2009年5月13日から15日の3日間、東京ビッグサイトで開催された国内最大規模の組み込み関連展示会「第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC2009)」。本稿では東陽テクニカブースで行われていた「USB3.0」に関するプレゼンテーションの模様を中心にお伝えする。
USB3.0は、2008年11月に「SuperSpeed USB 3.0 promoters group(注)」によって策定された新しいインターフェイス規格だ。USB2.0の策定時と同様、省電力を考慮した設計がなされている。最大の特長は現行使用されているLow Speed(1.5Mbps)/Full Speed(12Mbps)/High Speed(480Mbps)のデータ伝送速度に、“Super Speed(5Gbps)”が追加されたこと。また、完全な全二重通信(USB2.0までは半二重だった)が可能になるなど、物理層が大幅に変更されている。USB2.0と比較した際のデータ伝送速度は、約10倍だといわれている。
USB3.0策定の背景には、USBメモリなどのフラッシュデバイスやSSD、外付けHDDなどの大容量化に伴い、データ転送速度のさらなる向上が求められてきたことが挙げられる。つまり動画や音楽などの大容量データを頻繁にやりとりする昨今では、USB2.0でも「遅い」というわけだ。
注:SuperSpeed USB(USB 3.0)標準規格の制定と採用促進を目的として、2007年にヒューレット・パッカード、インテル、マイクロソフト、NECグループ、NXPセミコンダクターズ、テキサス・インスツルメンツの6社によって設立された業界団体。
USB3.0は、USB2.0との後方互換を図るため、デバイスドライバやプロトコル、コネクタ、ケーブルなど、従来品との互換性を維持した設計になっている。
なお、今回ESECの会場でプレゼンテーションを行った東陽テクニカによると、USB3.0搭載のノートPCは、早ければ今年(2009年)の末にリリースされる見込みだという。PLDAやFlesco LogicなどはすでにFPGAベースのIP(H/D)の提供を開始し、NECエレクトロニクスはUSB3.0対応のLSIを、日本TIはトランシーバテストチップをそれぞれ発表している。
Standard-A
PCなどのホスト側に接続されるStandard-Aコネクタは、外見やサイズは従来のUSBと変わらない。内部構造は、USB2.0で使用されている4本の信号ライン(D+、D-)を前段に、USB3.0準拠の信号ライン5本を後段に実装している。
Standard-B(Powered-B)
プリンタやスキャナーなどのデバイスで使用されているStandard-Bコネクタは、SuperSpeed用の配線をコネクタの上部に追加した。サイズは若干大きくなっているが、USB2.0用ケーブルをUSB3.0のコネクタ口に差し込むことはできる。
また、デバイス側からホスト側に向けて電源を供給するPowered-Bコネクタは、電源供給用のラインが追加された。USB端子を利用してプリンタでワイヤレス転送を行う際に有効だという。
Micro-B(Micro-AB/A)
USB2.0にあったminiコネクタと、USB3.0用のコネクタを水平に配置したのが、Micro-Bコネクタだ。通常のBプラグおよびABプラグが、水平方向に置かれている。
なお、USB2.0のケーブルはシールドなしで接続されていたが、USB3.0は上り、下りともに一対ずつ、シールドに囲まれた仕様になっている。よって若干価格は高くなるとのこと。
以下、USB2.0とUSB3.0の違いを表に示す。
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