RF電力の正確なモニターが不可欠である。携帯電話の標準規格のほとんどが、効率的なネットワークを実現するために、電力伝送レベルを厳格に規定しているからだ。こうした送信信号強度の規定は、携帯電話システムの低コスト化にも一役買っている。図1は波形に依存せずに、高い線形性でRF電力を測定できる回路である。

図1:入力信号電力に比例した出力電圧を生成する回路 (クリックで拡大)
RF電力検出IC(IC1)と乗算器IC(IC2)、オペアンプ(IC3)を使って構成した

伝統的なアプローチは時代遅れ

 CDMA(符号分割多元接続)やTDMA(時分割多元接続)といった変調方式の登場によって、RF電力モニターに関する伝統的なアプローチは時代遅れになってしまった。ダイオードを使った検出器は温度安定性に問題がある。温度検出器は応答が遅い。対数アンプは温度安定性が高く、ダイナミックレンジが広い。しかし、波形に依存した応答を示す。

 波形に依存してしまうと、変調方式によって出力が変化してしまう。スペクトラム拡散方式の場合は、チャンネル負荷によって出力が変わる。従って、多くの変調方式に対応したシステムでは、波形に依存しないRF電力モニターが必要になる。

 例えば、送信時の変調方式をQPSK(直交位相偏移変調)や16値QAM(直交位相振幅変調)、64値QAMの中から選択できるポイントツーポイントのシステムや、CDMAやW-CDMAのようなスペクトラム拡散方式を採用したシステムの場合である。

図2:対数アンプを使った場合の入力信号電力対出力電圧特性 (クリックで拡大)
対数アンプは、広いダイナミックレンジの信号を検出できるが、実効値に応答できない。このため実効値が同じ正弦波と方形波を入力しても、出力電圧に違いが発生する。

 対数アンプは、自動利得制御ループを使うことで可変利得パワーアンプの利得を制御できる。しかし出力電圧は波形に依存してしまう。対数アンプは、信号の実効値に応答するものではないからだ。例えば、実効値が等しい正弦波と方形波の信号を対数アンプに入力すると、図2に示すように入出力特性に違いが生じる。対応策として、校正係数を使うことでこの違いを吸収できる。

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