同様に、ウェアラブル機器の耐久性も試験されなければならない。
耐久性に問題が生じた場合にどうなるかを示す格好の見本が小型蛍光ランプ(Compact Fluorescent Lamp/CFL)だ。図3は、米エネルギー省が2010年9月に発行した市場分析資料(統計傾向と市場展望、Data Trends and Market Insights)からCFL市場動向を引用したものだが、CFLのシェア低下が見て取れる。なぜ、このようなことになったのだろうか。
CFLの故障率が熱的な環境の厳しさに比例して2%から13%になることが別個の2件の分析結果に示されている。このような故障レベルに反応して消費者はもっと新しいLED照明を選択するようになった。
このようなことから、新製品の設計段階で信頼性問題に注意することが不可欠となる。設計者は、選択した部品の負荷増減時の挙動に注意し、生産性を考慮した設計を行い、製品に使用する電子部品の劣化を適切に予測するための故障物理を理解しておくことが必要だ。製品を企画する段階では、設計者は製品の信頼性期待値を定義するとともに使用環境を完全に把握することにより、信頼性の及ぼす影響を把握しておかなければならない。
製品に望まれる寿命とは“ユーザーに満足される期間”だ。この定義は製品の開発期間および保証期間にわたって有効に適用されなければならない。製品のパフォーマンスを規定するには幾つかの方法がある。保証期間内の返品率や一定期間内で所定の保証レベルを維持できる割合、あるいはMTBF(Mean Time Between Failure:平均故障率間隔)またはMTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)の計算結果(筆者は実際の信頼性評価というよりも管理的な評価と感じる)による方法などだ。
では、ウェアラブル製品に望まれる寿命はどうか。関連製品について概略を見てみよう。衣類=3カ月〜5年、靴=3カ月〜5年(600マイル)、時計=3〜20年、眼鏡=2〜5年、携帯電話機=12〜36カ月。ウェアラブルのような新技術では設計者が顧客の期待値を左右する機会にもなる。
保証期間内の返品率は、一般消費者向け電子製品では5〜25%であるが、少量生産で高信頼性を問わないアプリケーションでは1〜2%、産業用制御用途では500〜2000ppm、車載アプリケーションでは最初の1年間で1〜5%だ。一方、医療用途では信頼性が最重要であり、典型的な故障率は0.1〜0.5%だ。この市場分野向けでは、信頼性に焦点のあることが明確だ。
図4は、電子機器向け保証サービスを提供する米Square Tradeからの引用だが、幾つかの一般消費者向け製品の12カ月間不具合発生率を示す。この程度の製品返品は簡単に吸収できることだろうか。
電子機器故障の要因は数多くあり、製品開発の設計段階で調査し、評価する必要がある。
これらのストレスが組み合わさると、ウェアラブルの故障率が高くなる。したがって、設計者は製品に影響を及ぼすさまざまな環境要因を十分に把握しておかなければならない。
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