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PCB設計者の“ニュータイプ”に贈る――メンターが電気CADの新製品を発表実装ニュース

Mentor Graphics(メンター)は、プリント基板(PCB)設計プラットフォームの新製品「Xpedition」の第1フェーズとして、大幅に機能を拡充した電気CADを発表した。「システム開発全領域の問題解決を多彩な能力で解決するPCB設計スペシャリストの“ニュータイプ”に向けて開発した」(同社)という。

» 2014年03月18日 12時30分 公開
[朴尚洙MONOist]
メンターの「Xpedition」のロゴ

 Mentor Graphics(以下、メンター)は2014年3月18日、プリント基板(PCB)の設計/製造用プラットフォームを新製品の「Xpedition」に刷新する方針を明らかにした。併せて、「Xpedition刷新の第1フェーズ」(同社)として、大幅に機能を拡充した電気CADを発表した。

 同社は、これまでにさまざまな電気CADやPCBの解析/製造に用いるツールを展開してきた。Xpeditionは、大企業向けに販売してきた「Expedition Enterprise」を基に、6年以上かけて開発を進めてきた製品。今回発表した電気CADも、Expedition Enterpriseの電気CAD「Expedition PCB」と比べて大幅な機能向上が施されている。

 Xpeditionの電気CADは、加速度的に複雑化するプリント基板の設計と、プリント基板設計を専任とする技術者や電気工学出身者の減少、システム全体を意識したプリント基板設計への移行といった新たなトレンドに対応している。「システム開発全領域の問題解決を多彩な能力で解決するPCB設計スペシャリストの“ニュータイプ”に向けて開発した」(同社)という。

「Xpedition」の電気CADを開発した背景(クリックで拡大) 出典:Mentor Graphics

 機能強化の項目は4つに分けられる。1つ目は「パワフルな自動配線」だ。「Sketch Router」と呼ぶ自動配線機能により、手動配線と同等の設計品質を実現している。自動配線からの手直し作業がほぼ不要なので、PCBの設計時間を大幅に短縮できるのだ。自動配線を設定する際には、トレース配線に対応するとともに、さまざまな配線スタイルやビアパターンを選択可能である。

「Sketch Router」による自動配線機能の例。左側の写真のように、端子間の対応と大まかな配線の流れを設定すると、右側の写真のような配線を自動で行える(クリックで拡大) 出典:Mentor Graphics

 ユーザーによる評価結果では、「BGAが多く大規模なネットグループを含む設計で、およそ50〜60%短縮できた」、「個人的な印象では35〜40%程度高速化した」、「DDR3の配線だけを見ると、これまで2.5〜3日間かかっていたのが、たった4時間で完了した」などの意見が得られたという。

 2つ目は「体系的な部品のプランニングと配置」である。複雑なトポロジーを持つ回路の設計では、部品のプランニングと配置のプロセスにも時間がかかる。そこで、エンジニアが階層構造を持つ部品グループを設定できるようにし、効率化につなげている。

 3つ目は、3次元設計への対応である。PCBの設計に用いる電気CADと、システムの設計に用いる3次元CADは、互いの設計環境が分断されていることが多い。電気CADで設計したPCBの設計データを3次元CADで読み込み、筐体との干渉が起こらないことを確認する程度の連携しかしていなかった。Xpeditionの電気CADは、パラメトリック方式の3次元CADのカーネルを搭載しているので、PCBの3次元形状を電気CAD上で確認できる。

3次元設計への対応の例 3次元設計への対応の例。2次元のPCBデータから、そのPCBの3次元形状を確認することができる

 通常は2次元のPCB設計データを3次元形状に変換するには、搭載部品の3次元ライブラリが必要だ。しかし、STEP/SATフォーマットの部品モデルデータのインポートが可能であるとともに、400万以上のパーツモデルライブラリも利用できるので、PCBの3次元形状をかなりの精度で再現できる。また、部品間の干渉を避けるためのDRC(Design Rule Check)も同時に行えるという。

 4つ目の「ストリームライン化された設計環境」では、直感的なユーザーインタフェース、パーソナライズによる生産性向上、操作の覚えやすさ、効率性の向上を図った。つまり、初めて電気CADを利用するエンジニアでも、使いやすいことが特徴となっている。

 なお、メンターのPCB関連ツールには、Xpeditionの他に、個人から企業まで幅広いユーザー向けの電気CADの「PADS」と解析ツール「HyperLynx」がある。これらは、Xpeditionに統合するのではなく、個別ツールとして開発を継続する方針である。

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