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数時間を要した処理を数秒で完了できるEMI測定装置ローデ・シュワルツ R&S ESR7

CISPR 16-1-1で規定されたEMI測定を数秒で完了できることが特長。瞬発的に発生するノイズの全貌を捉えることができる。

» 2012年08月23日 17時30分 公開
[EDN Japan]

 ローデ・シュワルツ・ジャパンは、EMIテストレシーバー2機種「R&S ESR3」「R&S ESR7」を2012年8月に発売した。電磁雑音(EMI)測定装置の規格「CISPR 16-1-1 2012(Ed.3.1)」に完全に適合し、電子機器の電磁両立性(EMS)を確認するコンプライアンス試験に役立つ。測定周波数範囲はR&S ESR3が9kHz〜3.6GHz、R&S ESR7が9kHz〜7GHzである。

 両機種の特長は、測定に要する時間が短いこと。高速フーリエ変換(FFT)を利用した「タイムドメインスキャン機能」で実現した。競合他社製品と比較して、測定速度が最大6000倍に高まり、標準的なEMCのコンプライアンス評価において数時間を要していた測定が数秒で完了するという。

2系統のRF入力を備える。消費電力は150W。R&S ESR3の価格は、553万6000円から。

 同社は室内に飛び交うWi-Fiの波形を捉えるデモを、東京都内で開催された記者発表会で見せた。「従来のスペアナの機能を利用して、2.4GHz付近だけを18.7μsという高速な掃引で測定しても、Wi-Fiのバースト波形を的確に捉えることができない。しかし、R&S ESRではWi-Fiの波形が図のように明るく青い半円状に見えてくる。画面下半分にウオーターフォール表示を映し出すことができるため、突発的な信号がどのような時間間隔で発生しているのかも分かる」(ローデ・シュワルツ・ジャパン 技術部テクニカル1課で課長を務める吉本修氏、図1)。

図1 R&S ESRのデモ 2.4GHz周辺でWi-Fiのバースト波形を捉えたところ。画面上側は周波数ごとの信号強度を示し、画面下側はウオーターフォール表示である。下側の縦軸は時間。なお、測定周波数帯は16種類の固定フィルタから選択する。例えばLED電球のノイズ測定ではCISPR Band Bに相当する150Hz〜30MHzのフィルタが有用だという。

 製品設計時の評価などでは、リアルタイムスペアナによる絞り込みを済ませた後、タイムドメインスキャン機能によるプレビュー測定、問題になる周波数の洗い出し、最終試験という複数のテストを自動的に進めるテストシーケンス機能を利用できる。このため、測定時間の短さと相まって、テスト工程の短縮に役立つとした。

 なお、従来品に備わっていた周波数ごとに掃引して測定する機能も利用できる。


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