こうしたSNSでのやりとりの数日後、依頼主からパワーコンディショナーの実機が届いた。図2に示す。
図2左はパワコンの表面カバーで右は内部の操作部で、メーカーや型名は伏せてある。製造年は2001年だった。この時期なら液漏れ電解コンデンサーの問題はなくなっており、交換しなくても良いはずだ。ところが、依頼者は電解コンデンサーを全数交換していた。まず依頼者の修理スキルアップのために、電解コンデンサーは交換しなくて良かったことを説明しようと、添付されていた取り外された全ての電解コンデンサーの特性を調べてみた。図3に示す。
図3には取り外された20個の電解コンデンサーの定格と測定した容量とESRをメモした。図3右上の1個はリードが切れていた。測定した結果、ESRは全て4Ω未満で容量は大型の電解コンデンサーで−10%ぐらいのものはあったが全数正常だった。この結果で、2000年以降の製品では、電解コンデンサーは交換しなくていいことが分かったと思う。1985年から1995年ごろの電気製品の電解コンデンサーは液漏れしやすく、漏れた電解液で基板や部品が腐食して動作不良になったことは確かだ。しかしこの問題は2000年以降にはほぼ解決しており、電解コンデンサーを変えたら壊れた基板が直るという伝説は2000年以降の製品では通用しないことが分かったと思う。なお2000年以降に製造された電源で筆者が懸念している故障は、PFC電源などの電解コンデンサーを高周波で充放電している電源だ。この件は別の機会に報告する予定だ。
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