既にご存じの方には、お決まりのSPICE紹介文になりますが、しばらくお付き合いください。
SPICEといえば、回路図作成から結果表示までを含めたプログラムのように思われるかも知れませんが、通常は以下のようなソルバー(問題を解くプログラム)単体を指してSPICEと呼びます。以下にWikipediaに掲載されているSPICEの説明文を紹介します。
SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis、スパイス)は電子回路のアナログ動作をシミュレーションするソフトウェアのソルバーである。
カリフォルニア大学バークレー校で1973年に開発された。集積回路に使用する電子回路の設計主眼として開発されたが、次第にプリント基板などの電子回路の検証にも普及した。
シミュレーション対象となる回路は一般的な受動素子(抵抗、キャパシタなど)と能動素子(ダイオード、トランジスタなど)と伝送線路、各種電源を組み合わせたものである。解析手法としては過渡解析、直流解析、小信号交流解析、雑音解析などが可能である。
現在使われている回路シミュレータの多くはこのバークレー校のものを基に改良、機能付加したものである。名称にSPICEの言葉を含む場合も多く、それらを含めてSPICEと呼ばれることもある。
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歴史
初期のバージョンはFORTRANで書かれておりフリーウェアとして公開されている。後にはC言語に移植された(バージョン3)。
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出典:SPICE(ソフトウェア)『ウィキペディア(Wikipedia)』 最終更新2010年5月17日(月)01:10(UTC)
この他にも多数のSPICEが派生・市販されています。上記Wikipediaで紹介されたものを含めて、主なSPICEを以下に挙げます。
これらのような市販SPICEの多くは、SPICE2あるいはSPICE3(3f)からバグを取り除いたものをソルバーとして採用し、それに独自のインタフェース(Pre(回路図作成)/Post(結果表示)ツール)を付けたツールと考えてよいでしょう。従って、回路解析に使用するlibファイルと呼ばれる、要素特性の係数をまとめた(ライブラリ)ファイルやコマンドはほとんど同一です。機能的にはどのツールを選択しても大差ないといえます(ただし、回路図作成用の図形ファイルや、圧縮された解析結果ファイルの形式に共通性はないと考えてください)。
また、デジタル回路の解析まで機能を拡張したツールも多く販売されています。
この他にも、新規開発されているツールが多数あります。試用版の有無を含めて詳しく知りたい方は、インターネットで検索してみるとよいでしょう。
あなたが解析ツールに何を求めるかにもよりますが、一般的には以下のような選択基準が優先されます。
これらをひっくるめれば、技術情報を入手するための体制が最も重要といえるでしょう。
そして、ツールの運用をサポートしてくれる企業の技術評価にはかなりのウェートをおいてもよいでしょう。ツールの隠れた能力を発揮させるには、ツールの裏側まで理解し、サポートしてくれる体制が必要なのです。
また、新規に採用するのであれば、できる限り有名なツールを使うのも1つの選択肢です。有名であれば、多くの出版社から解説本が出ていますので導入時や困った時にそれを参考にできます。SPICEの操作解説はそれらの諸本に任せて、ここからはSPICEの内側で何が行われているのかを見ていきます。
同じSPICEロゴを使うものとしてAutomotive SPICE(Software Process Improvement and Capability Determination)があります。これは、自動車のECU(電子制御ユニット)に組み込む車載ソフトウェアの品質改善を目的とした新たな開発プロセス標準として策定されたプロセスモデルのことです。欧州の自動車メーカーが、ECUの発注先であるサプライヤに対する事前評価や、プロセス改善を要求する際の指針となっています。ソフトウェア開発プロセスの評価枠組みの規格であるISO 15504とも関連します。
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