前回に引き続き、海外の通販サイトから部品を手に入れた際に経験したいくつかのトラブル事例を紹介しよう。
修理を依頼された際に海外から部品を調達したことがきっかけで、トラブルが発生することも時々ある。例えば、急ぎで必要な部品が海外からの輸送途中で行方不明になり納期が守れなくなったことがある。他にも、購入した高額部品が仕様違いや動作不良でseller(=出品者)に返品せざる得ないこともあった。今回は購買した部品の困った事例を説明しよう。まずは、購入した高額部品を返品した事例2つだ。
顧客からステッピングモーターの生産中止品を探してほしいとの調査依頼があった。部品販売サイトを検索したら、たまたま依頼された型番の部品がヒットした。しかしヒットした型番にはオプションと思われる番号も付いていた。このため顧客に、部品の写真や価格情報、部品の詳細が記されたWebページのURLも一緒に送り、部品を購入してよいかどうかの確認を依頼した。その後、顧客から部品を確認した旨の連絡があり調査依頼された型番で見積書を作成して顧客へ提示した。数日後に注文書が届いた。購入した部品の写真を図1に示す。
図1のモーターは両軸モーターと思われるが、見積もりの提示時に両軸であることを正確に顧客へ伝えるべきだった。注文した部品を顧客へ納品したら数日後に連絡があり、『片軸のモーターを依頼したのに両軸のモーターが届いた。これは使えないので返却する』といった内容だった。同じ型式の片軸のモーターをネットで探したが見つからなかった。
やむを得ず購入した通販サイトを経由してsellerに『顧客の仕様変更で購入した部品が使えない』との理由で、返却を申し入れた。すると翌日に『中古品なので返却は受け入れられない』との返事があった。その後、通販サイトの運営会社からsellerに対してアドバイスがあったようで数日後にsellerから『部品の返却に関わる送料や関税を負担してもらえるなら、部品が届いた後に返金する』と再回答があった。早速、顧客から部品を返却してもらい、日本郵便のWebサイトで国際郵便の情報を入手し、郵便局で発送した。費用は数千円だった。1週間後に日本郵便から「相手先への配達が完了した」との連絡があった。サイトを通してsellerへ受領したかどうかを問い合わせたら無事に返金された。
顧客への連絡が不十分だったためにこのようなトラブルになったが顧客に責任を負わせることはできない。しかし最後までフォローできて海外への部品の返却も経験でき、海外の部品購買の後処理の仕事も習得できた。生産中止になったステッピングモーターは国内ではもちろんだが海外でも入手が難しく、悩みの種になってきた。
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