電源の故障が疑われるパワーコンディショナー(パワコン)の修理依頼があった。依頼主は自ら修理を試み、電源の電解コンデンサーを全て取り換えたようだが、直らなかったらしい……。
SNSのメッセンジャーで電源基板の修理の相談があった。
電源基板が故障し修繕できないかと、いろいろとネットを検索しているのですが、苦戦しております。そんな中で、EDN Japanの連載『Wired, Weird』にたどり着き、記事を拝見させていただきました。専門的で技術的なノウハウはもちろんですが、古いモノでも大切にされ修理されていることに勝手に共感し、感銘を受けております。
と、うれしい限りの書き出し。そして、本題の修理依頼は次の通りだ。
今、悪戦苦闘している故障基板は、2003年製の大手メーカーのパワーコンディショナーで、AC100V(家庭用電源)、DC26V(太陽光パネル)を入力とし、DC140Vを出力するという電源基板です。ちなみに、整流後の直流電源の負荷は住宅内の常時稼働の換気扇です。また太陽光パネルといっても、今のような何キロワットも発電するものではなく、ただただ換気扇の電気代が節約できると住宅メーカーに勧められてつけた超小型のパネルです。1カ月ほど前に、風呂の換気扇が動かなくなって、モーターが逝ってしまったのだろうなと、確認していきました。その確認中、予想もしない、まさか電源が来ていないことに気付き、たどってみたらこのパワーコンディショナーから直流電流で給電されていると知りました。そして、まさか電化製品の故障原因の常連でもあるAC-DC電源が使われているとは、当然説明を受けていませんでしたし、確認もしていませんでして、想像すらしていませんでした。
と少々長い説明だったが、不具合の状況や依頼の経緯がよく分かった。依頼者からパワーコンディショナーの写真と追加コメントがあった。図1に示す。
図1左はパワーコンディショナーの電源基板、右は制御基板だ。コメントは次の通り。
マイコン基板にある7セグのインジケーターがエラーコード(入力電圧不足、出力電圧不足)を示し、直流が出力されなくなりました。2004年に設置したもので、住宅メーカーに確認したら、そのままメーカーに丸投げされ、すでに補修部品がなく、修理不可能との回答を得ました。基板は2枚から構成されていて、1枚は電源で、2枚目が日立のマイコン「H8/534」による制御基板となっています。ともに回路図はありません。メーカーのカスタマサービスに言えばもらえるものでしょうか? 基板上には、焦げや、コンデンサーの液漏れ、損傷など目視では見つかりませんでした。ですが、素人ながらに経年による単純な電解コンデンサーの劣化だと疑い、電解コンデンサーをすべて規格品に交換しました。しかし、マイコン部がエラーステータスを保持しているのか、エラーが消えず、通電がされません。
非常に正確な説明で、この難しい基板を何とか修理して、復活させたいという気持ちがひしひしと伝わってきた。
パワーコンディショナーの修理は初めてだが勉強にもなるので修理依頼を引き受けた。今回はこの大手メーカー製のパワーコンディショナーの修理を報告する。また修理依頼者からは今回記事化することの了承を得ている。
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