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【CEATEC】村田製作所が「高出力有機電池」を披露、大容量キャパシタの代替を目指す

» 2010年10月06日 00時00分 公開
[EDN Japan]

写真1 村田製作所の「高出力有機電池」 写真1 村田製作所の「高出力有機電池」 

 村田製作所は、『CEATEC JAPAN 2010』(2010年10月5日〜9日)において、正極材料に有機ラジカル分子を用いた2次電池を展示した(写真1)。同社は、この2次電池を「高出力有機電池」と呼称している。

 高出力有機電池は、正極材料として有機ラジカル分子のTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル)を、負極材料としてグラファイトを使用している。その特徴は、有機ラジカル分子の採用により高い出力密度を実現したことと、過充電/過放電した場合でも容量が低下しないことである。

 高出力有機電池と、代表的な蓄電デバイスであるリチウムイオン電池や電気2重層キャパシタ(EDLC)の電池性能を比べると、以下のような結果が得られた。まず、出力密度は、リチウムイオン電池の100倍で、EDLCとほぼ同じである。一方、エネルギー密度は、リチウムイオン電池の1/4にとどまるが、EDLCの10倍に達する。

 また、高温環境下における充放電サイクル寿命が長いことも、高出力有機電池の特徴の1つである。開発時の試験では、45℃の環境で充放電を300回繰り返した後の容量は、初期容量の80%までしか低下しなかった。

 村田製作所は、高出力有機電池の用途として、高出力短時間動作を繰り返す機器のエネルギー源や、連続充電可能なサブ2次電池モジュールなど、大容量のEDLCを代替することを想定している。同社の担当者は、「現在、いくつかの機器に用いられている大容量のEDLCは、高価であることが課題となっている。例えば、容量が100Fの品種の価格は1000円〜2000円に達する。このような大容量のEDLCが用いられている用途に向けて、当社の高出力有機電池であれば、より低価格で提供できる。容量が100Fの品種であれば、価格を数百円程度に抑えられるだろう」と述べている。

 なお、展示された高出力有機電池は、サイズが21mm×25mm×5mmで、出力電圧が3V。容量が30mAhとなっている。「このサイズの有機電池が2個あれば、ノート型パソコンの動作時間を30秒間延長させることが可能だ。これと同じことをEDLCでやろうとすると、数十cmクラスのサイズのモジュールが必要になる」(担当者)という。

(朴 尚洙)

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