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ウエハーそのものが「パッケージ」に onsemiのパワー半導体向け新技術:プラットフォーム「EPP」を発表

onsemiがパワー半導体向けの新アーキテクチャ「Embedeed Power Platform(EPP)」を発表した。12インチシリコンウエハーそのものをパッケージとして活用する技術で、電気/熱/機械特性の協調最適化を行えるため、設計期間を大幅に短縮できる可能性がある。

» 2026年10月02日 11時00分 公開
[村尾麻悠子,EDN Japan]

 onsemiは2026年9月、シリコン(Si)ウエハー自体をパッケージとして活用する新しいパワー半導体向けアーキテクチャ「Embedeed Power Platform(EPP)」を発表した。電気設計や機械設計、熱設計を開発の初期段階から統合的に最適化し、より高い電力密度やシステム性能を実現できるとする。従来に比べ、電力密度を3〜5倍に高められるという。

 EPPでは、パワーデバイスやゲートドライバー、コントローラーなどの半導体チップを12インチSiウエハー内に埋め込み、ウエハーレベルの再配線層(RDL)で接続する。配線の長さが極めて短くなるので、寄生インダクタンスを低減できる。寄生インダクタンスが小さくなれば、ノイズが低減するので誤動作を防げる他、サージ電圧を削減できるのでスイッチング速度を上げることも可能になる。

「Embedeed Power Platform(EPP)」を形成したウエハーの断面図 「Embedeed Power Platform(EPP)」を形成したウエハーの断面図。濃いグレーの部分がSiウエハーで、オレンジの部分(フタのように見える部分)が、半導体プロセスによって形成された配線になる[クリックで拡大] 出所:onsemi

 ウエハーそのものをパッケージとして使うので、成熟した半導体プロセスを適用できることも大きな利点だ。パッケージ内部には、半導体プロセスによって絶縁層が形成されている。他のパワーデバイスでは外部で絶縁したり、パワーモジュールであればセラミック層を入れることで絶縁したりする必要がある。EPPでは、非常に薄い絶縁層を形成できるので、実装面積を増やすことなく絶縁でき、熱抵抗を小さくできることが特徴だ。

 ウエハーからEPPを切り出した後は、パワーモジュールに実装する。パッケージ下面をベースプレートに接続し、クーリングジャケットなどにつなげて放熱する。パッケージ上面からは、外部の部品と接続するための電極や端子を取り出せる。

EPPによる高電力密度化 EPPによる高電力密度化[クリックで拡大] 出所:onsemi

開発期間を4カ月まで短縮

 EPPの活用は開発期間の短縮にも効果があるとonsemiは説明する。埋め込む半導体デバイスを含め、EPPの多くの材料が、onsemiの製造ラインで使われているため、物性のモデル化を高精度で実現できる。それを活用し、デジタルツインシミュレーションやマルチフィジックス協調最適化によって、設計サイクルの迅速化を図れるとする。onsemiによれば、最短4カ月まで開発期間を短縮できた例もあるという。

SiCやGaNパワーデバイスの埋め込みも可能

 Siの他、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)パワー半導体もウエハー内に埋め込める。onsemiが注力している縦型GaNパワー半導体を埋め込むことも可能だ。将来的に開発されるであろう、別の材料や構造を用いたパワー半導体も埋め込めるとonsemiは説明した。キャパシターなどの受動部品を埋め込むことも、技術的には可能だという。「埋め込むダイの種類や数を調整することで、幅広い電力に対応できる。さまざまなアプリケーションに適用できると考えている」(onsemi)

 想定している用途としては、AIインフラの半導体式変圧器(SST:Solid State Transformer)やサーキットブレーカー、電気自動車(EV)の急速充電池、電力貯蔵システムなどを挙げる。EPPを用いてAIインフラ向けのサーキットブレーカーを設計したところ、初期段階では、既存設計に比べて50%の小型化と20%の温度低減に成功したという。EVのトラクションインバーターでは、EPPを用いることで最大4倍の電力密度と15%の電力損失削減を実現した。

 EPPは2026年中に、AI関連や自動車分野の顧客およびエコシステムパートナーに向け、サンプル提供を開始する予定だ。

EPPの代表的なアプリケーション EPPの代表的なアプリケーション[クリックで拡大] 出所:onsemi

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