今回は、マイコンを使わずに、冷蔵庫などのドアの開けっ放しを警告する回路を作ってみたので紹介する。単純に、開けっぱなしの警告だけでは、物足りないので、短時間に何度も開け閉めした場合でも、警告するような回路も考えてみた。
EDN JapanのDesign Ideaに冷蔵庫の「ドアの開けっ放し」を知らせる警報回路の記事が掲載されていた。
この回路はPICマイコンで作られていたので、同じ機能の回路を筆者が考案したオリジナル回路「シリアルオシレータ」で作ってみた。遅延タイマー、4秒周期の発振回路やブザー回路はシリアルオシレータが得意とする回路なのでシリアルタイマーを理解してもらう良い機会だ。試作した回路図例を図1に示す。
図1の回路には3つの機能ブロックがある。遅延タイマー回路、4秒発振回路とブザーの発振回路のブロックだ。図1の2つの発振回路にシリアルオシレータを使った。ブザー回路の負荷抵抗の10KΩにピエゾ素子のスピーカーを並列接続した。また、部品の調達と組み立てが楽なように抵抗は1MΩと10KΩを多用した。まずは図1の回路をブレッドボードで試作した。写真を図2に示す。
図2の構成を説明しよう。図2左上の白いケースは100円ショップで販売されているセンサーライトでその下にある白い箱にマグネットが入っている。センサーにはリードスイッチが使用されており、マグネットを近づけるとセンサーはオンし、離すとオフする。右上の箱は名刺ケースに入れたブザーだ。ピエゾスピーカーを紙に貼り付けて名刺のケースに取り付けることで大きな音が出せるスピーカーになっている。
図2下のブレッドボードを使って回路を構成した。ブレッドボードの1番左にはセンサーを接続し、動作が確認できるようにモニターのLEDを取り付けた。冷蔵庫のドアが閉まっている時は、マグネットがセンサーの近くにあり、センサーがオンしてLEDが点灯する。冷蔵庫のドアが開くとマグネットが離れ、センサーがオフしてLEDが消灯する。
ブレッドボードの中央左にあるのが遅延タイマーだ。抵抗3本とコンデンサ1個とトランジスタ2個で構成されている。冷蔵庫のドアが開くとコンデンサが充電開始され、10秒後に遅延タイマーの右の出力のトランジスタがオンする。オンするまでの時間を変えるときはコンデンサの値で調整する。例えば22uFにすれば遅延時間は20秒程度になる。
ブレッドボードの中央右にあるのが、シリアルオシレータを使った4秒の発振回路だ。遅延タイマーがオンすると、左側のトランジスタのベース端子に抵抗で分割された電圧が印加され、出力のトランジスタが1秒ほどオンする。その後は4秒間隔で発振する。
ブレッドボードの右端がブザー鳴動用のシリアルオシレータだ。この回路は4秒の発振回路と直列に接続されており、4秒の発振回路がオンした時にブザーが鳴動する。電源の+端子は10KΩの値の抵抗を負荷としてブザー回路に接続される。ブザー用のピエゾ素子はこの抵抗と並列接続されている。
全体を通した動作を説明する。冷蔵庫のドアを開けるとセンサーがオフしてLEDが消灯する。10秒程度経過すると、ブザーが約1秒鳴動しその後は4秒周期でブザーが鳴動する。ドアを閉めるとブザーは停止し、LEDが点灯する。
電源電圧を変更して動作を確認したら、6Vから12V程度までは期待通りに動作できた。消費電流は9V電源では、ドアが閉まった(LED点灯)時に0.2mA、ブザー鳴動時に0.7mAブザーが停止したら20uAだった。モニターのLEDを外せば、通常の消費電流は30uA程度の小さな消費電流になり電池でも長期間の動作が期待できる。
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