モードIIは次ページの図2に示すようにチョーク電流連続、かつキャパシターC1への充電期間はtoff期間の一部区間(tc)のモードです。このモードではチョーク電流ILは出力電流Io以上の時にだけ充電に使われます。
この時のキャパシターの電流波形はチョーク電流ILを出力電流Ioだけシフト(減算)したものになっています。したがってILの最小値がIo以上であればtoff全期間で充電するモードIになり、最小値がIo以下であればtoffの一部しか充電しないモードIIになります。その境界値IOCRIは次のようになります。
toff中の電流の傾きは、
であり、この式を移項すると電流振幅ΔIは、
です。また電流連続時のチョーク電流ILの平均値(中点)は入力電流Iin(=Io/(1−δ))です。
したがってチョーク電流の最小値は平均ILからΔIの1/2減少した値となり、この値がIoになる条件が臨界条件です。この時の出力電流Ioを臨界負荷電流IOCRIとします。
この式に電圧・時間積
を代入すると3式が得られます。
3式から臨界電流値IOCRIはインダクタンスや周波数に反比例し、通電時比率δが大きいほど小さくなります。
注)2式の左辺は電源Vccと極性を合わすのであれば負記号ですがここでは "変化幅" の意味に注目して正記号で扱います。極性を問題にする時は回路動作に合わせて加減記号を付与します。
【計算例】
動作条件としてVo=15V、Vcc=10V、L=55.5μH、f=100kHz、δ=0.333を代入すると臨界電流として、
が得られます。
またVcc=7.5V時はδ=0.5ですからIOCRI=(7.5×0.5)/(2×55.5μ×100k)=0.338Aです。
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