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超小型プロジェクターを作り出すDLP技術とはいまさら聞けないデジタル家電の仕組みを解説(1/2 ページ)

今回は、光をデジタル制御する技術、DLP(Digital Light Processing)について解説します。

» 2009年02月12日 00時00分 公開
[小笠原 由依/上口 翔子,@IT MONOist]
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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



登場人物の紹介

乙女
文系女子

デジタル製品に興味はあるが、細かいスペックの話をされるとよく分からない。結局、デザイン重視で選びがちになるが、どうせ買うなら、きちんと製品の性能を理解して自分に合った良い物を買いたいという思いがある


ムサシ
理系男子

自称デジタル人間。スケジュール管理に紙なんて論外。デジタル製品のことなら、細かいICの隅々まで、何でもこい。基本的には物静かだが、得意分野となると熱く語り始める。女の子に「すごい!」といわれると、やる気が出る



DLP技術とは

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前に液晶とプラズマの違いでも説明したけど、映像を映し出す技術はデバイスごとに違うんだ。中でも、DLP(Digital Light Processing)は光をデジタル制御する映像技術で、とってもユニークなんだよ。コントラストは高いし、再生される動画もくっきり滑らかだし、小型軽量化にも適しているんだ。僕が持っているようなポケットサイズのプロジェクターはまさに、“小型軽量化”が可能だという特徴が出ているよね。


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むむむ……。そういえばこの前、プロジェクターを内蔵した携帯電話をニュース記事で見たような気がするんだけど、それもDLP技術を使っているのかな!?


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新製品のチェックは、一応できてるんだね。

あと、小型だけでなくて映画館の映写機など大型のものでも使われているんだよ。まぁ、順を追ってDLPの仕組みを説明しよう。


DLPの仕組み

 DLP技術は、1987年にTI(Texas Instruments)が開発した映像技術です。1996年にDLPを採用したプロジェクターが発売されて以降、映写機やプロジェクター、携帯電話など、世界75社以上のメーカーで採用されています。

 基本的な仕組みは、DLPチップ(DMD:Digital Micromirror Device)と呼ばれる四角いチップ(CMOS半導体基板)上にすき間なく敷き詰められた48万〜200万個の微小な鏡(マイクロミラー)を高速に制御し、光を反射させることで映像を作り出します。

photophoto 画像1(左) DLPチップ DLPチップはゴミやホコリ対策が万全な半導体の設備・工程で製造されるため、信頼性の高いデバイスを高い歩留まり率で生産できる。画像2(右) DLPチップとアリの足を比較したもの マイクロミラーの1粒1粒はアリの足先よりも小さい。

 チップ上のマイクロミラーは、デジタル制御で一定の角度(ON/OFFで±12度)に傾き、1秒間に5000回以上という高速スピードでON/OFFを切り替えます。ONのときはマイクロミラーが投影レンズを通過する方に光を反射し、レンズを通して映像を映し出します。OFFのときはマイクロミラーが光吸収板の方に傾き、ランプからの光は吸収されて真っ黒になります。光の濃度は、ON/OFFの回数を調整することで表現されています。

 1ピクセル単位で光のON/OFFを切り替えられるため、他のデバイスに比べコントラスト比が高く、動作スピードが10マイクロ秒と非常に速いのが特徴です。鮮鋭で滑らかに動く映像表現を可能にしています。

photo 画像3 ミラー反射の原理(2つのマイクロミラーとランプ、レンズ、光吸収板)
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アリの足よりも小さな鏡で映像を作り出しているなんて……。しかも、1秒間に5000回も動くなんてすごいね! 目が回りそう……。


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そうそう。でも、この仕組みだけだとまだ白黒の映像しか映せないんだよ。そこで、カラーホイールやカラーのLEDを使って色を表現するんだ。どちらを使うかは、プロジェクターの用途によって変わってくるんだよ。


フルカラーをフルデジタルで

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そういえばさっき、DLPはポケットサイズのプロジェクターから大型のプロジェクターまで作れるっていっていたけど、1つの仕組みでそんなに幅広いサイズのものが作れるの?


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そうだね。ただ、厳密には小型のものと大型のものとでは、使用するDLPチップの数や種類が違ったり光源を変えたりなど、用途やシーンに合わせて最適な組み合わせをしているんだ。なかでも、DLPチップを3つ使う方式と1つだけ使う方式は特徴的なので、説明しておいたほうがいいかもね。


 DLPには、DLPチップを1つ使う1チップ方式と、3つ使う3チップ方式があります。

1チップ方式

 1チップ方式では、光の3原色を出すカラーホイールを高速回転させることで、人間の目の残像効果を利用してカラーに見せています。高速にON/OFFできるDLPチップならではのカラー表示法といえます。入力されたデジタルの映像データに応じてマイクロミラーのON/OFFでデジタルイメージを作成するので、一度もアナログ変換を行わないフルデジタルの映像を表示します。

 また、1チップで構成できるシンプルさから、製品の大幅な小型軽量化が図れるのもDLPの特徴です。カバンに軽々収まる手のひらサイズからさらに小さなポケットサイズまで、小型軽量なプロジェクターがDLP方式で次々と登場しているのも、こうした特徴があるからです。

photo 画像4 1チップ方式のイメージ 最近では、シアン、マゼンタ、イエローを加えた最大6色(ブリリアントカラー)のカラーホイールも採用されている

3チップ方式

 3チップ方式では、RGB各色1つずつ、計3つのDLPチップを用います。光源からの光をプリズムで3つに分割することで各色のDLPチップに光を送り、チップ上で反射処理された単色の光を再びプリズムで合成することで映像を投射します。

 3チップ方式はガラス部材など精密なものが必要となるので、映写機などの大型機やハイエンド機で使われています。

photo 画像5 3チップ方式のイメージ 3チップ方式はDLPチップ3つに加え、高精度なプリズムも必要とするために高額になってしまうが、最近では100万円以下の製品も登場している

DLP技術の強み

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映像方式っていろいろとあるのに、ムサシくんはなんでDLP方式を選んだの?

違いって何?


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そうだなぁ、やっぱり“小型軽量できる”“動画に強い”“コントラストが高い”っていうメリットがあるからだよ。


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ちょっと、詳しく教えて!


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