半導体プロセスエンジニアは「何でも屋」と呼ばれます。なぜでしょうか。その理由を、プロセスエンジニアの「現場の1日」に密着しながら解き明かしたいと思います。
連載第1回「「半導体プロセスエンジニア」って何するの?」では、プロセスエンジニアの仕事の中身を簡単にご紹介しました。半導体業界に携わっていても、意外と「プロセスエンジニアの仕事」について詳細を知る機会はそう多くはないかもしれません。
今回は、もう少し踏み込んで、プロセスエンジニアの仕事内容の詳細や現場での1日の流れ、「3大トラブル」の対応について、私自身の現場経験も交えながら具体的に解説します。
プロセスエンジニアが「何でも屋」と呼ばれるのは、担当業務が特定の作業に限定されず、工程全体や関係部署まで広く目を配る必要があるためです。所属する会社によっても役割は変わります。背景にある4つの要因を、以下で順に見ていきましょう。
設計担当のように、「設計が終われば役割も終わり」という仕事ではありません。新製品の量産プロセスを立ち上げる段階から関わり、量産開始後も改善を続けます。
量産時の関わり方は決して受け身ではなく、常に主体的な判断が求められるでしょう。担当範囲が特定の作業だけに限定されないからこそ、「何でも屋」という印象を持たれやすいのだと思います。
私自身も、改善案件が落ち着いたと思った直後に新たなトラブル対応へ入ることが多く、一つの仕事だけを続ける日はほとんどありませんでした。
プロセスエンジニアという職種名は同じでも、仕事内容は会社によって大きく変わります。ファブ・装置メーカー・材料メーカーでは、そもそも扱う対象と視点が違うためです。
ファブでは、複数工程を横断してウエハー全体の品質を管理する立場になりやすい傾向があります。装置メーカーでは、自社装置に関連する工程へ業務が絞られます。材料メーカーの場合は、薬液や膜材料が工程へ与える影響の検証が中心になります。
担当工程だけでなく、前後の工程との兼ね合いも意識しながら条件を管理する必要があります。半導体は、洗浄や成膜などの工程を何度も繰り返して製造するためです。
代表的な製造工程と、それぞれの役割を表にまとめました。
| 工程 | 業務内容(概要) |
|---|---|
| 洗浄 | ウエハー表面に付着した不純物やパーティクルを、薬液や純水で除去する工程 |
| 成膜 | ウエハー表面に絶縁膜や金属膜などの薄い膜を形成する工程 |
| フォトリソグラフィ | 感光性の薬剤(レジスト)を塗布し、回路パターンを転写する工程 |
| エッチング | 薬液やガスを用いて不要な部分を削り取り、回路パターンを形成する工程 |
| イオン注入 | 半導体材料にイオン化した不純物を打ち込み、電気的特性を制御する工程 |
1つの製品が完成するまでに、数百の工程を経るケースも珍しくありません。工程データを継続的に記録・監視する手法は、SPC(統計的工程管理)と呼ばれ、日々の業務でも頻繁に用いられます。
担当工程だけでなく、前後工程への影響まで考えながら仕事を進めます。見るべき範囲の広さも「何でも屋」と呼ばれる理由の一つになっています。
技術力だけで完結する仕事ではありません。工程条件の変更やトラブル対応では、複数の部署と連携して判断を進める必要があります。日常的に関わる主な部署と役割は、次の通りです。
| 部署 | 業務内容(概要) |
|---|---|
| 生産技術 | 新規装置の導入や工程改善など、技術面から生産性向上を支える部署 |
| 製造部門 | 実際にラインを稼働させ、日々の生産活動を担うオペレーション部門 |
| 開発部門 | 新製品や新プロセスの設計・研究を行い、量産化に向けた技術を確立する部署 |
| 品質保証 | 製品や工程が品質基準を満たしているかを検証し、品質面での最終的な合否を判断する部署 |
ある工程の条件を変える場合は、前後工程や品質基準への影響を関係者と確認しながら進めなければなりません。技術的な判断力と同じくらい、周囲を巻き込みながら、物事を前に進める調整力が問われる仕事です。
実際には、技術的な議論よりも関係部署との調整に時間を費やす日も少なくありません。日々の折衝も重要な業務です。
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