筆者は約50年前の1974年に大学を卒業して、大手電機メーカーに就職した。初めての仕事は、当時ベンチャー企業だった警備会社に納入される防犯装置の開発だった。入社当時はまだマイコンは広く一般には販売されておらず、主にリレーやトランジスタを使用した回路が設計されていた。この装置開発で面白い不思議な現象を経験した。
筆者は約50年前の1974年に大学を卒業して、大手電機メーカーに就職した。初めての仕事は、当時ベンチャー企業だった警備会社に納入される防犯装置の開発だった。入社当時はまだマイコンは広く一般には販売されておらず、主にリレーやトランジスタを使用した回路が設計されていた。担当した防犯装置は、複数のセンサー端末を監視する機器で、抵抗器とトランジスタでセンサーループを監視して感知状態をリレーで記憶し、ランプ表示させる仕様だった。
この装置開発で面白い不思議な現象を経験した。それは、リレーの復旧電圧とCRタイマーを使った監視回路を検証しているときの事だった。その監視回路の一部を図1に示す。
図1はセンサーを監視し、センサーの感知状態を表示させるための回路だ。センサーが正常のときは、回路図左側にあるセンサーはオン(NC)状態で、終端にある抵抗Routと入力の抵抗Rinを電源に直列接続し、機器の入力電圧がある範囲の電圧になる。この入力電圧をウィンドコンパレータで判定して、正常な範囲ではトランジスタTR1がオンし、リレーRLがオン動作を維持する。
警備を開始するときにResetスイッチ(Lamp Test兼用)を押すと、リレーRLのコイルに電流が流れ正常表示のLEDが点灯し、リレーの接点もオンする。センサーループが正常な時はResetスイッチを離してもリレーは自己保持し、LEDが継続して点灯する。
センサーが侵入者などを感知した場合、監視ループのセンサーはオンからオフに変わる。すると、入力電圧が正常範囲から外れTR1はオフする。
ここで、リレーの復旧電圧を使ったCRタイマー回路が動作開始する。抵抗R0とコンデンサーC0に電流が流れる。リレーのコイル電圧が下がり復旧電圧に達すると、接点がオフし異常状態を自己保持し、LEDが消灯する。警備員は、その表示(消灯)を確認することで、どのエリア(センサーループ)に侵入者が入ったかが分かるようになっていた。
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