今回からは1石式同極性の昇降圧コンバーターについて説明していきます。現在はIC技術の発達により降圧型と昇圧型を自動的に切り替えて動作する形式のコンバーターが主力ですがここでは回路に工夫を施した1石式昇降圧型コンバーターについて説明します。
タップ付き高入力コンバーターの説明は前回で終了し、今回からは1石式同極性の昇降圧コンバーターについて説明していきます。現在はIC技術の発達により降圧型と昇圧型を自動的に切り替えて動作する形式のコンバーターが主力ですがここでは回路に工夫を施した1石式昇降圧型コンバーターについて説明します。
これまで説明してきたようにステップダウン型DC/DCコンバーターは電源電圧より低い電圧しか生成できず、逆にステップアップ型は電源電圧より高い電圧しか生成できません。
このためリチウム電池のように2.8〜4.5Vまで変動する電源から3.3Vを生成するにはバッテリー電圧を3.3Vで打ち切らねばならず、リチウム電池の稼働時間を制限していました。
リチウム電池の稼働時間を改善するにはどうしても同極性でシームレスに昇降圧できるコンバーターが必要になります。
この困難を克服するため現在では図1に示すようにチョークコイルの両端に同期整流回路を2組設けた構成として電源電圧を感知して降圧型から昇圧型へシームレスに切り替える4石式の方式が主に用いられています。IC化で回路の複雑化や部品点数の増加を吸収し、駆動周波数を高周波化することでチョークを小型化し、発熱/放熱の工夫で全体を小型化したものです。
図1の回路について降圧モードと昇圧モードに分けて簡単に説明します。
図2は降圧モード時の動作であり(a)はSW-ON時の状態、(b)はSW-OFF時の状態です。
この時チョーク右側の2つのSWは図のモードで固定されています。そのため、この場合は通常の同期整流式降圧コンバーターとして動作します。
図3はバッテリー電圧が降下して昇圧モードに切り替わった時の動作であり(a)はSW-ON時の状態、(b)はSW-OFF時の状態です。
この時チョーク左側の2つのSWは図のモードで固定されています。そのため、この場合は通常の同期整流式昇圧コンバーターとして動作します。図2と図3のモードは電源電圧と出力電圧を監視しながら自動で切り替わります。
この方式は良く言えば半導体技術の産物、悪く言えば「力業(ちからわざ)」とも言え、FETやICの技術が発達して高周波駆動が可能にならなければこの方式は決して実用化されなかったでしょう。図1から図3の力業の回路を見ているとこの方式は半導体業界が主導したものと感じられます。
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