窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス市場が急成長しそうだ。米iSuppli社によると、2010年のGaNパワーデバイスの売上高は実質的にはゼロだが、ハイエンドサーバーやノート型パソコン、携帯電話機、有線通信分野での急成長によって、2013年には1億8360万米ドルに達すると予測される。
GaN材料を使用するパワーデバイス向けの新しいプロセス技術は、最近、大学での実験段階を経て商用化段階に入った。パワーデバイスメーカーにとっては、既存の半導体材料を超える性能を顧客に提供できることから、魅力的なビジネスチャンスになっている。
iSuppli社でパワーデバイス分野の主任アナリストを務めるMarijana Vukicevic氏は発表の中で、「この2年間に、パワーデバイス業界では注目すべき出来事がいくつかあり、GaNが有望視されるようになった。パワーデバイス分野において、シリコンの使用は実用上限界に達している。さらに、シリコン上にGaN層を成長させる研究において飛躍的前進があった。電力システムの設計者もまた、高効率のシステムを開発して、高電圧製品の電力浪費を削減することを望んでいる」と説明した。
米International Rectifier(IR)社や米Efficient Power Conversions(EPCC)社といったパワーデバイスメーカーは、GaN製品の提供を始めた。iSuppli社によると、「例えば、IR社は2010年2月に、同社初となるGaN技術を用いたPOL(Point of Load)ソリューションを発表。また、EPCC社は同社のすべてをGaN技術に賭けるべく、同年3月にGaNベースのパワーMOSFET製品を10品種発表した」という。
iSuppli社は、「3年後には、GaN製品の需要が飛躍的に高まっているだろう」と予測している。
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