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シングルダイのMEMSオシレータを開発シリコンラボ Si50xファミリ

シリコン・ラボラトリーズは、MEMS発振器とCMOSオシレータ回路を同一ダイに構成したタイミングデバイス「Si50x」ファミリの発売を発表した。民生機器や産業機器などのボリュームゾーン向け製品として位置付け、汎用の水晶発振器からの置き換えを狙う。

» 2013年07月01日 15時50分 公開
[EDN Japan]

 シリコン・ラボラトリーズは2013年6月、シングルダイ上にMEMS発振器とCMOSオシレータ回路を構成したシリコンタイミングデバイス「Si50x」ファミリの発売をした。「業界初」(同社)というMEMS発振器とCMOSオシレータ回路を同一ダイ上に形成する低コストな製造技術により、大量生産される民生機器や産業機器などのボリュームゾーン向け製品として、汎用の水晶オシレータからの置き換えを狙う。

CMEMS技術を用いたSi50xファミリのイメージ (クリックで拡大) 出典:シリコン・ラボラトリーズ

 水晶発振器の置き換えを狙うシリコンタイミングデバイスには、主に2つの種類がある。1つはインダクタとコンデンサを組み合わせたLC発振器をCMOS技術で1枚のシリコンチップ上に集積する手法。もう1つは、MEMS発振器を用いる手法だ。

 通信インフラや通信機器、計測機器など向けにハイエンド、ミドルエンド向けの各種シリコンタイミングデバイスを展開してきたシリコン・ラボラトリーズは、民生機器などハイボリュームゾーン向け製品を本格展開する上で、MEMS発振器を用いた手法を選択。ローコスト要求の強いハイボリューム市場のニーズに応えるべく、MEMS発振器とCMOS制御回路を同一ダイに形成する「CMEMS技術」を確立し、このほど製品化に至った。

 これまで、MEMS発振器タイプのシリコンタイミングデバイスは、「MEMS発振器の製造に、特殊な製造プロセス技術が必要だったため、一般的なCMOSプロセスを使用するオシレータ回路と別の製造ラインでの製造が不可欠だった。そのため、必然的にデバイスは2ダイ構成となり、ダイ同士をワイヤー接続するなどの製造工程も必要になり、製造コスト増を招いた」(タイミングソリューション製品担当バイスプレジデントのMike Petrowski氏)という。加えて、「異なる材質のダイを組み合わせることで、ひずみなどが生じやすく、温度特性などを維持しにくかった」とする。

左は、これまでのタイミングデバイスとSi50xファミリとの比較。右は、Si50xファミリの製品ラインアップ (クリックで拡大) 出典:シリコン・ラボラトリーズ

 シリコンラボの新製品であるSi50xは、「MEMS発振器を、一般的なCMOSプロセス用製造装置、製造ラインで作製する“CMEMS技術”を適用した。CMOSオシレータ回路を構成したデバイスの上位層に、CMOS用製造装置を使用してシリコンゲルマニウム層などを積み上げ、MEMS発振器を形成している。複雑なパッケージや製造工程が不要で、ローコストな製造が可能だ」(Petrowski氏)という。Si50xファミリの価格は、1万個購入時0.44米ドルとなっている。

 シングルダイ構成による、性能面での優位性も強調する。Petrowski氏は、「CMEMS技術は、温度に対する周波数安定度が高い。従来の2ダイ構成のMEMS共振器の周波数ドリフトが1℃当たり30〜40ppmだったが、CMEMS技術では、全ての製造工程許容誤差も含めて1℃あたり1ppmであり、ほぼ0ppmを達成していると言える。水晶デバイスを含めた他の発振器に比べ温度安定性は5〜10倍良い」と述べる。

 Si50xファミリは、0.032〜100MHzの周波数に対応し、1出力品(型番:Si501)、2出力品(型番:Si502)、4出力品(型番:Si503)の3製品と周波数範囲内で任意の周波数に変更できるプログラマブル品(型番:Si504)がある。パッケージは、2×2.5mm、2.5×3.2mm、3.2×4mmと3サイズのDFNパッケージから選択できる。

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