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4K/8Kの映像配信を普及させる映像符号化技術「HEVC」って何だ?5分でわかる最新キーワード解説

超高精細映像配信やモバイル環境でのスムーズで美しい動画視聴の両方を実現すると期待される、映像符号化方式の新規格「HEVC」。H.264/AVC規格のデータ圧縮率を2倍にできるというこの規格は、映像処理の新常識。今回はそのあらましを紹介していきます。

» 2015年06月23日 11時30分 公開
[キーマンズネット]

1.「HEVC」とは?

 現在モバイルからハイビジョン映像配信に利用されているH.264/AVCの次の世代の映像サービスを担う新しい映像符号化技術。2013年1月に第1版の標準化が完了した。H.264/AVCの2倍の圧縮性能を実現することで、モバイル環境での視聴環境の改善や、スーパーハイビジョン映像利用も担える4K/8Kの映像配信を普及させる原動力ともなる新規格だ(規格名称については「関連するキーワード」の項参照)。パケットの上限で通信速度制限がかかってしまう今の時代、動画再生のためのパケット量を大幅に減らしてくれるこの技術は、多くの人にメリットをもたらしてくれるだろう。

1-1|映像利用はHEVCでどう変わるのか?

 HEVCの最大の特徴は高い圧縮率にある。圧縮率が高ければ高いほど、少ないデータ量で高精細な、高フレームレート映像を配信できる。高精細映像サービスにはできるだけ高い圧縮性能が望ましい。従来と同じような映像品質を得るのに半分のデータ量で済むのは大きな前進。またこれまでよりも大きく、高精細な4Kや8K映像を実現するUHDTV(Ultra High Definition Television/超高精細テレビ)などの普及のためにもデータ圧縮率の改善は不可欠な要素だ。その一方、ネットワーク帯域が限られるモバイルでの無線通信を用いた動画配信でも、従来よりもスムーズで鮮明な映像提供を可能にするのも大きなメリットだ。

 これと表裏の関係にあるのが演算量。映像表示端末は、家庭や施設内に設置される消費電力にあまり神経質にならなくてもよい端末では、処理能力の高いプロセッサなどを利用して高解像度や高フレームレートの映像表示が可能だが、問題なのはモバイル端末だ。プロセッサ性能などは今後向上していくとしても、限られた筐体内のスペースに収まるバッテリーの容量が飛躍的に向上することは当面見込めない。消費電力を抑えつつ、停止することなくきれいな映像を表示するためには映像処理の演算量をできるだけ少なくする必要がある。HEVCは高い圧縮率を実現しつつ演算量の増加を抑制するように設計された規格であるため、高精細な動画をモバイル端末上でも十分な品質で視聴可能になっている。

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