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1石式昇降圧コンバーター(1)回路の工夫で実現する昇降圧コンバーター:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(34)(3/3 ページ)

» 2026年10月22日 11時00分 公開
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2種類の1石式昇降圧コンバーター

 1石式の同極性昇降圧コンバーターはいくつかの方式がほぼ同じ時期に発表されました。代表的な2種類のコンバーターを次に示します。

I.Zetaコンバーター

 1981年:最初の回路構成が発表されました(J. J. Jozwik と M. K. Kazimierczuk)。
1994年:その後の論文(Perez, Martins, Barbie ら)において、Zetaコンバーターという名称が使われるようになりました。基本的な動作は「D1+Cs」でブートストラップ回路を構成してチョーク平滑回路「L2+Co」に印加される電圧を嵩上げしたイメージになります。

図5:Zetaコンバーター基本回路

<Zetaコンバーターの特徴>

  • 後段が降圧型になるので出力電流が連続となり電流リプルが減少し、出力電圧リップルが小さくなる。
  • 入力電流が断続的になるので入力電流リプルが大きくなり入力側ノイズは増加する。

II.Sepic*

 1977年:Sepic(Single-Ended Primary-Inductor Converter)コンバーターが初めてパワーエレクトロニクス専門家会議(PESC)で発表されました。発表当時は部品点数が多く回路構成が複雑だったため、すぐには普及しませんでしたが近年リチウム電池が普及したことで昇圧/降圧をまたいで一定の電圧を「同じ極性」で安定して取り出せるという強みから見直されています。
 基本的には「昇圧電圧ー電源電圧」のイメージになります。

図6:Sepicの基本回路

<Sepicの特徴>

  • 入力電流が連続となるので電流リプルが減少し入力側ノイズが低下する。
  • 出力電流が断続的になるので出力電流リプルが大きくなり、電圧リップルが大きくなる。

*Sepicの最後の"C"はコンバーターの頭文字であり普通は“コンバーター"を付けません。

 今回は入力、出力が同極性で、かつ出力電圧を0Vから設定できる4石式DC/DCコンバーターに匹敵する1石式同極性の昇降圧コンバーターの回路トポロジーについて簡単に説明しました。次回はその中からZetaコンバーターを取り上げて説明していきたいと思います。


執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


⇒【連載「たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計」バックナンバー】

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